目次
3. 上賀茂神社の境内のみどころ
4. 上賀茂神社の摂社と末社をめぐる
3. 上賀茂神社の境内のみどころ

上賀茂神社の境内は、なんと約23万坪ととても広いです。

授与所には無料の境内マップがあるので、ぜひ利用しましょう。
3.1 参道と芝生

上賀茂神社に行くと、まず朱色の大きな鳥居が目に飛び込んできます。一の鳥居です。

この鳥居をくぐると、両側に芝生がひろがっています。広々としていてとても気持ちがよいです。この芝生では、毎年5月に行われるの加茂競馬で、馬が疾走します。
3.2 しだれ桜

参道の右側には斎王桜(さいおうざくら)と呼ばれる大きなしだれ桜があります。春、桜の季節には、鮮やかにピンク色の花を咲かせます。
3.3 神馬舎

<画像提供:賀茂別雷神社>
参道のわきには神馬舎があります。日曜日と祝日、祭典日は神馬(しんめ)が出社します。
御祭神がご降臨の際、「馬を走らせること」を命じたことから、上賀茂神社は馬との関係が深いです。
現在の神馬はその名を神山号(こうやまごう)といい、見た目も麗しき白馬です。
出社時にはにんじんをあげることもできますので、参拝の際にはぜひ会いに行ってみてください(新型コロナウイルスの影響でお休みの可能性があります)。
ただし、馬は大きな声にびっくりしますので、周辺では静かにしてあげましょう。
3.4 立砂

神馬舎のすぐ先にある二の鳥居をくぐると目を引くのが、円錐形の美しい立砂(たてずな)です。頂上部分には松の葉がたてられています。
御祭神である賀茂別雷大神が降臨なさった神山にちなんだもので、一種の憑代(よりしろ・神様が現れる時に目印にされるもの)なのだとか。
玄関先などに盛砂をする風習がありますが、この立砂が起源になっているそうです。

立砂のすぐ横では「清めのお砂」が授与されており、初穂料は一袋500円です。
3.5 細殿

<画像提供:賀茂別雷神社>
立砂の向こうにあるのが細殿(ほそどの)。天皇や上皇など身分の高い方々が参拝された時はこの細殿で装束を整えられたのだそうです。
3.6 手水舎の水(神山湧水)

細殿の奥には手水舎があります。
この手水舎では、上賀茂神社の後ろにそびえる賀茂別雷大神がご降臨になった神山の湧き水「神山湧水(こうやまゆうすい)」をそのままくみ上げたものが使われています。

手水舎の奥には小川が流れています。
向かって右から流れてくるのは御物忌川(おものいがわ)といって祭典などに使う祭器具を洗う川です。
向かって左から流れてくるのは御手洗川(みたらしがわ)で神職が身を清める川です。この二つの川が合流するところに社殿が立ち並んでいます。
3.7 舞殿(橋殿)

上記は国の重要文化財に指定されている「舞殿(まいどの)」で、御手洗川にかかるかたちで建てられています。
葵祭では、天皇の使いである勅使がここでご祭文を読み上げます。
3.8 玉の橋

欄干の朱塗りが美しい玉の橋。神事などに使用される橋です(通常参拝者は渡ることができません)。
3.9 岩上

二つの川が合流するところの少し奥には岩上(がんじょう)と呼ばれる場所があります。
ここは葵祭の際に宮司と勅使が対面し、舞殿で読み上げられた御祭文に対しての「返祝詞」が奏上される、とても神聖な場所。
上賀茂神社のなかでも屈指のパワースポットといえます。
合わせて参拝されることの多い下鴨神社も賀茂川と高野川の合流地点に立っているので、川が合流する地点は何かパワーが生まれると信じられてきたのかもしれません。
川を渡るといよいよ神様がいらっしゃる場所に近づいてきたように感じます。
3.10 楼門

<画像提供:賀茂別雷神社>
美しい朱色が目を引く楼門。重要文化財に指定されています。
3.11 中門

楼門を入ると中門があります。一般の参拝者はこの中門から本殿に向かって参拝します。
二礼、二拍手、一礼で心を込めてお参りしましょう。楼門から中門までの間には、お札とお守りの授与所もあるので、ぜひのぞいてみてください。
3.12 本殿・権殿(京都非公開文化財特別公開)

本殿と権殿は国宝なので一般の参拝者には非公開なのですが、年に数回「京都非公開文化財特別公開」が開催されます。
この特別公開は有料(初穂料1,000円)のツアー形式になっていて、神職の方が本殿と権殿を案内してくださいます。
「京都非公開文化財特別公開」では、そのほかにも、普段は見られない歴史的な資料を鑑賞できます。
ちなみに、上賀茂神社に現在保存されている重要文化財の数はなんと1万4,000点もあるのだそう。さすがは歴史のある神社です。
現在は大河ドラマ「麒麟が来る」にちなんだ資料が公開されています。またとないチャンスですので、ぜひ参拝してみてください!
写真撮影は禁止となっていますので、文章でお届けします。

まず、中門で受付をすると、参加者には資料と浄掛(きよかけ)をもらえますので、これを首からかけましょう(この内容の展示はすでに終了しています)。
社殿の中に入ると、資料がたくさん並んでいます。その中でも必見なのは、織田信長に関する資料です。
織田信長は天正10年6月2日の本能寺の変で明智光秀の謀反により自害したというのはみなさんご存知の通り。
実は、本能寺の変がなければ、上賀茂神社に参拝していたのです。その時の神職が「織田信長様が来るから、もてなしの準備をしておいてくださいね」と書いたメモのようなものが残っていて、その日付がなんと6月2日になっているのです。
残念ながら織田信長が参拝することはなかったのですが、そんな資料が今も残っているなんて歴史ファンにはたまらない場所ですね。
そのあと、神職の案内で、本殿と権殿に行きます。
中門からみて向かって右にあるのが本殿です。左にあるのが権殿です。
「権(ごん)」というのは神道用語で「もう一つの、次の」という意味で、本殿の建て替えなどのときに、その代わりをするものなのだそうです。
本殿と権殿はともに1863年に建てられたもので、国宝です。参拝すると空気が引き締まっているように感じました。
「この期間に行けなかった!見逃してしまった!」という方もご心配なく。
年末年始や特別な行事のとき以外は、「特別公開」も行なっています(初穂料500円)。
4. 上賀茂神社の摂社と末社をめぐる

本殿・権殿の参拝が終わったら、摂社・末社をめぐりましょう。魅力的な摂社や末社が多いのでゆっくりとめぐってくださいね。
4.1 新宮神社

楼門をでて左に進むと、新宮神社があります。こちらの御祭神は「高龗神」(たかおかみのかみ)。水を司る神様で、辰年の守り神なのだとか。
新宮神社は普段は門が閉まっていて、毎月第2・第4日曜日しか開門しない知る人ぞ知る神社です。
開門した時は「神楽祈願」(初穂料1,000円、10時から16時まで受付)をしてみてはいかがでしょうか。巫女の舞の後、お祓いをして、本殿参拝ののち祈願串をもらえるそうです。
また、新宮神社には、龍が描かれた御朱印(初穂料300円)があります。興味のある方はぜひ御朱印もさずけてもらってくださいね。
4.2 片岡御子神社

上賀茂神社の中でも人気が高いのが、片山御子神社、通称片岡社です。
御手洗川の片岡橋のすぐ近くにあり、賀茂別雷大神の母神様である玉依姫命が御祭神です。「えんむすび」「子授け」「家内安泰」の御神徳があります。

片山御子神社では、紫式部の歌が刻まれたハート形の絵馬をさずけてもらえます。
えんむすびの神様だけあって、恋の願いが書き綴られた絵馬がびっしりとかけてありました。
絵馬に刻まれた紫式部の歌は以下の通りです。
「ほととぎす こえまつほどは かたやまの もりのしずくに たちやぬれまし」
(ほととぎすの声が聞こえるまで、片山の森の雫に濡れながら待っていようかな)
紫式部も通っていたと言われる片山社は、昔から自然の多い場所だったようですね。

近くには紫式部の歌碑もあります。
4.3 須波神社

岩上のすぐ近くの石段を少し登ったところにある第八の摂社です。家や敷地を守る家内安全の神様で、社は国の重要文化財に指定されています。
4.4 賀茂山口神社

境内を流れる「ならの小川」のほとりに第六の摂社、賀茂山口神社があります。通称、沢田社です。商売繁盛・子どもの成長を見守る神様で、午年の守り神でもあります。

賀茂山口神社の前には「渉渓園(しょうけいえん)」という庭園があります。
苔の緑が目にも鮮やかな庭園で、ゆっくり散歩すると心が洗われるようです。
ここで平安装束の歌人達が盃を流しながら歌を詠むという祭事「賀茂曲水の宴」(かもきょくすいのえん)が行われます。
4.5 願い石

賀茂山口神社を参拝した際には、願い石でパワーをもらいましょう。
「渉渓園」には昔、龍の住む池があったそうです。その池から出土したのがこの「願い石」です。ふたつにわかれたような形をしていることから、陰陽石(おんみょうせき)とも言われています。
この石に両手を同時にあてるとパワーを感じるのだそう。ぜひ願い石のパワーをもらってください。
4.6 ならの小川

御物忌川と御手洗川が合流して「ならの小川」となります。
「かぜそよぐ ならのおがわのゆうぐれは、みそぎぞなつの しるしなりける」
鎌倉時代初期の歌人、藤原家隆がこのように詠んで、百人一首にも選ばれています。
その水は清らかで境内をゆく人の心を癒してくれます。夏には川に入って遊ぶ子どもたちの姿も見られますし、川岸に腰をかけ、心を癒す人の姿もあります。
神社を参拝するだけではなく、自然のなかで心癒す時間を与えてくれるのが上賀茂神社の何よりの魅力です。

<画像提供:賀茂別雷神社>
秋の紅葉も美しいならの小川。

<画像提供:賀茂別雷神社>
雪が積もる冬は風情があります。
「ならの小川」の下流には第十六の摂社、病を治す神様「山森神社」や、第十七の摂社、下の病の神様「梶田神社」もありますので、ぜひ参拝してみてくださいね。