デリバリーは急拡大、存在感を高める市場も
一方で、CVSやGMS、百貨店にとってはコロナ禍が逆風となっている。
CVSは、コロナ禍で近年出店を進めてきた都市部やオフィス街の店舗の利用が落ち込んでいる。日本フランチャイズチェーン協会(東京都)によると、20年度のCVSの市場規模は同4.5%減の10兆6608億円で、同協会がデータを公開している05年以降、初めて前年実績を割った。直近の21年度は同1.1%増となったものの前年度の落ち込みから回復するには至っていない。
事業構造改革が指摘されて久しいGMSは市場縮小に歯止めがかからない。近年はGMSではなくSMを中心とした運営に舵を切る企業も増えており、本特集では近年の実態に合わせて一部企業の業態区分をGMSからSMへ移行したこともあり、市場規模は5兆円台にまで縮んでいる。
同じくコロナ前から構造改革が求められてきたのが百貨店だ。コロナ禍では時短営業やインバウンド需要の消失という追い打ちを受け、20年度の市場規模は25.7%減の4兆2204億円と激減。21年度は同5.8%増となったものの、巻き返しを図れていない。
縮小する市場がある一方、新たに存在感を高めている市場もある。コロナ禍で外食の利用が落ち込むなか、各社が注力するデリバリー市場だ。エヌピーディー・ジャパン(東京都)調べによると21年の市場規模(推計)は、対19年比で89%増の7909億円と大きく拡大しているという。近年、中食需要を取り込むことで売上増につなげてきたSMやCVSなどにとっては、新たな競合として見過ごせない存在になりつつある。