日本共産党の「自衛隊違憲」と「自衛隊活用」

日本共産党は、党綱領四の(十三)で、「自衛隊については・・・安保条約廃棄後のアジア情勢の新しい展開を踏まえつつ、国民の合意での憲法9条の完全実施(自衛隊の解消)に向かっての前進をはかる」と規定しており、「自衛隊違憲」を前提としているが、今すぐ自衛隊を解消するとは言っていない。

すなわち、共産党は、自衛隊が解消されるまでの間は「違憲」の自衛隊の存在を事実上認めているのである。この立場から「自衛隊活用」が出てくるが、「違憲」の自衛隊を活用することは、厳密には憲法に基づく行政権行使とは言えず、「立憲主義」に違反すると言えよう。

日本共産党のこの立場は、「自衛隊活用」がたとえ立憲主義に違反しても、国民の命と日本の主権は、立憲主義よりも、憲法9条よりも、党綱領よりもはるかに重大であり、最大限尊重擁護すべきであるとするものであり、日本国民にとっては歓迎すべきことである。

日本共産党は中国・北朝鮮・ロシアとも戦うのか

しかし、今回、日本共産党が改めて「自衛隊活用」の宣言をした以上は、将来、万一、中国・北朝鮮・ロシアが急迫不正に、尖閣諸島や沖縄本島など、日本の主権を侵害した場合には、共産党は自衛隊を活用して戦う、と国民は信じてよいのであろう。その場合、戦う以上は侵略した相手国を撃退しなければならない。そのためには、相手国を撃退するに足りる人的・物的な「自衛力」が必要不可欠である。

日本共産党は、この必要不可欠な「自衛力」をどのように維持整備するつもりなのか。又は減らすつもりなのか。共産党が考える陸・海・空の「自衛力」の規模はどれぐらいなのか。自衛隊員の数、イージス艦、護衛艦、戦闘機、戦車、地対空ミサイルなどの数や、偵察衛星、サイバー・電子兵器、ミサイル防衛をやめるのか、続けるのか。志願制なのか徴兵制なのか。防衛費は毎年どれぐらいを考えているのか。など、「自衛隊活用」を主張する日本共産党には様々な疑問がある。

さらに、日米同盟をどうするつもりなのか。日米同盟なしで上記の相手国に対して日本単独で戦えるのか。また、中国・北朝鮮・ロシアのような相手国が核保有国の場合でも、核兵器を保有しない日本が通常兵器だけで戦えるのか。共産党がこのような想定も構想も計画も準備もなく、ただ「自衛隊活用」だけを唱えるのは、日本国民に対して極めて無責任であろう。