投資は本当にリスクが高いのか?

一方、株式はインフレに強い資産だと言われています。インフレによって景気が良くなると、株価も上がりやすいからです。

とはいえ、景気が良くなったとしても、株価が上がるかどうかはあくまでその会社の業績次第ですし、当然株価が下がるリスクはあります。

加えて、仮にその会社の業績がずっと良かったとしても、世界情勢や金融不安の影響で、ある日突然株価が暴落してしまうこともあります。

しかし、歴史的に見れば暴落した株価はその後回復していますし、複数の株式を購入してリスクを分散する「分散投資」や、毎月一定額の株式を購入することによって、売買のタイミングで損をするリスクを下げる「積立投資」などを行えば、ある程度リスクを下げることができます。

そういった運用を自分でやりたくない人は、投資信託を購入すれば、専門家が代わりに株式や債券に分散投資してくれます。もちろん手数料がかかる分リターンは下がりますが。

どの方法で投資をしても、元本割れするリスクを0にすることはできませんが、高確率で価値が下がっていく貯金に比べたら、案外リスクが低いという見方もできるのではないでしょうか?

資産所得倍増プランは実現できるのか?

では、これらの事実を周知することができれば、資産所得倍増プランは実現できるのでしょうか?

私はそれでも、投資は危険だという先入観を覆すことは難しいと思っています。理由は色々ありますが、最大の理由は説明が難しいからです。

日本ではこれまで投資に関する教育がほとんど行われてこなかったことから、インフレによって貯金の価値が下がってしまう危険性や、分散投資・積立投資によりリスクを下げられるというような説明を、必ずしもすんなり理解できる人ばかりではありません。

投資が増えれば国の税収が増えるという側面もあり「どうせ国が税収を上げたいだけでしょう」と、投資に対して懐疑的に考える人も少なくないでしょう。

また、NISA、つみたてNISA、iDeCoなど複数の税制優遇があることも、より説明を難解にしています。投資に興味はあるものの、結局どれから始めたらよいのかわからず戸惑っているという話もよく聞きます。

そこで、資産所得倍増プランを実現するためには、制度をできるだけシンプルにすることと、メディアや専門家などの第三者の力も借りて情報発信を強めていくことが重要です。

資産所得倍増プラン自体は非現実的だと非難も浴びているようですが、資産所得が増えれば政権も国民も得をすることはたしかです。

資産所得倍増とまではいかなくても、資産所得1.2倍増ぐらいならできるのではないかと、ひそかに期待しています。

板山 翔(税理士・経営戦略コンサルタント)
「オンライン専門の税理士事務所」として開業。自社の事業を税理士業ではなく、経営に必要な情報をオンラインで提供する事業と捉え、経営戦略コンサルタントとしても活動。従業員5名以下の小さな会社の経営者を中心に、小さな会社だからこそできる差別化戦略の立て方や、短期間で売上アップするためのマーケティング戦略、長期的に資産を形成していくための財務戦略などを伝えている。

文・シェアーズカフェ・オンライン/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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