外洋に出る船と静かな海の船ではハル形状が違う
知床の沈んだ船は、もともと波の無い瀬戸内海の観光船として作られたものが転配されて知床にきたという記事を見ました。
実は船の構造は、外海用と、波の静かなところのものでは全く違うのです。
良い例が元寇です。
元寇船は川用の平たい底の船で、外洋の荒波を切り裂くためのものではなかった。だから嵐でみんな沈んでしまった。いまのボートでも外洋に出るフィッシングボートはこんな感じ。
ハルは鋭いV型で波を切るように進みます。後ろから見ると真ん中からの傾斜がキツいのがわかります。
しかし日本のフィッシングボートはトローリングではなく止めて釣る釣り方が多いのでこれだと左右にやじろべえのように揺れて船に弱いと酔ってしまいます。よって船底を平たくしているものが多いのです。普通の釣り船でも屋形船と房総のものではまったく構造が違います。
つまり今回の事故は「そもそも静かな海用に作られた船を荒海で運用していた」という根本的な問題があるわけですね。
もちろん経営している会社の杜撰さはありますが、こうした観光船は認可事業で国土交通省が管理しているわけですから、大人数を乗せて外洋に出る場合
不沈構造なのか
外洋用の船なのか
くらいの判断はしてから認可して欲しいです。今回の数十億円にも及ぶ捜索費用は運営会社が払えるわけもなく、税金です。プレじゃボートの事故も多く、そのたびに税金が投入されます。不沈構造の義務化と営業用の船の基準の制定でだいぶん削減できると思うし、なにより人命が助かります。
それではこの雨の中、ヘリーハンセンのGore-Tex来てSTEPNの小銭稼ぎのために散歩に行って参ります。雨具は大事です。キャップもGore-Tex。
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わたしと音喜多君、立憲の中谷さん、自民の藤末さんの新刊「日本沈没を食い止めろ!」がでました。
編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2022年6月21日の記事より転載させていただきました。
文・永江 一石/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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