消費者ローン一般にも同じルールを適用してしまった
もっと問題なのは、ローンや家賃ほど契約に縛られずに自由裁量で借りたり、借りなかったりできるはずの消費者ローンまで、同じようにコロナ期間中は支払いが遅れても延滞扱いにしないことにしてしまったことです。
その結果、コロナ期間中にクレジットカード・ローン(分割払い分+毎月の〆で決済できなかった分+カード融資枠を使った分)が激増しました。
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もう少し、細かく言いますと、最初の大型補正予算で失業保険の割増や一律の臨時給付が出たときには少し返済に回して減ったのですが、ロックダウンやワクチン接種の義務付けなどが長引くにつれて、また増えていったのです。こちらもまた、表面的には延滞率がとても低くなっているのは、払い遅れても延滞に勘定しないという特例のためです。
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そして、こちらでも「コロナ明け」の地域が増えるにつれて異常なほど低かった延滞率が徐々に上昇に転じています。今までのところ、自分の債務が不良債権として回収屋に売られて、怖そうな人が取り立てに来たといった事例は、アメリカ社会としては例外的に少ないようです。
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また自己破産件数も、コロナ特例のおかげで低水準にとどまっています。
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ですが、債務の延滞件数が低かったのは、一時しのぎの弥縫策に過ぎませんでした。すでに、延滞件数は増加に転じています。回収業者による取り立てや、自己破産が上向きになるのも時間の問題でしょう。
小売の中でも業態によって好不調はあるが
なお、この間アメリカの個人消費で好調だったのは、自動車と住宅だけではありません。じつにいろいろな分野で、一見順調に消費が伸びていました。
国民経済計算上は、自動車が最大の消費項目で、その次に大きな消費分野にのし上がってきたのは無店舗販売、インターネット通販とかeコマースとか呼ばれているカテゴリーです。
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この分野もまた、最初の大型補正で履いたゲタをそのまま履きつづけて、やや伸び率も上昇気味です。月商800億ドル前後で3番手争いをしているのが、製品や農林畜産物からなる食料・飲料販売と、外食のレストラン・バーです。
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ロックダウンがあって恩恵を受けたのは食料・飲料品店であり、被害を受けたのがレストラン・バーだという違いはありますが、ほぼ同じような規模です。そして、あれだけこまごまとした規制で痛めつけられ、資金力のない個店経営の飲食店がそうとうな数で店じまいに追いやられたにもかかわらず、本格回復に入ってからはレストラン・バーの伸び率が目立ちます。
やはり、時代はモノからサービスへと移行しているのでしょう。
月商600億ドル前後での5番手争いでの異変は、従来安定した売上高を誇っていたスーパーなどのジェネラル・マーチャンダイジング・ストアの伸び率が低く、地方ではガソリン以外にもさまざまな日用品を売っているガソリンスタンドがスーパーを抜いたことでしょう。
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アメリカのガソリンスタンドはガソリン価格が低いと、全分野で売上が低迷しますが、高いとそこで得た利益で補填してほかの商品を安値で売ることによって、急激にスーパーやコンビニのシェアを食ってしまいます。これは、日米ともにドラッグストアが高値で売れる処方箋薬品の超過利潤でその他の商品を安売りするのと、似た構造です。バイデン政権に代わって、化石燃料廃絶政策を打ち出したころから、石油製品の中でもガソリンの値上がりが目立ち、その結果ガソリンスタンドの売上高が激増しているわけです。
スーパーの売上がほかの業態に比べてパッとしないのは、アメリカ中で大きなモールの集客力が落ちていることも関連しています。
大型スーパーは、郊外型デパートと並んでモールのキーテナントだったからです。