こんにちは、企業の発信支援が生業のライター・宿木雪樹(やどりぎゆき)です。法人成りしてからの年月も含めるとフリーランス5年生ですが、振り返れば私はほとんど営業をしたことがありません。
フリーランスは自分で仕事を獲得する必要がある働き方ですが、じつは「知人からの紹介」による案件獲得が意外と多いことをご存知ですか? 私の場合も、紹介案件がここまでのキャリアを支えてきてくれました。営業に時間を割かず、好条件かつ得意分野の案件が増える好循環に恵まれています。
とはいえ、周りを見ているとなかなか仕事を紹介されないと悩む方も多いようです。そんな方に、本記事では私が実践してきた「知人からの紹介」を得るためのノウハウと、なぜフリーランスにとって紹介案件が重要かをお伝えします。
目次
なぜフリーランスは「知人からの紹介」の仕事が重要なの?
仕事を紹介してくれる「知人」って誰?
なぜフリーランスは「知人からの紹介」の仕事が重要なの?
ノウハウをお伝えする前に、まずはフリーランスがどのように仕事を獲得しているのかおさらいしましょう。案件獲得のスタンダードな手段として「営業」を思い浮かべる方も多いと思いますが、フリーランスの場合、実態は少し異なるようです。
フリーランス白書2022の調査によると、調査対象であったフリーランスのうち65.9%が「人脈(知人からの紹介を含む)」によって仕事を獲得したと答えています。一方「自分自身の広告宣伝活動」による獲得は26.2%と少数にとどまっており、フリーランスの案件獲得のスタンダードは営業ではなく人脈と捉えることができそうです。
では、なぜフリーランスの場合、案件獲得の大半を知人からの紹介による仕事が占めるのでしょうか。
理由1. 営業は少ないほうがいいから
忘れがちなことですが、営業そのものに利益は発生しません。企業のように営業部門と制作部門が分かれていないフリーランスの場合、営業によって制作のリソースを割かれることが、長期的に見れば大きなロスにつながります。
もちろん、挑戦やキャリアアップのための営業であれば、将来的にはプラスかもしれません。しかし「仕事がないから営業しなきゃ」という考えばかりだと、営業要らずの同業者よりも業務に充てる時間が取れず、実績も伸びないため良い仕事が得られない悪循環にはまってしまいます。
フリーランスにとって営業はできるだけ少なく、むしろ一切せずに仕事が勝手に入ってくるのが理想です。そう考えると、知人からの紹介はまさに救いの手といえるでしょう。
理由2. 失注が少ないから
フリーランスにとって意外な痛手になるのが「失注」です。交渉を重ねても条件が合わなかったり、実際に取引してみて継続が難しかったりということが重なると、時間のロスだけでなく、精神的な疲弊も大きくなります。
ここに「知人」が介在することで、失注問題のほとんどは解決されます。取引先からないがしろにされることはまずありませんし、そもそも紹介がある時点で友好な関係を築けている取引先であることがほとんどです。
もしも友人から「おすすめのレストランを紹介して」と言われたら、「ジャンルは? 価格帯は?」といった疑問が湧きませんか? また自分の大好きなレストランを紹介する相手は、同様に大好きな友人ではないでしょうか。
仕事の場合も同じで、紹介される時点で信頼できる相手同士がマッチングするし、条件もある程度はフィルタリングされているのです。そのため、知人からの紹介は失注ロスの削減につながります。
理由3. 信頼を上乗せできるから
先ほどの「失注が少ない」という理由はフリーランスの視点で書きましたが、これについては頼む企業側も同じリスクを抱えています。
企業側の気持ちを代弁すると、知らないフリーランスなんて正直、まったく信頼できません。たとえ実績があろうと、SNSで発言力があろうと、実際に仕事をして「大丈夫」である確証は持てないものです。
そこに自分が信頼する何者かから「あの人なら大丈夫」と太鼓判を押されたならば、それほど安心できる情報はありません。フリーランスにとっては、口コミこそ最大の武器です。ポートフォリオの充実ももちろん重要ですが、ひとつの実績からいかに口コミを広げられたかのほうを私は重視しています。
仕事を紹介してくれる「知人」って誰?
フリーランスにとっていかに「知人からの紹介」が大事か熱く語りましたが、そうはいっても紹介が来なければどうにもなりませんよね。
知人から仕事を紹介されない人に私がまず確認したいのは、本質とずれたところに問題意識を持っていませんか、ということです。
「コミュ障」「友達いない」を理由にあきらめないで
「私は人付き合いが苦手だから」という理由で、人脈による案件獲得をあきらめている人をよく見かけます。
が、それは大きな間違いです。案件を紹介してくれる「知人」とは、「友達」ではありません。ドライな言い方をすると、仲良くなくても仕事は紹介されます。
私の場合、友達と呼べる友達は指折り数える程度で、雑談したり遊んだりするのがもともと苦手です。いわゆる交流会などのイベントも、ここ数年は参加していません。それでも相変わらず紹介が絶えませんし、だからといって貧しい生活をしているわけでもありません。フリーランスになってから、自分が稼いだお金で家も車もSwitchもヨギボーも買いました。
そもそも紹介してくれる人って誰?
先ほど仲良くなくても紹介は来ると書きましたが、ここをもう少し細かに見ていきましょう。そもそも、紹介はどこから舞い込むのでしょうか。
まず、似たような仕事をしている同業者にはあまり期待しないこと。友好関係を深めるのは楽しいですが、仕事を求めて頼る相手ではありません。たとえ案件があったとしても、リソース不足によるヘルプ目的で、条件があまりよくないです。
紹介の一番の有力筋は、いま取引のあるクライアントです。いい成果物を提供すれば、クライアントがその評価を周囲にも広げてくれます。
同様に、異業種で働くフリーランスからの紹介も多いです。たとえば、Webデザイナーが受注した案件のテキスト部分をお願いしたい、といった形でチームのように働くことがよくあります。
最後に、上位レイヤーの仕事に足がけする同業者を見極めましょう。ライターの場合を挙げれば、純粋にライティングのみ受注するタイプと、その上流のメディア戦略の構築や編集といった業務に携わるタイプがいます。後者は自身の仕事から染み出した案件を紹介してくれる可能性が高いです。