あなたは家具を選ぶ時、何を重視しますか?
値ごろ感? デザイン? 流行? ブランド?
私は結婚した時、新居に置くテーブルを、部屋の広さと、凡その予算内で「まあこれぐらいかな?」という曖昧な感覚で選びました。あれから数十年、今もそのテーブルは我が家に静かに佇んでいます。
今考えてみれば、家具は2~3年で買い替えるものでもないですよね。どうせ長いつきあいになるのなら、もっと自分にしっくりくるものを探してもよかったかなと思います。
例えばテーブルは、物を置くものであり、お茶を飲んだり、ごはんを食べる場所です。その役目を果たすためには、適度な高さ、広さ、丈夫さなどが必要です。ただ機能面からみればそれで充分ですが、別の角度から見るとテーブルは家族が集う団らんの場であり、身体に触れるものであったりと、意外に一日の中で長く私たちに接するものです。そうすると、手触り、肌触りとか、質感、温かみ、癒し、安らぎ、などの要素も大事だということがわかります。
今回知人を通じて、原木から作る家具(一枚板テーブルなど)を40年以上に亘って造っておられる熊田木材工芸(KUMAMOKU)さんのと出会いがあり、モノづくりについてお話を伺いました。
私がこれまで気づかなかった、モノの見方、感じ方、向き合い方など、深い学びがありましたので、ご紹介したいと思います。
目次
熊田木材工芸とは
銘木一枚板テーブル作りを始めたきっかけとは
熊田木材工芸とは
栃木県佐野市で、原木から作る家具(メインは銘木一枚板テーブル、その他にも花台や器、椅子など)を作り続けている熊田侠児(きょうじ)さん、悦子さんご夫妻が営む工房です。作品はすべてオーダーメイドの一品物で、昭和55年の創業以来、40年間に作った作品数は3,000を超えています。

<左から熊田侠児さん悦子さんご夫妻>
以下、熊田ご夫妻にお話を伺いました。
銘木一枚板テーブル作りを始めたきっかけとは
熊田侠児さんは、はじめから家具作りという仕事を目指していたわけではなく、親戚の材木販売を手伝っている内に「家具を作るのも面白そうだ」と感じ始めたそうです。大学の専攻が理工学部だったこともあり、もともと設計とかモノづくりが好きだったのだとか。