製薬会社のCEOが愚痴を言うと……?

そこでもう一度ご注目いただきたいのは、直近22日の終値でモデルナ株がピークから70%未満の下落率まで戻しているという事実です。

そのときどきの時流に乗って急騰した銘柄がいったん急坂を転げ落ちるような暴落過程に入ると、かなり大きな好材料でも出ないと小さなリバウンドさえむずかしくなります。

モデルナ株のピーク比下落率が76%から69.7%まで戻したについても、非常に大きな支援材料があったのです。

世界経済フォーラム主催の「ダヴォス会議 2022年」にスピーカーのひとりとして招かれていたモデルナ社CEOステファン・バンセルは、スピーチというよりこんな泣き言を言っていました。

金融市場が暴風雨に見舞われる中、必死に製薬資本に奉仕するアメリカの歪んだ医療行政
(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

ファイザー社のワクチンでさえ、当初はアメリカ国立衛生研究所(NIH)やFDAと結託して75年間も隠蔽する気でいた治験データを情報公開法によって公開せざるを得なくなってからは、治験過程で出た死亡者の多さが衝撃を呼んでいます。

モデルナはコロナワクチン実用化レースで、そのファイザーにもボロ負けしていたのです。

多くの国ではmRNAタイプのワクチンのうちファイザー製しか認可していませんし、2社のワクチンがともに認可されている国でも、消費者は明らかにファイザーのほうがまだマシだと思っています。

つまり、だれもモデルナワクチンを欲しがってくれないのは、これほど危険性の高いワクチンを平然と実用化してしまった自社の責任なのです。

にもかかわらず、モデルナのCEOがダヴォス会議で愚痴を言うと、さっそく支援に向かったのがFDAの医薬品許認可部門でした。

おっとり刀で救援に駆けつけるアメリカFDA

アメリカの医薬品行政は、毎年多額の献金をくれる大手製薬資本の言いなりになっています。この事実は、アメリカ社会がいかに深く利権政治のドロ沼にはまりこんでいるかをご存じの方なら、だれひとりとして否定しないでしょう。

アメリカの医薬品行政当局は、最近どんなに「3~6ヵ月ごとのブースター(追加接種)が必要だ」と宣伝してもあまり成人のあいだで追加接種を受ける人が少なくなっていることを懸念していました。

そこで打ち出したのが、長い人生の何年後、何十年後に遺伝子の異常が発生するかわからないmRNAタイプのワクチンを、生後6ヵ月~5歳の乳幼児にまで接種させようという、ほとんど狂気と言っても過言ではない方針です。

しかも、ちょうどモデルナCEOの愚痴を聞いたばかりだったので、成人たちの間で圧倒的に接種事例の多いファイザー製ではなく、多くの国で成人向け接種さえ認可していないモデルナ製を強引に認可してしまったのです。

この決定に至った治験データを比較すると、どちらもプラシーボ(ニセ薬)を接種したときよりは若干感染事例が下がる、つまりワクチン効率はそこそこ高いことになっています。

ただ、どちらも治験事例があまりにも少ないので、95%の信頼性の範囲内に、ワクチン接種をすると感染率が高まる、つまりワクチン接種は感染を促進するという可能性も否定できない中途半端な結論が出ています。

またどちらも有害な副作用や後遺症については、何の論拠もなく「心配するほど多くの事例が出ているわけではない」の一言でお茶を濁しています。

あえて違いを言えば、モデルナ社製は4週間の期間を開けて2回の接種で済むのに、ファイザー社製は最初の接種後3週間開けて2回目を接種し、さらに8週間開けて3回目の接種で終了と合計11週間、80日近くの日数を要することぐらいです。

しかし、それは逆にファイザー製は成人向けに対して大幅に希釈しているのであとあと遺伝子異常などが発生する危険は低く、モデルナ製は希釈率が低く濃いワクチンになっているので異常の発生する危険が高いことも意味します。

FDA諮問委員会の21人は、それぞれ病理、小児病臨床の専門家、疫学、感染症対策、薬品開発などで顕著な実績のあった人たちです。その人たちがひとりの反対もなく、乳幼児へのモデルナワクチン接種に賛成したのです。

アメリカでは、医薬品行政だけでなく、学術研究者のあいだでさえ巨額の寄付や献金、研究助成をくれるスポンサーには逆らえない状態になっている証拠ではないでしょうか。

贈収賄が正当で合法的な政治活動と見なされるようになって久しいアメリカでは、学術研究者のあいだでさえ「巨額の研究助成を引き出した研究者が有能な学者」という評価が定着してしまっています。

そうした風潮を反映して「アメリカの学者の97%は、常に意見がスポンサーと一致する。残りの3%はマスコミからもSNSからも締め出されているので、何を考えているのかわからない」という言い伝えめいたものがあります。

案外、この比率は正確なのではないかと心配になってきます。もうひとつ、諮問委員会のメンバーはどんなに立派な肩書でも誠実さのない、ずるい人たちだと思います。

実名を挙げたコメントを求められると、「これで感染が防げる」とか「重症化しなくなる」とか、事実に反することはいっさい言いません。

「おじいちゃん、おばあちゃんに孫の顔を見せたいけど、子どもが自覚症状のない感染者で、おじいちゃんやおばあちゃんに感染させて、重症になったらどうしようと思っていたご両親は、これで安心して孫の顔を見せにおじいちゃん、おばあちゃんを訪ねられるでしょう」という程度の「効能」しか期待できないと明言した人もいました。

ようするに、自分たちが恐怖宣伝で大げさに言いふらしたありそうもない事態への「対策」程度の気休め的な効果しかないと言うのです。

それどころか「ワクチンによる感染抑制効果は、予想以下でがっかりした」と言っているメンバーもいました。

結局のところ、将来乳幼児へのワクチン接種がどんなに悲惨な結果を招いたとしても、責任逃れをするための保身策は講じているのです。