キッチンカーだけじゃない!店舗型モビリティ
コロナ禍後、同社はすぐさまオフィス街から住宅エリアに活動の場を移し、2020年4月から2ヶ月間で3万食以上を販売。同年6月には「Beyond MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービスに異業種を掛け合わせたサービス)」を視野に入れ、キッチンカーだけでなく、あらゆるサービスや小売の店舗型モビリティを推進する事業「SHOP STOP(ショップ ストップ)」を打ち出した。これによって、鮮魚店や自転車修理店、八百屋、マッサージ店といった業態やサービスが拡大。出店場所各地を「バス停」に見立て、例えば同じ場所に朝はカフェ、昼はフード、夕方は八百屋、夜はちょい飲みできる業態を配車するなど“空間のマルチユース化”を行う。
中でもショッピングセンター(SC)やスーパーマーケット(SM)前では、移動型ファイナンシャルプランニング(FP)が成功しており、若いファミリー層が週末の買い物ついでにライフプランを相談する事例が増えているという。
また少子高齢化や過疎化が進む地方都市に店舗型モビリティを増やし、買い物やサービスを提供する場を作るなど、地方創生にも注力。こうした動きに期待し、提携する全国の行政・自治体も後を絶たない。例えば兵庫県神戸市では開発中のJR三ノ宮駅前を「モビリティーゾーン」として常設型パークエリアを設置。殺風景になりがちな開発エリアに活気を呼ぶ。
未来の料理人の選択肢にもなってきている
現在、メロウの登録車数は、前年比41%増の1609台(2022年4月現在)。業態はうち9割が飲食だ。また出店場所を提供する空き地の保有者は、不動産デベロッパーからゼネコン、学校、政府機関など多業種に広がっており、前年比50%増の全国624箇所(2022年4月現在)と伸長する。
そして全国各地の調理師専門学校では、将来有望な飲食業態として、キッチンカーでの演習が授業に組み込まれる例が増えており、メロウも授業を担当する機会が増えている。こうした教育機関での注目の高さから今後もキッチンカー をはじめとする店舗型モビリティは増えるだろう。
「モビリティの可能性はまだ未知数。各業種に対し、どうしたら成立して利益を出せるか、丁寧にコンサルして多くの成功例をまずは作りたい」(森口氏)と前置きした上で、今後、同社は収集するビッグデータを活用し、商品開発や配送ロジックの改善を行うなどして、街に継続的な変化をもたらせる事業を展開するという。