オミクロンの感染拡大は世界的に収束に向かっており、ヨーロッパの諸国は次の波の拡大の兆候が既に見えてきています。日本もオミクロンは収束に向かっていますが、次の第7波はどうなるでしょうか。

1.ヨーロッパの現状

コロナ第7波は来るのか:山火事理論で予測
(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

図1は、ヨーロッパ5カ国、ドイツ、フランス、ベルギー、スペイン、スウェーデンの昨年11月からの陽性者数推移です。対数表示で、各国のデータを定数倍(図中に表示)して並べています。

左右の図とも、データと実線の山火事理論の予測線(実線)は同じで、破線が、左図では1月1日時点での予測、右図では3月20日時点での最新のピークの予測です。濃いグレーゾーンがそれぞれの予測の初期状態に使ったデータ範囲です。

1月の左図破線の予測性能はデータとの比較によって検証できます。まずまずの予測精度を示していると思います。ここに含まれる不確定さが、右図の今後の予測線にも含まれることになります。5カ国ともオミクロンのピークアウトの後、新しい成分が立上っています。これを右図の破線のように予測しています。

コロナ第7波は来るのか:山火事理論で予測
(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

図2は、スウェーデンを除く4カ国を通常の線形表示したものです。紫の破線が1月1日時点の予測、赤線が3月20日時点での最新のピークの予測です。このように、陽性者の推移をピーク分解し、それぞれに山火事理論を適用しています。

2.山火事理論

山火事理論のアイデアは、「感染爆発が起きると、燃えやすいところが燃え尽きることで収束する」という仮説です。SIRモデルの集団免疫効果は、国民全体を同じ感受性を持つ者としますが、山火事理論では、個人の感受性は、通常の意味でのウイルスに対する感受性だけではなく、接触確率(3密や移動量に依存)、曝露量(マスクや閉空間の環境依存)の積として全体の「感受性」を考えます。この「感受性」は個人差が非常に大きく、ある閾値より高い「感受性」を持つ者だけが感染し、それが燃え尽きると収束すると仮定します。

この考え方を数学的に定式化し、初期状態として感染拡大初期の陽性者データの情報を使うと、その後のピークアウトの時期、大きさ、ピークの幅が自動的に決定される数学的な山火事理論が導出されます。つまり、ピークアウトのメカニズムを内蔵している理論になります。

コロナ第7波は来るのか:山火事理論で予測
(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

図3は、2020年2月から現在までの日本と世界全体の100万人当たりの陽性者推移です。日本の第1波から第6波までが、ほぼ世界平均と同期しています。世界中の国々で、様々な異なるコロナ対策を行ったにもかかわらず、平均として共通の推移を示しています。そこには普遍的なメカニズムがあるはずです。そのひとつの候補が山火事理論です。