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地元の飯屋では家庭的な味わいにほっこり
島独特の贅沢な生態系
地元の飯屋では家庭的な味わいにほっこり

実は伊勢海老がよく獲れるようで、町の食事処に行くとごく当たり前のように伊勢海老のメニューが掲載されています。伊勢海老のおみそ汁など、豪快かつ贅沢なメニューももちろん味わったのですが、筆者が特に印象に残っているのは「煮魚」でした。
甘辛く煮つけられた白身魚は、近くの海で釣った魚とのこと。白いご飯によく合う飾らない味わいは、古き良き日本の食事そのもの。日中の疲れも吹き飛んで、ホッと安心感を覚えました。
各食事処では海鮮が多く使われていましたが、日常的に島で食べられているものをメニューに載せた、といった素朴な雰囲気も、筆者は好みでした。
一般的な観光地をイメージしていくと、少しローカル色が濃いかもしれません。もちろん観光地としてもおすすめではありますが、1週間以上滞在してゆったりと過ごすことに適しているかもしれません。
島独特の贅沢な生態系
滞在中のある日に筆者が出会った、野良猫と野良鶏の集会の風景。野良猫の品種はシャムネコ、野良鶏の品種は沖縄県在来鶏のウタイチャーン、という何とも独特な組み合わせでした。
島の野良猫すべてがシャムネコというわけではないようなのですが、優雅なイメージのシャムネコが、日本画で描かれているような立派なトサカに黒い羽根という鶏と交流している風景に、非常に驚き興奮しました。
島という、ある意味で閉鎖的な環境下は、独自の生態系を育みやすいのだろうと感じました。人間の姿を見ると一瞬で走り去ってしまう都会の野良猫たちと違い、我々の存在に気づくとじっと様子をうかがう沖永良部島の野良猫たち。そのような野良猫たちの姿から、この島で暮らす人々はほかの生き物の営みを邪魔せずに暮らしているのだろう、ということを筆者は感じました。

また、他にも貴重な生き物にも出会いました。ウミガメです。産卵シーズンではなかったため砂浜で見ることは叶いませんでしたが、フーチャという潮吹き洞窟からの眺望で、泳ぐウミガメに出会えました。
ウミガメは海底ではコケを食べており、数分に一度、息継ぎのため海面に顔を出します。黒い影が海面に上がってくるなと思って目を見張っていると、そのうちにウミガメがかわいらしい顔をちょこんとのぞかせるのです。
ちなみに上記の洞窟は、ウミガメを見に地元の方もよく遊びに来るスポットとのこと。筆者が訪れた時もちょうど家族連れの方々がウミガメを見に来ていて、一緒に歓声をあげて喜んだ記憶があります。