著作権侵害トラブルというと、どうしても被害に遭った場合のことばかりをイメージしてしまいますが、自分が加害者として巻き込まれる可能性もあります。
「クライアントさんの指示通りに作品を作ったら、有名作家のパクリだとクレームがついた」「他の人に頼んだイラストが著作権侵害していた」等々いくつかパターンはありますが、いずれの場合も巻き込まれたらタダでは済みません。
今回は、毎度おなじみ弁護士の河野先生に、「知らずに著作権侵害してしまった」を防ぐポイントや、いわれなきクレームを付けられた場合の対処法などについてレクチャーしていただいきました。
目次
「知らずに著作権侵害」はありえない!?
タダより高いものはない!? フリー素材サイトの著作権侵害落とし穴
「知らずに著作権侵害」はありえない!?
ぽな:
著作権の問題は、作品やコンテンツを制作する人にとっては二重の意味で頭の痛い問題ですよね。どうしても「侵害された側」が注目されやすいかもしれませんが、制作側をしていると自分が知らず知らずのうちに「侵害する側」になっちゃうこともあるのかな、って思うんですよ。
河野:
なるほど。ただこれ、理論的なことをいうと、作品を作っているクリエイター本人が知らずに著作権侵害をやる……というのはありえないんですよ。
著作権侵害が成立するためには、依拠性(元ネタを参考にして作ったこと)と類似性(元ネタと具体的な表現面が似ていること)という2つの要件を満たす必要があるんですが、元ネタを知らないという時点で依拠性が否定されてしまいますからね。
ぽな:
うーん、なるほど……それはそうかもしれませんが、でも実際制作側が悪気なく巻き込まれちゃうケースもあるのでは?と心配なんですよ。
河野:
わかりました。では、心配されているのはどんなケースですか?
タダより高いものはない!? フリー素材サイトの著作権侵害落とし穴
ぽな:
フリー素材サイトに上がっている素材を制作側が使ってみたら、実は他のクリエイターさんの作品を勝手にサイトにアップしたものだった、みたいなケースもあるみたいなんです。
河野:
ああ、これはありうるケースで、しかもけっこう怖いパターンかもしれません。何が怖いって、一度フリー素材サイトに載ってしまうと、画像検索で元の画像を探すのが難しいんです。同じ画像がインターネット上にいっぱいあって当然という状況になってしまいますから。
ぽな:
フリー素材、みんな使いますもんね。
河野:
そうです。そうなると、予防策としては、「素材サイトそのものの信頼性を確かめろ」という点に尽きますよね。
ぽな:
フリー素材サイトに載っているから安心、というわけではないと。では、有料の素材を使った方が安心ということでしょうか。
河野:
それは間違いないですね。無償ということは、「無料で提供する代わりにリスクを許容してください」ということなので。いちいち調査をして確かめるくらいなら、最初から有料の素材を使った方がかえって安くて済むという考え方もあるかもしれません。
ぽな:
フリー素材サイトにはリスクが存在している、という前提を踏まえると、調査しないで使った側に落ち度がある、ということになっちゃいそうですものね……。
河野:
「ただより高いものはない」って昔から言いますからね。