ファミリーマート(東京都)の2022年2月期の既存店売上高伸長率は対前期比103.3%。「セブン-イレブン」は同100.7%、「ローソン」は同101.1%だったことから大手3社の中で最も高い伸長率を記録しました。

ファミリーマートの快進撃の立役者と言えるのが、20年10月、同社初のチーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)に就任した足立光氏です。日本マクドナルド(東京都)在籍時には「夜マック」を提唱し同社のV字回復に貢献するなど日本を代表するマーケターとして知られています。

なぜ足立氏の施策は成功しているのか。かつてコンビニで勤務していた私からの見解を述べます。

セブンを凌ぐ、ファミマの快進撃!  足立光CMOの仕掛けはなぜ奏功しているのか
(画像=ファミリーマートCMOの足立光氏、『DCSオンライン』より引用)

新商品と販促を
連動させて売り込む!

最大の特徴は、新商品と販促を連動させた“つなぐ” マーケティング施策を実施している点です。コンビニでは毎週、新商品がでます。しかし、それらを売り込む施策を連動させ、販売につなげられていない店が散見されます。それに対してファミリーマートは、シンプルで分かりやすい販促策によって、全国の店舗で新商品を売り込むことが徹底できている印象を受けます。

全店で実行しやすい
「わかりやすい」施策

セブンを凌ぐ、ファミマの快進撃!  足立光CMOの仕掛けはなぜ奏功しているのか
(画像=「クリスピーチキン」は一時品切れになるほどヒット商品となった、『DCSオンライン』より引用)

とくに22年2月期は、ファミリーマート創立40周年を迎えたことから、「40のいいこと!?」を掲げて、数々の新商品と連動した販促を実施しました。

具体的には、「①もっと美味しく」、「②たのしいおトク」、「③『あなた』のうれしい」、「④食の安全・安心、地球にもやさしい」、「⑤わくわく働けるお店」の5つのキーワードに基づき、商品やサービス面で、消費者に驚きと、喜びを感じてもらうという試みです。

その第1弾が、キャッチコピーに「ファミチキ越えの問題児」を掲げた、「クリスピーチキン」です。

さっぱりとした鶏むね肉と、クリスピーな衣の食感が特徴で、今までにありそうでなかったコンビニ商品に仕上がっています。醤油とにんにくを使ったシンプルな味つけながらも、次の一口が欲しくなる、子供から大人まで食べれるオールラウンドな味わいです。

これまでもファミリーマートは、魅力的な商品が多かったのですが、なかなかそれを消費者に印象づけられておらず、代表商品と言えば「ファミチキ」のみにとどまっていたように感じます。

それが、消費者の好奇心をくすぐるキャッチコピーと、“つなぐ”販促策によって、クリスピーチキンは販売から2日間で合計200万食を突破し、1日当たりホットスナック売上ランキングにおいても「ファミチキ」を抜いて1位となる大ヒット商品となりました。