いま自動車のパワートレインでは世界的に電動化がトレンドになっている。もはやエンジンにこだわっている時代ではないともいえるが、内燃機関ならではのビート感はクルマの魅力のひとつであると考えるユーザーも少なくない。
あまたの国産エンジンが、多くのファンを生んできた。そこから名機と呼ぶにふさわしい5つのユニットを選んでみた。
文・山本 晋也
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日産「VR38DETT」最高出力600馬力・最大トルク652Nm
量産エンジンではリッターあたり最高の性能を持つホンダ「K20C」
日産「VR38DETT」最高出力600馬力・最大トルク652Nm
2019年11月時点において、新車時の状態で見たときの国産エンジンにおける最高出力と最大トルクの両スペックでトップとなっているのが日産GT-R NISMOに搭載される専用チューニングを受けた「VR38DETT」型エンジンだ。
そのスペックは最高出力600PS(441kW)/6,800rpm、最大トルク652Nm(66.5kg-m)/3,600-5,600rpmというものだ。エンジン形式はV型6気筒ツインターボ、総排気量は3,799ccとなっている。
ボア×ストロークは95.5×88.4mmとショートストロークで、大パワーと高レスポンスを両立しようという狙いも見て取れる。
量産エンジンではリッターあたり最高の性能を持つホンダ「K20C」
最高出力は大排気量になるほど有利な傾向にあるが、それとは別にエンジンの設計を評価するのに排気量あたりの最高出力で比べることもある。いわゆる「リッターあたり何馬力が出ているか」という評価軸だ。
この数字が注目を集めたのは1989年にホンダが初めてVTEC機構を採用した「B16A」型エンジンが100馬力を超えたことで話題となったが、現時点でもカタログモデルにおけるトップとなっているのは、ホンダ シビックタイプRに搭載されている2.0L 4気筒ターボのVTEC TURBO「K20C」型エンジン。
最高出力は320PS(235kW)で、リッターあたり160馬力となっている。輸入車や、限定生産のコンプリートカーなどでは、この数字を上回るエンジンもあるが、国産の量産ユニットとしては「K20C」がトップとなっている。