「投資」というと、「まとまったお金が貯まってから始めるもの」というイメージを持っている人も多いでしょう。確かに「投資」と聞いて真っ先に思い浮かぶ「株」の取引には数十万円、数百万円のお金が必要ですが、実は「ミニ株」というものを利用すれば少額でも株に投資できます。その他、投資信託は少額から買うことができますし、NISA・つみたてNISA、iDeCoなどの税制優遇制度では100円あれば積立投資を始めることができます。
今回は人気の楽天証券にフォーカスし、楽天証券で利用できる少額投資のサービスをご紹介します。
■保有資格:日本FP協会認定AFP
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ミニ株とは?
ニュースなどで「ソニーの株が1万2,000円に値上がりした」とか「トヨタの株価が9,500円を割り込んだ」など、株の値段に関する情報を目にすることがあります。株は原則として1株では買えず、100株を1単位として売買する必要があり、この売買単位を「単元株」といいます。
しかし、証券会社によってはこの単元株に縛られることなく、その10分の1の10株単位や、1株から株を買うことができます。単元株に満たない株数で売買することを「単元未満株」と呼び、特に単元株の10分の1、つまり10株単位で売買することを「ミニ株」といいます。
現在では単元未満株のサービスは「プチ株」や「S株」などさまざまな呼び方があるため、ミニ株も単元未満株と同じ意味で使われるようになりました。
ミニ株を始めるときの証券口座選び 3つのポイント
ミニ株なら少額でも株を売買できるため、投資初心者で興味があるという方も多いでしょう。ミニ株を始めるにはまずは証券口座を開設する必要がありますが、どのように証券口座を選べばいいかを開設します。
- ① ミニ株を取り扱っているかどうかを確認する
- ② ミニ株の取り扱い銘柄数を比較する
- ③ 手数料を確認する
ミニ株を始めるときの証券口座選びのポイント① ミニ株を取り扱っているかどうかを確認する
ミニ株を始めるためには、「ミニ株を取り扱っている証券会社」を選ぶ必要があります。
株は原則として100株単位の単元株で取引されるため、単元株未満で取引できる証券会社は限られています。誰もが知る大手証券会社でもミニ株を取り扱っていないところがあるので、ミニ株を始める際はしっかり確認しておきましょう。
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ミニ株を始めるときの証券口座選びのポイント② ミニ株の取り扱い銘柄数を比較する
ミニ株を取り扱っている証券会社でも、ミニ株で買える銘柄は証券会社によって異なります。複数の証券取引所に上場しているすべての株式に加えて外国株式も買える証券会社もあれば、限られた国内株式しか買えないところもあります。
ミニ株で買いたい銘柄がある程度決まっているなら、選択肢が少なくても問題はありません。しかし、できるだけ多くの銘柄から選びたい人にとっては、その証券会社がミニ株で取り扱う銘柄数は重要なポイントです。
ミニ株を始めるときの証券口座選びのポイント③ 手数料を確認する
ミニ株では、一般の現物株式の売買とは異なる手数料体系が採用されているケースが多いので、ミニ株メインで取引を行う人は手数料もしっかり確認しましょう。
ミニ株のメリット・デメリット
- 分散投資を経験できる
- 損失がそれほど大きくならない
- 配当を受けられる
ミニ株を利用すれば数百円から、安いものであれば数十円から投資を始めることができます。そのため1万円あれば複数の銘柄を買うことができ、いわゆる「分散投資」を経験できます。
また購入金額が少ないので、リーマンショックのような大暴落が起こっても損失がそれほど大きくならないので安心です。ミニ株・単元株未満でも、株数に応じて配当を受けられるのもメリットといえます。
ミニ株投資は「金融商品の値上がり・値下がり」「配当」「分散投資」という投資の基本を小さいリスクで経験できる、投資の入り口としておすすめのサービスといえるでしょう。
ミニ株のデメリット
- 大きな利益は期待できない
- 手数料が割高
損失が小さい分、ミニ株では大きな利益が期待できません。投資の世界では元金が2倍になることはなかなかありませんが、例えば1,000円で買った株が2倍になったとしても利益はわずか1,000円です。
前述のとおり、手数料が一般の株売買に比べて割高なこともデメリットといえるでしょう。証券会社によっては「1回の売買につき最低100円」など最低手数料を設けているところもあり、このケースだと10回売買すれば手数料だけで1,000円を超えてしまいます。
楽天証券でミニ株を始めるには?
楽天証券にミニ株はない
ここまで代表的な少額投資であるミニ株についてご紹介してきましたが、人気の楽天証券でミニ株投資はできるのでしょうか。
結論からいうと、楽天証券では単元未満株で株の売買はできません。つまり、楽天証券ではミニ株投資ができないのです。
楽天証券は取り扱い商品の種類も数も業界トップクラスであるため意外ですが、少なくとも現時点では株は単元株単位でしか売買できません。
松岡紀史(ライツワードFP事務所代表)
楽天証券ならミニ株以外の少額投資を
楽天証券ではミニ株投資はできませんが、少額で投資できる商品やサービスはあります。
その代表が「投資信託」であり、また一般NISA・つみたてNISAも少額投資の制度です。さらに、老後資金を作るための「iDeCo」も少額から始めることができます。
今回は、楽天証券の「投資信託」「一般NISA・つみたてNISA」「iDeCo」をメインにご紹介します。
- 投資信託
- 一般NISA・つみたてNISA
- iDeCo
楽天証券でできる少額投資① 投資信託
投資信託とは?
投資信託とは、簡単にいえば多くの人から集めたお金を元手に、運用の専門家が株式や債券などさまざまな商品で運用する金融商品のことです。多くの人からお金を集めるので、一人ひとりは少額でも投資を始めることができます。
投資信託の最大のメリットは、少額から投資できるにもかかわらず分散投資がしっかりできることです。2つか3つの商品に分散して投資することは個人でもできますが、投資信託を利用すれば、商品によっては数千の株式や債券に、また日本だけでなく世界中の投資対象に分散投資をすることができます。
- 少額から投資できる
- 分散投資がしっかりできる
- 世界中の投資対象に投資できる
楽天証券の投資信託の特徴
楽天証券の投資信託はネット証券屈指の2,676本の投資信託を取り扱っており、買付手数料はすべて無料です。さらに、ほとんどの投資信託を100円から購入できます。定期的に積立をしたい場合も月々100円から始めることができるので、少額から無理なく投資を始めるのに最適です。
また、特に楽天グループをよく利用する楽天ユーザーにとってメリットが多く、投資信託を楽天カードで購入できるほか、投資信託の残高に応じて毎月楽天ポイントがもらえたり、株式投資の手数料などの割引が受けられたりします。
楽天証券でできる少額投資② NISA(一般NISA)・つみたてNISA(積立NISA)
NISA(一般NISA)・つみたてNISA(積立NISA)とは
「NISA」とは商品名ではなく、少額からの投資を行う投資家のための非課税制度です。株式や投資信託から得られる配当金や分配金、また売却した時に出た利益に対する税金が非課税になります。
NISAには「一般NISA」と「つみたてNISA」があります(「ジュニアNISA」は2023年で廃止予定)。
少額から投資が可能で、5年間、NISA口座で年間120万円の範囲内で購入した金融商品から得た利益(配当金、譲渡益等)に税金がかかりません。
出典:金融庁「NISAのメリット」
つみたてNISAの対象商品は、手数料が低水準、頻繁に分配金が支払われないなど、長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されており、投資初心者をはじめ幅広い年代の方にとって利用しやすい仕組みとなっています
出典:金融庁「つみたてNISAの概要」
楽天証券の一般NISA・つみたてNISA(積立NISA)の特徴
楽天証券のNISAの最大の特徴は、どちらの制度でも取り扱い商品数が業界トップクラスであることです。もともと楽天証券はネット証券の中でも屈指の取り扱い商品数を誇っていますが、NISAでもほとんどの商品を取り扱っています。
また、つみたてNISAの投資対象は金融庁が定めた要件を満たす長期・積立に適した投資信託のみですが、楽天証券ではその対象となる投資信託192本のうち、177本の取り扱いがあります(2021年9月現在)。これは証券会社全体の中でも1位、2位を争う数です。
また一般NISAやつみたてNISAにおいても、楽天カードのクレジット決済や投資信託の残高に応じて楽天ポイントを受け取れます。
楽天証券でできる少額投資③ iDeCo
iDeCoとは
iDeCoは老後資金の形成を目的とした私的年金制度で、月々5,000円という少額から投資信託を購入できます。
特徴は、何といっても税金面で非常に優遇されていることです。運用によって出た利益に本来かかる税金がかからないのは一般NISA・つみたてNISAと同じですが、iDeCoではそれに加え掛金が全額所得控除されます。所得控除によって「課税所得」が減るので結果的に税金が減り、手取りが増えます。
○ iDeCoでは、掛金、運用益、そして給付を受け取るときに、税制上の優遇措置が講じられています。
出典:iDeCo公式サイト「iDeCoってなに?」
- 運用で出た利益に税金がかからない
- 掛け金も全額所得控除される
iDeCoでは毎月手数料が発生することと、原則として60歳までは資産を引き出せないことに注意しましょう。
楽天証券のiDeCoの特徴
楽天証券ではiDeCoでも32本の商品がラインナップされており、証券会社の中でもトップクラスの取り扱い数です。
また、前述のとおりiDeCoには手数料がかかりますが、この手数料は「国民年金基金連合会」に支払うもの、「信託銀行」に支払う手数料、そして証券会社に支払う「運営管理手数料」に分かれます。楽天証券の運営管理手数料は0円なので、毎月かかる手数料は掛金を拠出した月であれば国民年金基金連合会と信託銀行に払う171円のみ。もちろん証券会社の中で最安値です。
投資信託や一般NISA・つみたてNISAの項目で紹介した楽天証券のポイントプログラムは、残念ながらiDeCoで投資信託を購入しても対象外です。
楽天証券で少額投資をするメリット
楽天証券の少額投資のメリットを紹介します。
- 手数料が安い
- ポイントプログラムが充実している
- 商品の種類が豊富
- 楽天銀行と連携するとさらにお得で便利に
楽天証券で少額投資をするメリット1. 手数料が安い
以下の表は、楽天証券でできる少額投資の手数料をまとめたものです。
サービス | 手数料 |
---|---|
投資信託 | 買付手数料:0円 |
iDeCo | 加入時手数料:2,829円 掛金拠出月手数料:171円/月 (楽天証券運営管理手数料0円) 給付手数料:440円/1回 |
NISA | 口座開設料:無料 投資信託買付手数料:無料 |
つみたてNISA | 口座開設料:無料 投資信託買付手数料:無料 |
投資信託の買付手数料は商品によって異なりますが、楽天証券は取扱商品が多く、買付手数料0円で購入することができます。 iDeCoの手数料も金融機関ごとに決められる「運営管理手数料」が楽天証券では0円になっているので、最も低コストでiDeCoを利用できる証券会社の一つです。
楽天証券で少額投資をするメリット2. ポイントプログラムが充実している
楽天証券では、楽天グループであることを活かした「ポイントプログラム」が非常に充実しています。注目すべきは投資信託の積立を楽天カードでクレジット決済できる点で、決済額100円に対して1ポイントの楽天ポイントが付与されます。
またハッピープログラムを利用することで、購入時だけでなく投資信託の残高に応じて10万円ごとに3〜10ポイントを受け取ることができます。
貯まったポイントは、新たな投資信託や株の購入に利用できます。もちろん楽天市場での買い物のほか、楽天ブックスや楽天トラベルなどの楽天グループのサービスに使うこともできるので、普段楽天のサービスをよく利用される方にとっては非常に魅力的です。
楽天証券で少額投資をするメリット3. 商品の種類が豊富
楽天証券は、すべてのサービスにおいて取り扱い商品数が業界トップクラス。楽天証券で少額から投資できる商品・サービスの取り扱い商品数は以下のとおりです。
サービス | 取り扱い商品数 |
---|---|
投資信託 | 投資信託:2,676本 |
一般NISA | 投資信託:2,676本 海外ETF:約394本 |
つみたてNISA | 投資信託:177本 |
iDeCo | 定期預金:1本 投資信託:31本 |
そもそもつみたてNISAには金融庁が定めた基準を満たした投資信託にしか投資できず、その数は2021年9月現在192本です。楽天証券ではそのうち177本と、ほとんどの商品を取り扱っていることがわかります。
また、iDeCoに関しては運用商品の数が3本から35本までと決まっています(2023年4月末までは35本を超えている場合あり)。楽天証券では32本の取り扱いがあり、上限に近いことがわかります。
楽天証券で少額投資をするメリット4. 楽天銀行と連携するとさらにお得で便利に
同じ楽天グループの「楽天銀行」「マネーブリッジ」と連携すると、さまざまなサービスが提供されます。
楽天銀行の普通預金の金利は年0.02%と、他の銀行に比べても高くはありませんが、マネーブリッジを申し込むことで5倍の金利0.1%になります。この優遇金利は、楽天証券での積立投資のために預けておいた待機資金にも適用されます。
楽天証券で投資商品を購入する際に楽天銀行から自動的に入金されるので、いちいち楽天銀行にログインする必要がありません。さらに、投資に使われなかったお金は毎日夜間に自動で楽天銀行に出金されるので、自動的に優遇金利が適用されます。
楽天証券で少額投資をするデメリット
楽天証券の少額投資のデメリットも確認しておきましょう。
- 株式に投資ができない
- 商品数が多くて選ぶのが大変
- 楽天ユーザー以外にはメリットが少ない
楽天証券で少額投資をするデメリット1. 株式に投資ができない
楽天証券ではミニ株を購入できないので、個別株を買いたい場合は単元株(100株)で買わなければなりません。単元株を買うとなると、数万円から数百万円の資金が必要になるので、少額投資では自分が希望する銘柄を買えないか、買えても1〜2銘柄でしょう。
せっかく個別株を買うならば自分が納得できる銘柄を買いたいところですが、少額では複数の銘柄への分散投資が難しくなります。
楽天証券で少額投資をするデメリット2. 商品数が多くて選ぶのが大変
前述のとおり、楽天証券で購入できる投資信託の数は2,600本を超えており、一般NISAやつみたてNISA、iDeCoといった制度で購入できる商品の数も証券会社の中でトップクラスです。
商品数が多いことはよいことですが、「少額で投資を経験してみたい」という人にとっては、逆にその商品数の多さが商品選びの際の負担になることがあります。
例えば、デリバティブ運用が組み込まれている複雑な投資信託などは、ある程度投資を経験した人でも理解が難しい商品でしょう。
楽天証券で少額投資をするデメリット3. 楽天ユーザー以外にはメリットが少ない
楽天証券で投資をすると楽天ポイントが貯まりやすいのですが、貯まったポイントは楽天証券での新たな投資に使うか、楽天グループの他のサービスで利用することになります。
楽天市場や楽天トラベルを頻繁に利用する人にとってはメリットが大きいのですが、普段楽天のサービスを使わない人にとってはメリットがありません。
楽天証券での少額投資が向いている人
楽天証券での少額投資に向いている人:手数料にこだわる人
少額投資では投資額に対する手数料の割合が高くなるので、手数料ができるだけ安いところを選びたいものです。
その点、楽天証券では投資信託の買付手数料は無料ですし、NISAやつみたてNISAの口座開設料はかかりません。また、iDeCoの手数料も業界最安値であり、投資にかかる手数料の面では最も有利な証券会社といえるでしょう。
楽天証券での少額投資に向いている人:豊富な商品から選びたい人
楽天証券はミニ株の取り扱いがありませんが、投資信託の数は業界トップクラスであり、つみたてNISAとiDeCoの取り扱い商品も上限に近い本数です。
投資する商品を自分で分析して、できるだけ多くの選択肢の中から選びたいという人にとっては、十分満足できる証券会社といえるでしょう。
楽天証券での少額投資に向いている人:楽天グループのサービスをよく利用する人
楽天証券は楽天グループであることのメリットを生かして、さまざまなポイントプログラムを提供しています。楽天銀行と連携することでポイントが貯まりやすくなりますし、投資信託の残高に応じて毎月ポイントを受け取れます。また、楽天カードで投資信託を買うことでポイントがもらえるというユニークなサービスもあります。
ポイントは楽天グループが提供するさまざまなシーンで使うことができるので、普段楽天のサービスをよく利用する人にとって、楽天証券での投資は非常に相性が良いといえるでしょう。
少額からコツコツ投資をはじめよう
まとまったお金がなくても少額で投資をする方法と、楽天証券でできる少額投資の種類をご紹介しました。少額からでも投資を始めてみると、証券会社の役割や株価指標の見方など、さまざまなことを学ぶことができます。実際のところ、多額の資産を現金で保有している人はあまりいないと思いますので、投資に興味がある人はまずは少額から始めてみましょう。
楽天証券のミニ株や少額投資についてQ&A
■保有資格:日本FP協会認定AFP
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