生活援助を行う場合は「生活援助従事者研修」
生活援助を中心に行う場合は、「生活援助従事者研修」の取得を検討しましょう。
「生活援助従事者研修」は、2018年に創設された介護に関する資格のひとつ。名前の通り生活の援助を専門に行う職種のことで、主に訪問介護に関する業務に携わります。
「生活援助従事者研修」は資格を取得しやすいのが特徴です。その他介護職への就職・転職を考えている方に向けて、資格の内容や難易度などを解説します。
生活援助従事者研修の資格の内容
「生活援助従事者研修」は、約59時間の学習と2時間の実習を修了することで得られる資格です。「介護職員初任者研修」や「介護職員初任者研修」に比べて必要な学習時間が短いため、これから介護に関連する資格を取得したい方におすすめです。
カリキュラムは以下の通りです。
- 職務の理解:2時間
- 介護における尊厳の保持・自立支援:6時間
- 介護の基本:4時間
- 介護・福祉サービスの理解と医療との連携:3時間
- 介護におけるコミュニケーション技術:6時間
- 老化と認知症の理解:9時間
- 障害の理解:3時間
- こころとからだのしくみと生活支援技術:24時間
- 振り返り:2時間
介護の基本から医療との連携、老化や認知症、障害に対する理解までを学びます。
各都道府県自治体が指定した研修事業者にて受講が可能。ただし、「生活援助従事者研修」は2018年に施行された歴史の浅い資格のため受講できる事業者は少ないのは留意点。59時間の学習のうち、最大29時間は通信でも学べるため仕事しながら取得も目指せます。
生活援助従事者研修の難易度・勉強時間の目安
「生活援助従事者研修」は座学と実習を受講することで資格を得られるため、難易度は低いといわれています。
勉強時間は規定の59時間の学習に加え、実習2時間がベース。予習や復習の時間を含めると、その2〜3倍の時間が必要だと考えておくとよいでしょう。
受講期間はおよそ3ヵ月ほどかかるのが一般的。スクーリングにて学習するため、スケジュールの調整ができるかはあらかじめ確認しておく必要があります。
生活援助従事者研修の取得に必要な費用
「生活援助従事者研修」の取得に必要な費用は、研修を受ける団体により異なりますが、受講料+テキスト代で3万円前後におさまるのが一般的です。
資格取得後に従事する地方自治体によっては、受講料の一部が助成対象になる場合もあります。例えば、豊島区内の事業所に勤務している方はその対象です。「生活援助従事者研修課程」の修了日から3ヵ月以内に豊島区内で介護職員として就労し、3ヵ月以上勤務している場合、受講料全額もしくは5万円分が助成されます。
申請期間や申請人数に限りがあるため、なるべく早い段階で申請するのが重要です。金額 の負担がなくなる仕組みを利用すれば、より資格を取得しやすくなるのでチェックしておきましょう。
生活援助従事者研修を取得するための要件
「生活援助従事者研修」は誰でも受講できる資格です。年齢や学歴、経験の有無も問われません。介護職に興味があるけれど、勉強の時間があまり取れない場合に挑戦しやすい資格といえるでしょう。
介護職のファーストステップ「介護職員初任者研修 (旧ホームヘルパー2級)」
旧ホームヘルパー2級である「介護職員初任者研修」という資格。施設・訪問どちらの介護も可能な人材を育成するために名称や資格内容が変更されました。介護に関する基本的な知識や技術を習得できるため、介護職への就職・転職を考える方におすすめです。
資格の内容やホームヘルパー2級との違いを解説。加えて、難易度や受験するための要件もご紹介します。
介護職員初任者研修の内容
「介護職員初任者研修」は、介護職員の入門資格。元々はホームヘルパー2級と呼ばれていましたが、2013年に名称を変更しています。
「介護職員初任者研修」のカリキュラムは厚生労働省が定めており、学習は計130時間が必須。自宅講義40時間、スクーリング90時間が内訳です。各都道府県の知事により指定された団体で実施されます。すべての学習を終え、筆記試験に合格することで資格を取得可能です。
- 職務の理解:6時間
- 介護における尊厳の保持・自立支援:9時間
- 介護の基本:6時間
- 介護・福祉サービスの理解と医療との連携:9時間
- 介護におけるコミュニケーション技術:6時間
- 老化の理解:6時間
- 認知症の理解:6時間
- 障害の理解:3時間
- こころとからだのしくみと生活支援技術:75時間
- 振り返り:4時間
受講はスクーリングのほか、通信でも可能です。ただし、科目ごとに通信形式で実施できる上限時間が定められているため、すべてを通信で行うことは不可能。さらに、通信で受講できる科目の最大合計も40.5時間と決められています。働きながら取得を目指す場合は、スクーリングと通信をうまく活用するのがおすすめです。
介護職員初任者研修とホームヘルパー2級との違い
ホームヘルパー2級が「介護職員初任者研修」に名称変更されたのと同時に、資格の内容や受講時間、修了試験も変わりました。
ホームヘルパー2級は名前の通り、訪問介護を念頭においた資格でしたが、「介護職員初任者研修」は施設での介護と在宅での介護の両方が可能な人材を育成する目的があります。介護に関するより幅広い専門的知識を有し、さまざまな事業所で従事可能です。
学習の内容にも違いがあります。ホームヘルパー2級の資格では30時間の施設実習が必須とされていましたが、「介護職員初任者研修」ではそれを廃止。その代わりにスクーリングが90時間に増えています。
さらに1時間の筆記試験が加わっているのも違いとしてあげられます。受講に加えて、修了試験に合格する必要があるのです。
介護職員初任者研修の難易度・勉強時間の目安
「介護職員初任者研修」は合格率が公表されていないものの、比較的難易度の低い資格といわれています。
修了試験の問題数は最低32問。合格は100点満点中70点以上とされています。1問ごとの配点が高いため、全科目を復習し対策することが大切です。
学習期間は3〜4ヵ月程度。最短1ヵ月で取得できる学校もあるので、なるべく早く取得したい方は最短取得コースを受講しましょう。
介護職員初任者研修の取得に必要な費用
「介護職員初任者研修」の取得に必要な費用は、教材費込みで8〜12万円程度。通う学校によって異なるので、予算に合わせて検討してみてください。
県によっては補助金が公布されます。例えば、令和3年度の埼玉県介護職員であれば、上限3万円で受講料の2分の1に相当する額が補助されます。取得に必要な費用を抑えたい方は、助成が適用されるかどうかも確認しましょう。
介護職員初任者研修を取得するための要件
「介護職員初任者研修」には受験資格が決められていません。そのため、年齢や学歴などを問わず誰でも資格を取得することができます。
例えば、平成26年度の受講者のうち19歳以下は26.5%、20〜29歳は19.7%、30〜39歳は15.7%となっています。全年代において一定の受講率を維持しているため、取得したいと思った場合に挑戦しやすい資格といえます。