最近、日本国内で長期滞在のツアーが人気だそうです。

長期滞在といっても何か月も滞在するというスタイルではなく6~10日間位のんびり滞在して「暮らすように旅する」というのがコンセプトのようです。これまでは旅行というと添乗員が同行して何か所かを周遊するタイプか、フリープランといってホテルと交通手段だけ手配してあとは旅行者が自分で調べて探して情報を得、現地で行動するというタイプが一般的だったと思います。

この長期滞在ツアーの特徴は自由度のあるフリープランの良さと添乗員が同行して滞在中にアドバイスしてくれたりする安心感もあるパッケージツアーの良さの両方が揃ったツアーと言えるでしょう。一度参加するとリピーターになる方も多いそうですよ。とはいえ「1か所に6日間もいていったい何するの?」という疑問や不安を持つ方もいらっしゃることでしょう。

今回は阪急交通社の「長期滞在の旅」シリーズの第一弾である北海道「釧路」についてのお話です。このコースに何度も添乗し、現地に大変詳しい添乗員の内貴 隆洋さんに釧路の魅力と釧路に滞在して具体的にどんなことができるのか、おススメスポットを語っていただきました。

目次
1. 釧路観光を楽しむにはまず街歩きから
2. 釧路の美しい夕景

1. 釧路観光を楽しむにはまず街歩きから

釧路に何日か滞在するのなら、いきなり遠くへ行くのではなく"街を歩いてみる"のがいいですね。

1.1 幣舞橋(ぬさまいばし)

まず、夕日のスポットでも紹介される釧路川に架かる幣舞橋(ぬさまいばし)です。現在の橋は昭和51年より使われている5代目になる橋です。"北海道三名橋"にも数えられている全長124mの橋です。橋には4つのブロンズ像が「四季の像」として建てられ、それぞれ春夏秋冬を表現しています。夕日の名所として名高い橋ですが夜になると街灯の灯がともり異国的な雰囲気を醸し出しています。橋の向こうの旧日本銀行釧路支店の建物もライトアップされており夜景に彩を添えています。

新しい旅のカタチ「北海道 釧路長期滞在の旅」で体験できること
(画像=『たびこふれ』より引用)

1.2 北大通

この幣舞橋より駅の方向へ伸びる大通りが「北大通」であり、かつては釧路のメインストリートとして多くの人の往来で賑わっていた所です。駅までの距離は約1km、特に賑わっていたのは昭和40年代頃で、残念ながらかつての繁栄の面影を想像するのは難しいですが、散歩がてら歩いてみるのもいいでしょう。

新しい旅のカタチ「北海道 釧路長期滞在の旅」で体験できること
(画像=『たびこふれ』より引用)

この数年の間に廃業した古いビルの一部も壊され新しいビルに建て替わり、少しずつかもしれませんが賑わいを取り戻そうとしています。最近では「釧路市中央図書館」も移転してきました。読書やDVDを鑑賞できる場所もあり、ゆっくり時間を過ごすことも出来ます。

新しい旅のカタチ「北海道 釧路長期滞在の旅」で体験できること
(画像=『たびこふれ』より引用)

北大通にも飲食店が数軒あるのですが、地元の喫茶店に入ってみるのもいいですよ。北大通にも休憩できるお店はありますが、大通りを一歩入ったところには釧路でも一番古いかも?と言われる喫茶店があります。

そういう店に行けば昔の賑わっていた頃を知る地元の方と知り合えるかも?と期待が膨らみます。北大通を外れた所にもレトロな純喫茶もあり、そういう店を巡ってみてもいいでしょう。

1.3 朝の釧路市内と、釧路の街を見渡せるスポット

朝の釧路市内の様子です。

新しい旅のカタチ「北海道 釧路長期滞在の旅」で体験できること
(画像=『たびこふれ』より引用)
新しい旅のカタチ「北海道 釧路長期滞在の旅」で体験できること
(画像=『たびこふれ』より引用)
新しい旅のカタチ「北海道 釧路長期滞在の旅」で体験できること
(画像=『たびこふれ』より引用)

次に幣舞橋を渡って南に進むとロータリーがあり、そこから見上げると花時計、その上には幣舞公園があり、標高の高い位置から釧路の街を見渡すことができます。

新しい旅のカタチ「北海道 釧路長期滞在の旅」で体験できること
(画像=『たびこふれ』より引用)

戦後にヒットした釧路を舞台にした原田康子の小説「挽歌」の歌碑も建っています。

新しい旅のカタチ「北海道 釧路長期滞在の旅」で体験できること
(画像=『たびこふれ』より引用)

もっと高い位置から街を見たいなら、さらに上がったところにある釧路市生涯学習センター(まなぼっと幣舞)があり、こちらの10階は無料で入場できる展望台になっていて地元で人気です。日中はもちろん夕日・夜景も楽しめる場所です。展望台の階下の9階にはレストランもあり、釧路の街並みを眺めながら食事も楽しめます。とても景色が良い場所なので高級店かと思う方もいらっしゃいますが、とてもカジュアルでランチ、午後のお茶タイム、夕食にもお手軽に利用できます。3階には美術館もあります。

1.4 歌碑めぐりと港文館

この「まなぼっと幣舞」を出て下り南大通へ行くといくつかの歌碑を見つけられます。それらは明治時代にわずか76日間釧路に滞在した「石川啄木の歌碑」です。釧路川より北側に1つ、残り24個は南側に点在しており、それらを巡ることもできます。

歌碑めぐりの地図は観光用として用意されていて、地図を片手に巡る時間を過ごすにもよく、南側は駅のある北側と比べると坂道も多いため、ちょうどよい運動にもなります。すべての歌碑を巡るのが大変なら「港文館」にいってみるのもいいでしょう。石川啄木が勤務した釧路新聞社を再現した建物で、2階には啄木についての資料も一部展示されています。

新しい旅のカタチ「北海道 釧路長期滞在の旅」で体験できること
(画像=『たびこふれ』より引用)

1階には喫茶店もあるので休憩してみるのも良いでしょう。港文館の外には石川啄木の銅像も建っています。

新しい旅のカタチ「北海道 釧路長期滞在の旅」で体験できること
(画像=『たびこふれ』より引用)

1.5 春採湖(はるとりこ)

歩くには少々大変かもしれませんが、幣舞橋から約2kmの場所に「春採湖(はるとりこ)」という小さな湖があります。(湖の周囲は4.7kmほど)

新しい旅のカタチ「北海道 釧路長期滞在の旅」で体験できること
(画像=『たびこふれ』より引用)

ここ「春採湖」は野鳥の観察地としても知られており、湖畔のネイチャーセンターを訪れて、話を聞くのもいいでしょう。湖の周囲は遊歩道として歩くこともでき、時間帯によっては近くの学校の運動部の学生たちがトレーニングで湖の周囲を走っている場面にも出会えます。湖の周辺にはスーパーなどの商業施設もあり、人気の回転すし店、温泉入浴施設もあり、地元の人で賑わっています。また近くには有名な「六花亭」もあります。釧路川をはさんで南側の町の方が住宅や学校が目立ち、地元の人の生活を感じることができるでしょう。

1.6 和商市場

地元の人々の買い物は、釧路もチェーン店のスーパーがありますが、そんな中で道内外でも知られている「和商市場」は凄い活気を感じられます。釧路駅のすぐ近くで観光客も食事に多く訪れるところです。

新しい旅のカタチ「北海道 釧路長期滞在の旅」で体験できること
(画像=『たびこふれ』より引用)

市場には魚介類を中心に多くの商店が入っていて、地元の方も買い物に訪れます。観光客に人気が高いのは「勝手丼」という海鮮丼で、白ごはんだけがはいった"どんぶり"を買い、そのごはんの上に海鮮丼の具材になるネタを買って乗せていき、自分のオリジナル海鮮丼を作っていくもので、大好評です。釧路に行かれる際にはぜひ、北の味覚のつまった自分だけの『勝手丼』を作ってみることをお勧めします。

また、勝手丼以外にも、ラーメンや定食などもあり、日常的でリーズナブルな食事も楽しめます。市場でのお買い物も対面なので、知らない魚でもどのように調理すればいいのかを聞くことも出来ますし、ご自宅への宅配も扱っているので、買い物も存分に楽しめます。ホテル滞在では食材を買って調理するのは難しいですが、「和商市場」は見るだけでも楽しめます。

1.7 ショッピングセンター&地元のスーパー

釧路駅からは少し離れたところに大型ショッピングセンターも2店舗あり、中心部より施設としても充実しています。地元のスーパーだと「あいちょう」という名前のスーパーがあります。地元のスーパーですが、珍しいことにアメリカの大型店舗のコストコの商品も一部取り扱っています。これは、コストコの商品を地元の方が購入できないため、「あいちょう」の方が交渉して、取扱いが実現しました。そんな「あいちょう」は地元の方に密着した店舗ですので、地元ならではの商品を探すのもまた楽しみの一つです。

2. 釧路の美しい夕景

釧路は「夕日が美しい街」としても知られています。

日没時間が近づくと釧路川に架かる北海道三名橋と名高い「幣舞橋(ぬさまいばし)」には、多くの人が集まります。この幣舞橋から見る夕景は"釧路の代表的な景色"として有名で、とくに天気の良い日の夕景は感動します。私自身としては「瀬戸内海の夕景」と甲乙つけがたい景色です。

新しい旅のカタチ「北海道 釧路長期滞在の旅」で体験できること
(画像=『たびこふれ』より引用)

ちなみに今回は10月に訪れましたが、幣舞橋からの夕日を見るのには「10月と3月が良い」と言われます。その訳は、この時期は幣舞橋からちょうど太平洋に沈む夕日を見ることができるからです。私が訪れたのは10月10日で、日没時間は16時40分頃でした。日没の時間が近づくと、夕日で染まる景色を求めて、多くの人達が幣舞橋に集まりました。その多くは観光客ですが、地元の方も思わず足を止めてしまうようです。毎日のようにここを通学で通る学生さんも、スマホを取り出して写真を撮ったり、地元の方々が思い思いに夕日が沈む様子を眺めていた光景がとても印象的でした。

新しい旅のカタチ「北海道 釧路長期滞在の旅」で体験できること
(画像=『たびこふれ』より引用)

この日は少し雲がかかり、太平洋に沈む夕日を最後まで見ることができませんでしたが、それでも雲の間から強い光を放つ夕日にまわりの建物が紅く染まっていくその様は、幻想的な景色でした。雲一つなく空が真っ赤に染まるのが一番良いという方もいますが、雲がありグラデーションが描く景色がいいという方もいます。また、幣舞橋の上流の久寿里橋でカメラを構えて、夕景の写真を撮る人もいたりと、人それぞれの好みの景色を楽しんでいたようです。

ちなみにこの釧路の夕日は、インドネシアのバリ島・フィリピンのマニラ湾と並んで「世界三大夕日」と称されているそうです。世界中の海をまわり、多くの夕日をみてきた船乗りたちが伝えたという説もあります。

太陽が沈み、辺りが暗くなると幣舞橋を中心に街灯がともります。先ほどの紅に染まった景色から異国のような景色にかわります。夕景から夜景までその場を離れず景色を楽しむ方も多いようです。

新しい旅のカタチ「北海道 釧路長期滞在の旅」で体験できること
(画像=『たびこふれ』より引用)