東京に引っ越して早2年が経つ。
遂に生きているうちに絶対行きたい日本のダイビングスポット1位だった小笠原諸島に行くことを達成した。もう未練はない。
いや待て。まだ小笠原諸島ではドルフィンスイムとホエールウォッチングしかしていないぞ。生物多様性に溢れる海をスキューバダイビングでも潜ってみたい…。
初めての小笠原は、フリーダイバー篠宮龍三の率いる素潜りトリップで訪れた。キャンセルで空席が出たことをFacebookで見つけ、衝動で値段も聞かずに申し込んだ。
深海まで突き抜けるような青さの透明度が印象的な秋の海だった。
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上級者向けダイビングエリアを潜り渡るダイバーが集う海
前回の素潜りトリップ時にチャーターしていたボートの「ダイビング&ペンションFISHEYE」笠井船長と、クルーでダイビングガイドの久保田君との会話で、筆者である自分が元々スキューバダイビングのガイドで、今はオーシャナで記事を書いていることを話した。
笠井船長からは
「小笠原には夏のマッコウクジラ、冬のザトウクジラ、1年中イルカと泳げて、世界大戦のレックにテクニカルダイビングもできるし、フリーダイビングもサポートできる。船上キャンプで秘境の無人島に潜りにいける。こんなところ他にはないよ!取材に来てよ!」
とラブコールを。そしてガイドの久保田君からは「ゴールデンウィーク手伝ってください!」とお誘いをいただいた。
半分冗談だろうな、と思いつつも「仕事で来れたら最高だな…」と心の内にそっと秘めていたが、なんと半年足らずで実現してしまったのだ。
オーシャナの取材…ではない。GWのダイビングガイドのお手伝いだ。
飛行機で気軽に帰れない交通の便の悪さもあり、小笠原諸島には「本気で海が好きな人」が集まるが、それ故に人材不足が課題となっているようだ。
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FISHEYEは神子元島や与那国島、粟国島など上級者向け大物・群れポイントを潜り渡る猛者達が集う。小笠原諸島の中でも屈指のハイレベルなガイドサービスだ。
そのような場所に呼んでもらうのは光栄でもあり刺激的だ。約2年ぶりのガイド復帰に腕がなる。渡航の1週間前からは足腰の筋トレを始めた。
今回の記事では、小笠原諸島で大物・群れ狙いで潜り倒した5日間13本のダイビング旅を紹介する。小笠原でのダイビングが未経験の方も、小笠原でのダイビングが物足りなかったダイバーの方も、ガイドの隙を見てこっそり撮影したGoPro動画と切り出し画像で楽しんでほしい。
1日目:到着日から激流2ダイブ!父島の南「閂ロック」でギンガメアジを狙う
24時間30分の船旅を経て父島に到着した。海の時化でおがさわら丸の到着が30分遅れたことが響き、潮流と日没の関係から急ぎ足でダイビングの準備をしてボートへ向かう。
初日だから軽めにチェックダイブだろうと思っていたが、FISHEYEのゲストはほぼ全員リピーター。最低経験本数が100本。参加ゲストの平均本数が400本。
「明日から風向きが悪いので、行ける内に閂(かんぬき)いっちゃいます」
と久保田氏。さすがに攻めるな…
ゲストダイバーの皆さんが潜る準備をしているうちに「閂ロック」に2人で潮流チェックもかねて下見のダイブ。透視度が良くて地形も分かりやすいので泳ぐコースは問題ないが、場所によっては来た道を戻れないどころか立ち止まることもキツイくらいの激流だ。
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ここでは、水深25m付近のすり鉢状にえぐれた場所に集まるギンガメアジを狙った。群れの数は沖縄の粟国島ほど多くないが、1匹1匹のサイズがでかくて迫力がある。ロウニンアジが混ざっているのかと錯覚するほどだ。
閂ロックは潮の流れに逆らうとなればそれなりの体力が必要だが、安全なルートさえ通れば生き物を見つつ浅場の砂地まで流れる様に辿り着くこともできる。上級者向けだが、技術に応じた様々なアプローチができる表情豊かなポイントだ。
初日の父島ダイビングは、浅瀬の砂地で春の時期ならでは「ミナミイカナゴ」や「オグロオトメエイ」など日本では小笠原諸島でしか見られないような魚たちが印象的だった。
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