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ジムニーはオフロードを理解していないと乗れない!?
細かい部分は気になるがスズキ 4代目ジムニーは夢のクルマだ!
ジムニーはオフロードを理解していないと乗れない!?
4代目ジムニーのトピックスとして、横滑り防止装置を含めたESPの新採用があります。その電子デバイスの中にはブレーキLSD トラクションコントロールやヒルディセントコントロールといったオフロード走行のためのアシスト機能も含まれています。
4代目ジムニーの記事を拝見すると、電子デバイスの搭載によってオフロード走行の容易になった…という論評が多く見られましたが、僕は少し違うことを感じました。
たしかにブレーキLSD トラクションコントロールの機能は、ジムニーに新しい可能性を与えています。ですが、それは限られたレベルのシチュエーションにおいて。タイヤの空転を感知するとトラクションを回復させるためにエンジンの出力を自動的に落とすESPというシステムが、ハードなオフロード走行では邪魔になるシーンが見られたのです。
例えば非常に長いヒルクライムを4WD-Hで行った時、タイヤが空転し始めたらESPがトルクを絞る制御を行ってしまい、坂を登り切ることができなかったのです。何度か繰り返しましたが、結果は同じ。
坂の途中で止まってしまった場合、熟練者なら慌てず真っ直ぐバックすることができますが、初心者ならハンドル操作を誤って横転する危険性もあります。この他のシーンでも、いくつかのシーンで似た現象がありました。ただESPをカットしてみると、ジムニーはキャラクターが変わったように元気に走り出しました。
ジムニーの電子デバイスはランドクルーザーなどのものに比べると簡易的なシステムであり、あくまでもいざという時のアシスト機能。誰でもどこでもオフロード走行が可能になる魔法の杖ではありません。
本格的なオフロード走行をする場合は、まずその走行方法の基本や知識を学び、さらにESPの機能内容を熟知し、その上で4WD-Lやシフト、ESPオフというモードで走る選択肢も知っておく必要があると思います。ただし、大雪の時や河原、砂地などの希にありそうなスタックシーンでは、非常に役立ってくれるでしょう。
細かい部分は気になるがスズキ 4代目ジムニーは夢のクルマだ!
あまり重箱の隅をつつきたくはありませんが、気になった点は他にもありました。例えば、4ATのセレクターレバーがDを超えて2レンジまで動いてしまうため、いちいちDレンジまで1段戻すのが億劫です。
運転席&助手席シートは先代に比べると形状が見直されて乗降がしやすくなった反面、ホールド性やクッション性が低下して、大柄な僕などは身体がクルマの挙動と共に動くようになってしまいました。
そのため、長時間運転すると背中から首筋が痛くなります。購入したら、タイヤ&ホイールの交換よりも先に、まずシート交換を考えたいと思ってしまいました。
収納スペースが少ないのも、ジムニーの弱点です。現代人はガジェットやら何やらと持ち物が多いもの。インパネ回りはいっぱいいっぱいですが、ちょっとした空きスペースに引き出しを付けたり、カップホルダーを付けてもらいたいのが本音。
特に、車内後部のタイヤハウスの出っ張りをなくして空間効率が大幅に向上したのは大歓迎ですが、やはりカップホルダーが廃止されたのは微妙。3人で試乗ドライブをした時などは、2つのカップホルダーを巡って椅子取りゲーム状態でした。
そして一番気になったのは、燃費です。市街地・高速道路・オフロード・山道を走ってみて、 5MT/4ATとも9km/L弱。3.6Lエンジンのジープ ラングラーアンリミテッドでも7〜8㎞/Lは走るわけですから、0.6Lで1tを超える車体を動かしているとは言え、もう少し頑張れないかと感じてしまいます。
こうした部分は、また20年かけて徐々に改善されていくこととは思います。誤解を恐れずに言えば、4代目ジムニーは現状ではたしかにベスト。先代の43代目ジムニーと比較すると大きな進化を遂げており、できれば僕も入手したいクルマです。
ただ前述でもお伝えした通り、オンロードと併せてハードなオフロードも走らなければならないジムニーは、背負わされるものが大きいのも事実です。オンロード重視のSUVや普通のクルマとは多少異なっていることを、あらかじめ理解して購入する必要があるのではないでしょうか。これは普通車版のシエラについても同じです。