まとめ

今回の検討で、ワクチンの3回目接種で感染予防効果が回復するのは明らかであるが、重要なことは、効果の持続期間である。ワクチンの追加接種を進めるにあたっては、わが国で検証した正確なワクチンの効果を国民に伝えることが、国民からの信頼を得るには必須である。

同じHER-SYSで収集したデータによるのにもかかわらず、厚労省と感染研で公表する感染者数に大きな違いがあることは、国民からの信頼を損なうことにもなりかねない。また、接種歴不明者の占める割合が高いことも、正確な感染予防効果を算出するのに妨げとなっている。

わが国における今後のワクチン行政を論じるにあたっては、HER-SYSで集積したデータの科学的な解析を進め、その結果を国民に開示することが先決である。

小島 勢二
名古屋大学名誉教授・名古屋小児がん基金理事長。1976年に名古屋大学医学部を卒業、1999年に名古屋大学小児科教授に就任、小児がんや血液難病患者の診療とともに、新規治療法の開発に従事。2016年に名古屋大学を退官し、名古屋小児がん基金を設立。

文・一般投稿/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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