国家資格への道「介護福祉士実務者研修(旧ホームヘルパー1級)」

介護職のなかで唯一の国家資格である介護福祉士の試験を受けるには、「介護福祉士実務者研修」の受講および修了が必須です。旧ホームヘルパー1級を取得している場合、科目を追加受講すれば「介護福祉士実務者研修」修了とみなされ、介護福祉士の受験資格を得られます。

試験の内容から難易度までをわかりやすく解説。必要な費用や負担軽減のための貸付制度・修学制度についてもご紹介します。

介護福祉士実務者研修の資格の内容

「介護福祉士実務者研修」とは、介護福祉の国家資格を取得するために受講必須の講座のこと。介護職の入門資格である「介護職員初任者研修」の次に取得を目指すべきなのが「介護福祉士実務者研修」です。旧ホームヘルパー1級に相当するものとして、平成25年度に実務研修と名称を変更しました。

厚生労働省により定められている「介護福祉士実務者研修」カリキュラムは以下の通りです。

  • 人間の尊厳と自立:5時間
  • 社会の理解Ⅰ:5時間
  • 社会の理解Ⅱ:30時間
  • 介護の基本Ⅰ:10時間
  • 介護の基本Ⅱ:20時間
  • コミュニケーション技術:20時間
  • 生活支援技術Ⅰ:20時間
  • 生活支援技術Ⅱ:30時間
  • 介護過程Ⅰ:20時間
  • 介護過程Ⅱ:25時間
  • 介護過程Ⅲ:45時間
  • 発達と老化の理解Ⅰ:10時間
  • 発達と老化の理解Ⅱ:20時間
  • 認知症の理解Ⅰ:10時間
  • 認知症の理解Ⅱ:20時間
  • 障害の理解Ⅰ:10時間
  • 障害の理解Ⅱ:20時間
  • こころとからだのしくみⅠ:20時間
  • こころとからだのしくみⅡ:60時間
  • 医療的ケア:50時間(別途演習の修了が必要)

合計の受講時間数は450時間。ただしこれは介護に関連する資格を保有していない場合です。「介護職員初任者研修」や「訪問介護員研修」をすでに修了している場合は免除される科目があるため、受講時間が異なります。

受講は通学と通信を組み合わせて行えます。働きながらでも取得しやすいのがメリットです。例えば、三幸福祉カレッジで「介護福祉士実務者研修」を受ける場合、通学日数は7日のみ。そのほか大部分の学習を自宅で行えます。ワークスタイルに合わせて学習計画を立てられます。

介護福祉士実務者研修とホームヘルパー1級との違い

「介護福祉士実務者研修」とホームヘルパー1級との違いは、介護福祉士の受験資格になるかどうかです。ホームヘルパー1級は「介護福祉士実務者研修」と同等の資格とされているものの、「医療的ケア」と「介護過程Ⅲ」を追加受講しなければ介護福祉士の受験資格にはなり得ません。

介護福祉士実務者研修の難易度・勉強時間の目安

「介護福祉士実務者研修」の難易度は、スクールによって異なるため正確な数値が出ていません。

科目受講後の修了試験を実施している団体もあれば、実施なしの団体もあり、もし修了試験が不合格でも無料で再試験が受けられるサポートを用意しているところがほとんどです。そのため「介護福祉士実務者研修」は比較的合格が容易な資格といわれています。

受講を受ける期間は6ヵ月と定められています。無資格の場合は450時間を受けきる必要があるので、働きながら日程を調整し、自宅学習の時間も確保しなければなりません。介護職が未経験だと知識を持ち合わせていないため、効率的な学習計画が求められます。

介護福祉士実務者研修の取得に必要な費用

「介護福祉士実務者研修」の取得に必要な費用は、保有している資格によって異なります。無資格の場合は、15万円程度が相場です。例えばベネッセスタイルケアでは、158,400円(税込)とされています。

介護職員初任者研修またはホームヘルパー2級の資格を有している場合は、93,500円(税込)、ホームヘルパー1級の有資格者であれば受講料は84,700円(税込)です。

「介護福祉士実務者研修」は都道府県によって助成対象となり得ることがあります。貸付制度や修学制度も設けており、条件を満たせば返還が全額免除されるため、負担額を少なくしたい場合には申請を検討してみてください。

介護福祉士実務者研修を取得するための要件

「介護福祉士実務者研修」には受験資格が設けられていないため、誰でも取得を目指せます。厚生労働省が推奨するキャリアのステップとしては「介護職員初任者研修」の上位資格とされていますが、初任者研修を修了していなくても受けることが可能です。

受講時間がもっとも長く、また科目数も多いため未経験・無資格の場合、初めは難しいと感じるかもしれません。介護福祉士の国家資格を取得するには必須かつ最短のルートではあるので、なるべく早く国家試験を受けたい方にはおすすめといえます。

介護職で唯一の国家資格「介護福祉士」

「介護福祉士」は介護職で唯一の国家資格です。特別養護老人ホームや社会福祉施設などで介護職員として就労し、介護を必要とする方の生活行為や生活動作の支援を行います。

これまで紹介した資格と比較すると難易度は高くなりますが、介護に関する専門的な知識や技術を有している客観的な証明となるため、職場で重宝されるほか、就職や転職でも有利になります。認知症高齢者や高齢者世帯の増加など、介護の多様化が予測される今後において、重要な役割を持つとされています。

「介護福祉士」の仕事内容や資格取得の方法については「介護福祉士に必要な資格とは?資格取得のための条件やルートなどを紹介」で解説しています。