ファシアリリースは治療法
ファシアリリースは、炎症があったり硬くなっているファシアを探し当て、その部分を集中的に和らげるための治療テクニックのひとつである。炎症が起きている部分があると、ファシアはそこの組織の厚みを増していく。この状況が起きると、体には痛みや不快な感覚が出始める。これはファシアに異常が起きていることを警告するサインと捉えることができる。痛みはさらに緊張を高め、その緊張が炎症をさらに悪化させるという悪循環に陥る。この状態を長く放置すれば、その部位の柔軟性は失われ、可動域が制限されるという事態を招くことになる。この悪循環を解決するための方法としてファシアリリースがある。ファシアリリースを行う目的は、マッサージやフォームローリングなどのテクニックを通して組織の緊張を和らげ、ファシアで起こっている悪化のサイクルを食い止めることだ。
硬くなったファシアを放置すると出てくる症状
- ●体のあちこちに痛みがある
- ●習慣的に頭痛に襲われる
- ●動作の可動域が制限される
- ●柔軟性が乏しくなり、いわゆる体が硬くなる
- ●日常生活に支障が出るほど動作が制限される
- ●筋肉やその他の臓器への血流量が制限される
直接的な刺激と間接的な刺激
ファシアリリースは、人に施術してもらう方法と自分で行う方法に分けることができる。また、患部に与える刺激についても、直接的なものと間接的なものがある。人に施術してもらう場合は、受ける側は全身をできるだけリラックスさせた状態に保つ。一方、自分で行う場合は必要に応じて負荷をかけるようにする。
また、患部に直接的な刺激を与える場合は、患部組織がほぐれるまで、一定の力を持続的にかけ続ける。硬くなっている患部にダイレクトな負荷をかけるやり方は、場合によっては顔をしかめたくなるほどつらく、不快に感じられるかもしれない。しかし、直接的な刺激ではそうする必要がある。それだけ強い負荷をかけることで、硬くなった患部のファシアをほぐしていくことができるのだ。間接的に刺激する場合は、直接的な刺激と異なり、大きな力は不要である。ただし、患部を心地よい範囲でストレッチさせた状態にして、弱い負荷をかけることが必要になる。