コンディショニングとは

高重量での筋トレができるようになる?ファシアリリースの効果と方法
(画像=shutterstock_2054081372-1.jpg)

コンディションを整えるのに役立つ「物」、あるいは「プログラム」を実践すると、競技能力の向上に役立つ。もちろん、改善したい要素や強調したい要素は競技ごとに異なるため、アプローチの仕方も競技ごとに異なる。

例えばボディビルダーが求める理想のコンディションは、マラソンランナーが求めるものとは明らかに異なる。そのため、理想のコンディションを作るための方法も異なり、食事などもまるで違うのである。

それでも、大半のアスリートに共通していることがある。それはトレーニングプログラムや練習、稽古などをやり過ぎたり、負荷をかけすぎたりすると頻繁にケガを負ってしまうということだ。しかし、これらのケガの多くは、コンディショニングを意識し、実践することで予防できる場合が多い。調整のためのコンディショニングプログラムは、特定の能力を伸ばすためのトレーニングプログラムとは反対のことを行うことが多い。

例えば陸上競技選手は、コンディショニングプログラムにウエイトを使った運動を数多く取り入れる。その目的は筋肉のアンバランスを防ぐためだ。陸上競技のトレーニングでは大腿四頭筋が顕著に発達するが、その拮抗筋であるハムストリングは弱いことが多い。大腿四頭筋とハムストリングの力の差が広がれば広がるほど、表と裏の筋肉のアンバランスが大きくなり、それがケガの原因になってしまう。

このような筋肉のアンバランスが原因のケガであれば、筋力バランスを保つために、弱い側の筋肉に負荷をかけたウエイトトレーニングを行うのが最適だ。つまり、ケガをしない理想のコンディションを作るためにウエイトトレーニングを活用するわけである。

ボディビルダーにとっての理想のコンディションは、筋肉がギュッと詰まった印象で、体脂肪を極力減らし、筋肉のセパレーションやバスキュラリティなどのデフィニションが極められた状態だ。

そのため、ボディビルダーはコンテストの準備期に入ると、有酸素運動を積極的に行って体脂肪の燃焼を促そうとする。ならばいっそマラソンでもやれば短期間で体脂肪が落ちそうなものだが、筋肉量の多いボディビルダーがマラソンを行えば、下半身の筋肉を断裂してしまう可能性が高まってしまう。

そのため、ボディビルダーは作り上げてきた筋肉を維持しつつ、カロリー燃焼を促して心肺機能を高める目的で有酸素運動やHIIT(高強度インターバルトレーニング)を減量期に行うのだ。これがボディビルダーの理想のコンディションづくりに効果を発揮するやり方なのである。

疲労回復もコンディショニングのひとつ

アスリートにとって目標への近道があるとすれば、それはおそらく、疲労回復機能を高めることではないだろうか。

疲労から回復しやすくなれば、次のワークアウトや訓練、稽古までの期間を短くすることができる。あるいは、高強度のトレーニングを今までより頻繁に行うことができるようになるはずだ。

強度の高いトレーニングや量の多いトレーニングを行うと筋肉のダメージは大きくなり、当然、疲労が回復するまでに長い時間がかかる。また、そういう内容のワークアウトでは、セット間の休憩時間も延ばさないと次のセットを予定通りに完遂することができなくなったりする。

中途半端にしか回復していないのに、無理に次のセットを開始したり、あるいは次のワークアウトを行ってしまうと、動作や負荷のコントロールがうまくできなくなり、それがケガの原因になることもあるのだ。

さらに、ワークアウト後、しばらくしてからやってくるDOMS(遅延性筋肉痛)に悩まされる時間も長くなるし、イライラして眠れず、不調に陥ってしまうこともあるだろう。これらのことは、疲労回復が今よりも早くなれば解決できる問題なのだ。

筋発達のためのウエイトトレーニングも重要だが、体調を整え、体脂肪を減らして、筋肉の質を高めるコンディション作りのためのプログラムにも配慮しているボディビルダーは、やはり疲労からの回復が早いようだ。HIITなどの運動は持久力やスタミナも養うので、ステージ上でも息を切らさず、しっかりポーズを維持してアピールすることもできる。

こうしてみると、筋発達ばかりに気を取られるのではなく、コンディショニングにも配慮した総合的なプログラムが有用であることが分かってもらえるのではないだろうか。