身近なところから、共生意識を再確認しよう
もちろん、このような出来事に遭遇しただけで「共生意識の危機」を無闇に謳うことは避けたいところです。しかし、コロナによる各種制限が緩和される中で、人々の社会的活動は間違いなく増えるでしょう。すると、「みんなが使うもの」を共有している実感が重要になる機会も増えることになります。
その時、共生意識がみんなの中で機能していないと、もっと大きなトラブルや不幸のきっかけになるかもしれません。
極端な発想かもしれませんが、どこかの国への侵攻を決断した誰かも「自分だけが使うもの」に囲まれる日々を送っていたことでしょう。その中で緊張感や葛藤はありながらも絶妙なバランスで「利害が対立する隣人」と共生していたことを忘れてしまったのかもしれません。共生意識を回復できないと、紛争もトラブルも長引いてしまい誰も幸せにはなりません。
人は人の行動に学ぶ「モデリング」を備えた動物です。誰かが共生意識を発揮し平和を作るように心がけると、他の誰かの平和を作る行動に結びつきます。逆に誰かの利己的な主張がまかり通ると、それがモデリングされてみんなが共生意識を見失うかもしれません。そういう社会に陥るのは私には良いことには思えません。
コロナ前の日常を取り戻しつつある今こそ、コロナ前には当たり前だった共生意識をみんなで再確認することも必要なことなのかもしれません。
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杉山 崇(脳心理科学者・神奈川大学教授)
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文・杉山 崇
文・杉山 崇/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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