フリーターが税金を納める前に知るべき『控除』

税金を収める前に知るべき3つの控除
・基礎控除
・扶養控除
・配偶者控除
上記の3つを押さえておけば十分ですが、控除について改めて知りながら理解していきましょう
控除とは何か
控除という言葉の意味は、「金額などを差し引く」ことです。
税金を計算する際には、収入額にそのまま税率○%がかけられるのではなく、収入額から控除額を差し引いた金額に税率がかけられます。これが「控除」の意味するところです。
基礎控除
所得税と住民税には「基礎控除額」が決められています。
・所得税 48万円
・住民税 43万円
参考:国税庁「所得税」『基礎控除』より(2020年以降)
つまり、年間の収入が300万円だったとすると、300万円−48万円=252万円に対して所得税が課せられるということ。
ちなみに、2020年度より10万円控除額は引き上げられています。(以前は所得税38万円、住民税33万円)
扶養控除
所得が103万円以下の配偶者(妻や夫)以外の親族を養育している場合、扶養控除が受けられます。扶養控除額は扶養する親族の年齢によって変わります。
▼扶養控除額
扶養親族の年齢 | 控除額 |
6歳以上 | 38万円 |
19歳から23歳未満 | 63万円 |
70歳以上(同居) | 48万円 |
70歳以上(同居していない) | 58万円 |
※参考:国税庁「所得税」『扶養控除』より
ちなみに、扶養控除は基礎控除に加えて併用できるものです。
例えば、収入が300万円のフリーターが16歳の親族を扶養する場合、
所得税:300万円−基礎控除48万円−扶養控除38万円=214万円×税率
上記のように年収から基礎控除と扶養控除を差し引いた額に税率をかけることで所得税が計算できます。
配偶者控除
納税者に控除対象配偶者がいる場合には配偶者控除が受けられます。
▼控除対象配偶者の条件
・民法の規定による配偶者
・納税者と生計を共にしている
・年間所得合計が48万円以下(令和2年度以降)
つまり、配偶者に所得があっても、配偶者の年間合計所得が48万円以下であれば配偶者所得は受けられます。
▼配偶者控除の所得控除額
控除を受ける納税者本人の合計所得金額 | 控除額 |
900万円以下 | 38万円 |
900万円超950万円以下 | 26万円 |
950万円超1,000万円以下 | 13万円 |
※参考:国税庁「家族と税」より
フリーターが税金を納める方法

「フリーターが税金を収める方法ってどんなものがあるの?」
という疑問もある方も多いので、フリーターが納税の際にやるべきことを分かりやすく解説します。
フリーターは給与所得者に当てはまる
フリーターは給与所得者です。
たまに、フリーターとフリーランスを混同してしまう人がいますが、この2つは全くの別物です。それぞれの意味を正しく理解しましょう。
フリーターとは
アルバイトで生計を立てる人のこと。時間給労働者。
フリーランスとは
会社と雇用契約を結ばず、雇用主として独立して複数の顧客と契約を結び仕事を進めるスタイルの働き方。開業届を税務署に提出していれば「個人事業主」に該当する。
つまり、フリーターは給料をもらいますが、フリーランスは給料をもらうことはありません。どちらも「フリー」から始まる名前でややこしいですが、違いをしっかりと理解しておいてくださいね。
給与所得者は所属する会社が年末調整を行ってくれる(例外あり)
年末調整に関しては、ほとんどの場合フリーターであっても勤務先の会社がその作業を行ってくれるのが通例です。そのため、確定申告を自身で行う必要がありません。
しかし、中には「正社員や契約社員の年末調整は行うものの、フリーターの年末調整は行わない会社」も存在します。この場合には自分で確定申告を行う必要があります。
年末調整とは
従業員が納めるべき1年間の所得税と、従業員の毎月の給与や賞与から控除した所得税額を比較し、所得税額の過不足を調整する作業のこと。
毎年末に1年間の所得が確定した時点で所得税を算出し、納付した源泉徴収額との差額を12月(もしくは翌年の1月分)の給与で調整(追加徴収・還付)する処理を行います。
フリーターで確定申告をする方法
確定申告というととても難しいことのようにイメージする人がきっと多いのではないでしょうか。この章では、フリーターで確定申告をする方法について解説します。
確定申告を行う際には、収入を証明するものと、所得控除に必要なものを用意しましょう。必要なものは以下の4点です。
・雇用契約先ごとの源泉徴収票
・社会保険料(国民年金保険料)控除証明書
・国民健康保険の領収書もしくは引落口座の明細
・生命保険料控除証明書・地震保険料控除証明書
確定申告に関しては、業務委託の収入の有無により異なる点があります。ここから先は、業務委託収入のない場合とある場合に分けて解説します。
2箇所以上の収入源があり全て給与収入の場合
フリーターとして2箇所以上の収入源があり、その全てが給与所得である場合は、雇用先ごとに源泉徴収票を入手する必要があります。
書類の提出は、税務署に直接提出、もしくは郵送やインターネット上での提出も可能です。ただ、不慣れな場合は直接窓口に行くことで、税務署員から書類のチェックを受けられるメリットがあるので、なるべく税務署に行くことをおすすめします。
源泉徴収票とは
その年1年間に会社から支払われた給与等の金額と、自分が支払った所得税の金額が記載された書類のこと。転職の際や確定申告、またローンを組む際に必要になることもあります。
2箇所以上の収入源があり業務委託の収入がある場合
フリーターとして2箇所以上の収入源があり、業務委託の収入がある場合には、業務委託によって得た収入や経費、そして所得を自分自身で計算する必要があります。
給与所得に関しては企業からの源泉徴収があれば済みますが、業務委託で獲得した収入は、それを証明する必要があるため、契約時に取り交わした書面や支払い調書があれば必ず保管しておきましょう。
業務委託とは
企業が自社で対応できない業務を他の企業や個人に委託する契約のこと。雇用関係を結ばずに業務を行うスタイル。