農林水産省では、飲食店の経営に深く関わる食品の価格動向について、定期的に「食品価格動向調査」を実施している。農林水産省が委託する民間調査機関の調査員によって、各都道府県10店舗の量販店(全国470店舗)を対象に調査したもので、今回はその中から令和4年5月の小売価格データを紹介する。ぜひ仕入れの参考にしてほしい。

天候の影響が重なり、たまねぎの価格は平年比の212%

野菜は令和4年5月30日~6月1日において、8品目(キャベツ、ねぎ、レタス、ばれいしょ、たまねぎ、きゅうり、トマト、にんじん)を調査している。

平年比(平成29~令和3年度の食品価格動向調査業務による同月の調査価格の5カ年平均価格と比較したもの)で目立つのはたまねぎで、212%の価格上昇となっている。たまねぎは令和3年10月頃から価格が徐々に上昇しているが、背景には主産地である北海道の高温干ばつの影響がある。さらに令和4年4月以降は、後続産地で低温による生育遅れや、多雨による収穫の遅れがあり、出荷量が減少したことも要因とされる。

ほかの品目も全体的に価格上昇傾向にあるが、にんじんは平年比90%と安値傾向が続いている。

飲食店を直撃する「食材高騰」。たまねぎは平年の2倍以上も値上がり
令和4年5月30日~6月1日の調査結果(全国平均)(画像=『Foodist Media』より 引用)

輸入牛肉価格が原油価格高騰・円安によって平年比10%アップ

食肉・鶏卵は令和4年5月9日~5月11日において、5品目(輸入牛肉、国産牛肉、豚肉、鶏肉、鶏卵)を調査。

やはり輸入牛肉の平年比110%が目立つ。輸入牛肉はアメリカとオーストラリアからの輸入が大部分を占めており、人手不足や飼料費の上昇、原油価格高騰による輸送費用の増加などが価格上昇の要因となっている。加えて、昨今の円安傾向も影響していると考えられる。

輸入牛肉以外の国産牛肉、豚肉、鶏肉、鶏卵については、目立った価格変動は見られない。

飲食店を直撃する「食材高騰」。たまねぎは平年の2倍以上も値上がり
令和4年5月9日~5月11日の調査結果(全国平均)(画像=『Foodist Media』より 引用)

漁獲量減少や原油価格上昇により魚介類全体で価格上昇

魚介類は令和4年5月9日~5月11日において、4品目(まぐろ、えび、ぶり、さけ)を調査している。

前月比ではいずれも99〜102%におさまっているが、平年比では104〜112%と価格が上昇している。要因として考えられるのは、ロシア産水産品の禁輸や物流網の制限による価格上昇、漁獲量の減少など。また、魚介類についても、原油価格高騰や円安が影響している。

飲食店を直撃する「食材高騰」。たまねぎは平年の2倍以上も値上がり
令和4年5月9日~5月11日の調査結果(全国平均)(画像=『Foodist Media』より 引用)

小麦粉と食用油の大幅な価格上昇、ほかの加工食品にも影響

加工食品は令和4年5月9日~5月11日において、16品目(食パン、即席めん、ゆでうどん、小麦粉、牛乳、チーズ、豆腐、食用油など)を調査している。

特に目立つのは小麦粉、食用油(キャノーラ油、サラダ油)、マヨネーズなど。令和2年の価格を100として調査時点の価格を指数化した数値をみると、小麦粉は113.2、食用油は特にキャノーラ油が130.8となっているのが目立つ。サラダ油も119.7と大幅な上昇。また、食用油を主な原料とするマヨネーズも、食用油の価格上昇を受けて117.2となっている。小麦粉については、小麦の国際価格高騰や円安により、輸入小麦の政府売渡価格が引き上げられたことが大きな要因とみられる。

飲食店を直撃する「食材高騰」。たまねぎは平年の2倍以上も値上がり
令和4年5月9日~5月11日の調査結果(全国平均)(画像=『Foodist Media』より 引用)

輸入に頼らざるを得ない食品は、原油価格や円相場などによって価格が変わってくる。世界情勢の不透明感もあり、今後も飲食店の経営に大きく影響を与えそうだ。

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提供元・Foodist Media

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