デッドリフトは筋トレメニューに取り入れるべきだ。デッドリフトをしっかりやりこんでいるのはパワーリフターである。ジムに行くと、パワーリフターたちは専用のプラットフォームに立ち、真剣な面持ちでデッドリフトに臨んでいる。しかし、デッドリフトはパワーリフターだけの種目ではない。筋量を増やし、シルエットを美しく磨き上げ、プロポーションを完成させたいというトレーニーにとっても効果的な種目であり、多くの結果をもたらしてくれる。

文:Sarah Chadwell, NASM-CPT 翻訳:ゴンズプロダクション

筋トレにデッドリフトが必須である理由

デッドリフトを筋トレメニューに加えるべき理由と正しいやり方
(画像=『FITNESS LOVE』より引用)

ボディビルダーがデッドリフトを行う場合、背中のワークアウトに組み込まれることが多い。しかし、この種目の効果は背中だけにとどまらないということを私たちは今一度確認したほうがいい。それが理解できれば、デッドリフトは背中のためだけでなく、全身の筋肉を発達させるために役立つということが十分に理解できるはずだ。つまり、全身の筋肉を際立たせたいなら、デッドリフトは基本種目として取り入れるべきなのだ。どうしてそれほどまでにこの種目を重視したほうがいいのか、その理由をいくつか挙げていこう。
●デッドリフトの動作には全身の筋肉が関与する。特に胴部を含む下半身への刺激が強い。これらの部位は体の中でも大きな筋肉で構成されているので、効率よく全身のパワーアップや筋量アップを得ることができる。
●背中を構成する菱形筋への刺激が強い。菱形筋は首の真下に広がっていて、上背部に位置する筋肉だ。
●僧帽筋への刺激が強い。解剖図で見ると分かりやすいが、僧帽筋の面積は非常に大きい。背中に厚みをつけ、迫力ある体をつくり上げるために僧帽筋を発達させることは大いに意味がある。
●下背部に位置する脊柱起立筋を際立たせてくれる。コンテストコンディションがつくられると、この部位が発達している選手はクリスマスツリーを彫り込んだような筋肉の形を強調することができ、それはすなわちピークコンディションがつくられていることを意味するのだ。
●胴部を代表する筋肉は腹直筋だが、デッドリフトをしっかり行うことで腹斜筋も発達し、それが腹直筋をより際立たせることになる。
●デッドリフトで刺激される下半身の筋肉には殿筋、大腿四頭筋、ハムストリング、大内転筋などがある。いずれの筋肉もパワフルな下半身を完成させる上で発達が不可欠な部位である。
●デッドリフトは下腿部にも強い刺激をもたらす。下腿と言えばカーフだが、カーフを構成するヒラメ筋と腓腹筋のうち、表層部にある腓腹筋に極めて強い刺激を与えることができるのだ。
●デッドリフトでは高重量を用いるため、高重量のバーベルを保持するだけでも上腕二頭筋の短頭と長頭、前腕を刺激し、握力も向上する。

体に厚みをつけて立体的に見せる

「筋肉をサイズアップさせる」と言っても、単に筋肉の断面積を大きくすればいいというわけではない。ボディビルコンテストで選手たちがどのようなポーズを披露するかを思い出してみよう。正面ポーズ、背面ポーズだけではなく側面のポーズも多い。もちろん、クォーターターンも幾度となく繰り返される。つまり、サイズに関して言うと、断面積だけでなく、筋肉の厚みもまた大きく影響することが分かるはずだ。理想の筋肉美は立体的であり、決して平面的ではないのだ。

立体的な筋肉をつくるということは、筋肉の厚みをつくるということだ。そのためにもデッドリフトは欠かせない種目である。デッドリフトでは高重量を扱い、特定の部位だけでなく全身の主要な筋肉が強い刺激を受ける。一つの種目で広範囲の筋肉が深部まで刺激されるというのは、筋発達を目指すトレーニーにとってはとても効率がいい。また、強い刺激が筋線維に行き渡ることで、筋肉を構成する筋線維の密度が増し、これが立体的な筋肉を形成することにつながるのだ。