5. 日本の家計の株式投資
今回は家計の金融資産のうち、株式投資についてフォーカスしてみました。
日本は現金・預金は他国よりも圧倒的に多いですが、株式等については主要国で低い水準です。
図6は日本の上場企業の株式の変化です。
バブル崩壊後、アップダウンはありますが停滞傾向が続いているのが特徴ですね。国内主体の持ち分も横ばい傾向が続いています。一方で、外国(黄色)の持ち分は一方的に増加しています。
日本企業の場合、株式の保有は国内主体よりも外国の方が増えている状況だという事がわかりますね。
図7が世帯主の年齢階級別に見た、家計収入の内訳です。
世帯主を主とした賃金収入が多くを占め、「利子・配当金」による収入は全世帯平均で年間2.8万円程度です。高齢層ほど多く、50歳未満では年代が下がるにつれて減っていきます。
平均でみても、全体の収入に占める利子・配当金の収入は非常に少ない水準ではないでしょうか。
ちなみに、有価証券の売却は、月平均で500円程度(家計調査より)のようです。
日本の家計は、金融資産を多く持っていますが、主に「現金・預金」として保有していて、「株式等」による資産形成にはあまり積極的でない様子が見て取れますね。
もちろん、日本の場合はバブル・バブル崩壊の経験から、必要以上に慎重になっている面もあるのかもしれません。
高齢層に偏った金融資産をいかにして消費や投資に向かわせるかというのが、フロー面での停滞が続く日本経済の大きな課題の一つだとは思います。
ただし、それ以上に重要なのは、すでに高齢層が積み上げた金融資産を頼りにするのではなく、労働世代が十分に稼げ、将来への不安を減らしていける事ではないかと思います。
皆さんはどのように考えますか?
編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2022年4月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。
文・小川 真由/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
【関連記事】
・「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
・大人の発達障害検査をしに行った時の話
・反原発国はオーストリアに続け?
・SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
・強迫的に縁起をかついではいませんか?