ある日は時が早く過ぎて、ある日は遅く感じる。
あるいは速いテンポで音楽を聴いた時に、周囲の景色が一瞬だけスローにみえる。
このような不思議な時間感覚の歪みは、誰もが経験する現象でありながら、長い間、発生原因は謎でした。
しかし9月14日に『Journal of Neuroscience』に掲載された論文によって、人間の時間感覚を司る脳部位が明らかにされました。
いったい脳のどんな部位が、時間感覚を司っていたのでしょうか?
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時間感覚の中枢を探すヒント

(画像=時間感覚の中枢に損傷を負った人たちは時間の認識が狂ってしまう/Credit:depositphotos、『ナゾロジー』より引用)
主観的な時間感覚の源泉を辿るにあたってヒントとなったのは、脳の縁上回(えんじょうかい、英: supramarginal gyrus)と呼ばれる部位に損傷を負った人々のデータでした。
この脳の側面にある小さな部位に事故などで損傷が起きると、時間感覚が損なわれるという報告があったからです。
そこで大阪大学の研究者たちは、縁上回こそが時間感覚を生み出していると考え、調査することにしました。