日本共産党は「共産主義」放棄の大改革が不可欠
2021年の総選挙の結果、立憲・共産両党の「閣外協力合意」は失敗し、両党とも得票数も議席数も減らし敗北した。その原因は、両党に比べて「改革志向」が強い「日本維新の会」に若年層や無党派層などの大量の票を奪われたことと、それよりも重要なことは、日本国民の共産主義に対する恐怖心である「反共産アレルギー(共産党拒絶反応)」の影響によるものと筆者は分析している。
このため、立憲民主党執行部は、「閣外協力」を白紙に戻し、現在共産党との「選挙共闘」に消極的であり事実上拒否している状態である。
日本共産党が立憲民主党など他の野党との「連立政権」参加により政権に近づくためには、他の野党及び国民の「反共産アレルギー(共産党拒絶反応)」を解消する必要がある。そのためには、イタリア共産党のように、「共産主義イデオロギー」であるマルクス・レーニン主義(科学的社会主義)を放棄し、社会民主主義政党に大改革することが不可欠である。
すなわち、マルクス・レーニン主義の核心である「暴力革命(敵の出方論)」と「プロレタリアート独裁(社会主義をめざす権力=党綱領五の16)」の概念を新綱領において明確に放棄し、「法の支配」と「議会制民主主義」に基づき改革改良を目指す社会民主主義政党に大改革する必要がある。
さらに、党最高幹部の独裁をもたらす党規約3条で定める「民主集中制」を放棄し党内民主主義を確立する必要がある。「民主集中制」は共産党が政権を獲得した場合に国政において共産党最高幹部の独裁をもたらす危険性があるからである。旧ソ連のスターリン独裁がその実例である。
そして、共産党は、日米安保と自衛隊を認め、日本の「抑止力(反撃能力)」強化を容認する必要がある。なぜなら、ロシアによる国際法違反のウクライナ侵略や、核を含む軍事力を増強する中国・北朝鮮の脅威を考えれば、日本の安全保障上「抑止力(反撃能力)」の強化は必要不可欠だからである。
上記の大改革をしなければ、日本共産党は半永久的に政権に近づけないであろう。
なぜなら、立憲民主党をはじめとする他の野党や多くの国民が、暴力革命とプロレタリアート独裁を核心とする「マルクス・レーニン主義(科学的社会主義)」に立脚する日本共産党への恐怖心による拒絶反応を示すのみならず、安保条約廃棄と自衛隊違憲解消を主張し、安全保障上必要な「抑止力(反撃能力)」を完全否定する「非武装中立」の日本共産党に対しても、「連立政権」への参加を現在及び将来にわたって拒絶し続けるであろうからである。
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注1)日本共産党中央委員会著「日本共産党の70年」上巻240頁。1994年新日本出版社
注2)小泉信三著「私の平和論について」小泉信三全集第10巻463頁。昭和42年文藝春秋社
注3)レーニン著「国家と革命」レーニン全集第25巻432頁。499頁。1957年大月書店
注4)レーニン著「プロレタリア革命と背教者カウツキー」レーニン全集第28巻249頁。1958年大月書店
注5)「革命が平和的か暴力的かは敵の出方による」=宮本顕治著「日本革命の展望」315頁。1966年日本共産党出版部。不破哲三著「人民的議会主義」244頁。1970年新日本出版社
文・加藤 成一/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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