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【悪天候】頂上では立っていられない、命の危険を感じた
【必死の下山】遭難する時は多分こんなとき…
【悪天候】頂上では立っていられない、命の危険を感じた
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初めは樹林帯を登ることになる。「天気悪いから景色見えないな~」くらいで体を慣らしながら登る。
雪は積もっていないけれど、段々を降り方が強くなってきた。
まだ行けるはず。
7合目から登り始めるのですぐに森林限界に入る。
しかし、一気に風が強くなってきた。帽子が飛ばないように思わず風上に頭を向ける。「うぉ~!」とか声を上げながら悪天候を楽しんでいた。
【対策必須】森林限界では帽子を飛ばされる
今回紹介する樽前山は登山口から10分で森林限界という木々の映えない標高に達する。
木々がなくなると風を遮るものがなくなり、強風にさらされることはよくあることだ。
今回のような常に強風下の登山ではなくても突風が吹き、帽子が飛ばされそうになることは登山あるあるの内の一つである。
風が吹くたび帽子に気を取られるのは体力を消費する登山では避けたい。
そこでぜひ帽子用あご紐の使用をおすすめする。
帽子が飛ばないストラップ クリップ式あご紐
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あご紐をハットやキャップに付けておけば突然の風に慌てることはなくなる。
このあご紐はクリップ式なのでどんな帽子にも付けられ、ゴムで伸縮するのでしっかり締めても苦しくなりにくい。
おしゃれ小物にも見えるが、厳しい状況でこそ使いたいアイテムである。
降りてくる人はまだまだ行けると言う人も
登るにつれ徐々に天候は悪くなる。
けれど1時間登れば頂上に行ける、そんな想いで登り続けていた。
標高が高くなるのと同時に時折突風が吹き、身をかがめながら歩く。
降りてくる人に「頂上はどうですか?」と時折聞くが、ダメだという人と「行ける」という人が半々だった。
【命の危険を感じる】頂上直下での最終判断
頂上直下の分岐まで来たが、増々風は強くなっている。身をかがめないと立っていられないほどである。
頂上まではあとほんの少しだけれど、西からの風も吹きつける場所なので、登り切るか判断を付きかねていた。
数秒待っている間に(吹き付ける風に実際はもっと長く感じる)複数のパーティが登って来ていた。
皆一様に顔をしかめている。変な連帯感がうまれ「行く?ダメじゃない?」と声を掛けあう。
そのうち1人また1人と頂上に向かって歩き出す。すると「行けるべ」と勢いづいて登るパーティが出てきた。
手袋の隙間の手首が痛いが、執念の記念撮影
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僕はソロなので写真だけ取って帰ることにした。
一応手袋はしているのだが、登山用ではないため手首が短い…防寒用のレインウェアとの隙間から露出する肌はすでに真っ赤になり痛いほどだ。
僕もスマホで自撮りをする。手袋を外すのは勇気がいるが作業用の手袋にスマホ対応の機能など付いていない。
すると「写真撮りましょうか?」と声をかけられたので「ありがとうございます」とスマホを渡した。
帰ってから確認すると画面の中にはこの状況でもサムズアップしてしまう昭和男がいた…
寒風から守ってくれたグローブ
強風の中の登山だが同時に雪が降るほどの低温でもあった。
記述にもある通り当時使用していたグローブは作業用品店で購入した雪除け用の手袋。
手首を曲げる度に肌が露出し痛みが走るほどだった。
もっと長い時間留まっていたら凍傷になっていたのではないだろうか。
そこで秋から春にかけての登山では手首まで覆われた冬用のグローブをおすすめしたい。
Winglosアウトドアグローブ
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写真でも分かるように、手首に長めのゴムがあり手首の露出が少なくなっている。
内側はボア仕様で真冬でも使用可能だ。
気温がプラスで降雪した際の濡れ雪でも対応できるように、防水機能もしっかりしているので、南方の地域から北国の凍てつく寒さまで耐えられる。
加えて昨今のグローブらしくスマホ対応なので着けたまま写真を撮ったり、地図を見ることが可能だ。
【必死の下山】遭難する時は多分こんなとき…
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記念写真を撮ったら(最早なんの記念かわからないが)もう頂上に用はない。そそくさと下山を開始する。
幸い登山道の幅は広く、一度に複数人が降りても混雑はしない。
けれど、樽前山は火山なので足元が非常に滑りやすい。急ぎつつも転倒しないように慎重に降りることが大切だ。
いつもなら下山で膝にかかる負担を軽減してくれるトレッキングポールも、吹き下ろす風で流されて僕の前でブラブラ揺れるだけだ。飛ばされると大変なので、必死に握りしめる。
【命懸けの下山】吹雪と砂ぼこり、風で目が明かない。
とにかく風が強い。役に立たないトレッキングポールを必死に握る。
吹雪で視界は数メートル先しか見えない。強風と共に小さな石も飛んでくる。帽子で風を遮りつつ視界を確保し、滑る足元を確認しながら一歩ずつ降りているとおぞましい思いが頭を過った。
「遭難するかも…」
「いや、帰るんだ、絶対に帰るんだ」
大袈裟ではなく命の危険を感じた。
【中腹まで来て一息】凍る帽子に背筋も凍る
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中腹まで降りて来ると何とか風は収まってくれた。
視界を遮っていた霧も風に流されたようだ。展望が開けて息を飲む。
「これを見たかったんだよ」
あとは足元さえ気を付ければ怖くない、流れる霧を楽しみつつ写真に収める。
下山したら汗で濡れた帽子と飲む余裕のなかったスポーツ飲料が凍っていた。
背筋も凍るとはこの事だ。