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あえて天敵に見やすい色に光る
守りから攻めの光に転換 結局ホタルの敵はホタルだった
あえて天敵に見やすい色に光る
1億年前、最古のホタルが誕生した白亜紀の夜は、原始的な哺乳類の活動時間でした。
私たちの祖先は恐竜たちが徘徊する危険な昼をさけて、夜の暗闇のなかでエサとなる木の実や昆虫を食べていたからです。
同じく夜に活動するホタルたちにとって、夜行性の哺乳類は最も厄介な天敵になります。
そこでホタルたちは光る色を赤から緑に変え、不味い味のする毒を体内に持つようになります。
夜行性の哺乳類にとって「緑色」は最も視認しやすい色でしたが、あえて捕食者に対して目立つことで
「不味いから食べるな!」
とアピールしていたのです。
この事実は、初期のホタルたちの発光は、捕食者に対する防御だったことを示します。
幸いこの戦略は成功し、ホタルたちは「成功した種」として、世界中に拡散していきました。
しかし、企業としての成功が必ずしも個人の利益につながらないように、種としての成功もホタルの個体としての成功にはつながりません。
ホタルのオスたちには別の血塗られた…いえ、この場合は光にまみれた種内競争が待っていたのです。
守りから攻めの光に転換 結局ホタルの敵はホタルだった
絶滅の危機から脱して余裕がではじめたホタルたちに待っていたのは、種内での生殖戦争でした。
自分の子孫が生き残るために最も障害となる存在が「天敵」から「同種のオス」に変ってしまったからです。
そして激しい競争の結果、ホタルのオスたちは発光能力を身を守る手段から、メスへのアピール手段に変更し、発光色も黄色・オレンジといった、ただ目立つだけの色にかわると同時に、光量も増していきます。
目立つ色で強く光ることでオスは
「天敵に見つかりやすい色で光っていても生き残れるオレ、有能!」
とアピールできるからです。
一方、ホタルのメスにも発光能力はありますが、オスのように強くありません。
メスたちには、オスの命がけアピールに付き合う義理はなかったからです。