宇宙が終焉を迎えても残るブラックホールの残骸

ノーベル賞受賞者ペンローズ博士は「ビッグバン以前の宇宙の痕跡」も見つけていた
(画像=繰り返される宇宙「共形サイクリック宇宙論」の漫画表現。 / Credit:maths.ox.ac.uk、『ナゾロジー』より 引用2_0-425x600.jpg)

ロジャー・ペンローズ博士は、この膨張と収縮の無限循環を続ける宇宙を説明した「共形サイクリック宇宙論」の提唱者でもあります。

この理論では繰り返される宇宙の1サイクルを「イーオン(英: aeon)」と呼んでいます。

しかし、宇宙が破滅と再生を繰り返しているとして、その証拠は今の宇宙で見つけることは可能なのでしょうか?

その鍵になるのが、ブラックホールの残骸「ホーキングポイント」です。

ブラックホールは永遠に存在する天体ではなく、ホーキング放射によって蒸発しています。たとえ銀河団を飲み込むほどの超大質量ブラックホールでも、10の106乗もの年数をかけて蒸発すると考えられています

そして、この超大質量ブラックホールの蒸発した巨大な放射エネルギーは、宇宙が押しつぶされたとき単一の「ホーキングポイント」と呼ばれる形で、後続のイーオンに残るというのです。

新しい宇宙で出現した光子は、宇宙の誕生から38万年後に膨張する宇宙の中へ解き放たれて自由に飛び回るようになります。それはビッグバンのこだまとして現代の我々が見る宇宙にまで残り続けます。これを宇宙背景放射(英: cosmic microwave background、以下CMB)と呼びます。

ペンローズ博士の理論では「ホーキングポイント」がCMBの中に満月の8倍ほどの直径の領域として記録されると考えています。