千円を超えたらどうなるか
固定客はあまり減少しないでしょう。
ココイチを代替できる飲食店がないからです。ココイチはカレー店というよりも「トッピングカレー」専門店です。1億種あるというトッピングとルーの組み合わせ(ココイチ調べ)を、マニュアル化されたフランチャイズ(ココイチではブルームシステムと呼びます)で提供する。その体制を模倣できる外食チェーンは、いまのところ出現していません。
これまでも価格が上がるたびに「客離れ」が指摘されてきましたが、大きな影響はありませんでした。今回も、大きな固定客離れは生じないと思われます。
一方、新規顧客の獲得は相当困難になります。
ココイチでは、11時から14時の利用客が、全体の「43%」を占めます(※2)。ランチタイムが主戦場です。ランチの価格が千円を超えると「高い」と感じる層は半数以上(※3)。今後、所得増が見込めないこともあり、新規顧客獲得は難しくなります。
固定客は微減、新規顧客獲得は困難。よって、今回の値上げは、短期的に影響は少ないものの、中長期的には悪影響を及ぼすでしょう。
客離れを防ぐ策は「細分化」
「千円越え」には、ココイチもやや危機感を抱いているようです。
ココイチの今春の期間限定商品「彩り野菜とキーマのスパイスカレー」は、通常より50gライスを減らし、価格を千円以内に収めました。
また、客離れを防ぐための策を実施しています。一つは注文サイズの細分化、もう一つはセット価格の導入です。
「『クリームコロッケ(2つ)』は多すぎて頼めない」
躊躇する客を見たことがあります。
ココイチのトッピング、特に揚げ物は量が多めです。そこで、今回の値上げと合わせ、注文するサイズを細分化しました。2つだったクリームコロッケを1個だけ頼める「ハーフクリームコロッケ」。チーズの量が半分の「ハーフチーズ」。さらに、100g単位だったライスに250gと350gの中間サイズを追加。
量を減らして支払う金額を減らす。そんな選択ができるようになりました。