信販系クレジットカードとは、その名の通りオリコやジャックスなどの信販会社が発行するクレジットカード。比較的ポイント還元率が高く、優待が豊富なことがメリットだ。「銀行系」「流通系」「交通系」などと何が違うのか?どんな人におすすめなのか?など信販系クレジットカードの特徴を紹介していこう。
目次
1,信販系とはどんな発行会社?
2,信販系クレジットカードの特徴は?
3,信販系クレジットカードの2つのメリット
4,信販系クレジットカードの2つのデメリット
5,信販系クレジットカードおすすめ3選
6,信販系クレジットカードはどんな人におすすめ?
1,信販系とはクレジットカードの分類のひとつ――発行会社によって性質が異なる
信販系クレジットカードとは、信販会社が発行するカードで特典やサービスが充実しており、比較的還元率が高い傾向がある。
信販系のほかにもクレジットカードは「銀行系」「流通系」「交通系」「IT・通信系」と分類することがある。こうした分類は、発行会社や母体となる企業グループの業態に応じて分けたもの。分類ごとのカードの性質を次に整理しよう。
カード分類 | カード例 | カードの性質 |
銀行系 | 三井住友カード MUFGカードなど |
・銀行、あるいは銀行グループ企業が 発行するカード。 ・審査は比較的厳しく、 カード利用ポイントは貯まりにくい傾向。 ・銀行での金利優遇等の特典を 受けられることもあるが、 一般カードでは優待サービスは あまり充実していない |
信販系 | ジャックスカード オリコカード ライフカードなど |
・信販会社が発行するカード。 ・特典・サービスが充実している傾向。 ・ポイントの貯まりやすさは カードによって異なるが、 還元率の高いカードが比較的多い |
流通系 | セゾンカード イオンカード 楽天カード エポスカードなど |
・小売店等を展開する企業、 あるいはそのグループ企業が発行するカード ・顧客の囲い込みを狙っており 審査難易度は低い傾向 ・発行会社のグループ店舗に 特化した特典などが充実 |
交通系 | ビューカード 東急カード ANAカードなど |
・公共交通機関の運営企業が発行するカード ・Suicaなど交通系ICカードや マイレージカードと一体型に なったカードが特徴 ・交通機関の利用や関連施設(駅ビル店舗など) で優待が提供されることが多い |
IT・通信系 | PayPayカード dカード au WALLET クレジットカード など |
・ネット関連企業、携帯キャリア などが発行するカード。 ・自社サービスと連動した優待などが特徴 |
2,信販系の特徴は?オリコ、ジャックスなど黎明期からのノウハウを蓄積している
信販系クレジットカードとは信販会社が発行するクレジットカードのことだ。信販会社といってもピンとこない人のために、まずはそこから順を追って説明していく。
信販会社とはどんな会社か?……代表的な会社も紹介
信販会社とは商品代金を立て替え払いしておき、後から購入者に請求する販売信用を行う会社のこと。ショッピングローンがその代表的なサービスだが、元はチケットやクーポンによる間接的な分割払いの仕組みを提供する会社として発足。後に販売信用に業態をシフトさせ、クレジットカードを発行するようになった。こうした信販会社でクレジットカードを発行している代表的な会社は以下の5社。
- オリコ
- ジャックス
- セディナ(現・SMBCファイナンスサービス)
- ライフカード
アプラス
現金一括払いに代わる決済方法として、もともとクレジットカードに似たサービスを提供している会社なので、クレジットカードの発行会社としてはふさわしいといっていいだろう。
はっきりと「信販系」と言い切れないクレジットカードも
ただし、クレジットカードの発行会社の分類ははっきりと分けられないという場合もある。たとえば、アプラスの前身は「大阪信用販売株式会社」という信販会社だったが、現在では新生銀行グループ傘下となっており、その意味では銀行系ともいえる。セディナ(現・SMBCファイナンスサービス)も同様で、前身の1つである「セントラルファイナンス」は信販会社だが、現在は三井住友フィナンシャルグループ傘下となっている。ただし、アプラスもセディナ(現・SMBCファイナンスサービス)も信販会社としての特徴を色濃く残しており、通常は信販系クレジットカード会社と見なされている。
一方、前身が「日本信販」の「三菱UFJニコス」も、現在はその名が示す通り三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下となっており、信販系と銀行系の両方の性格を持っている。ただし、社名に「三菱UFJ」と銀行の名称が強調され、三菱UFJニコスも自らを「銀行系」と位置付けていることから、一般的に信販系クレジットカード会社とは見なされていない。
信販系クレジットカードの特徴は?培ってきたノウハウが強み
信販会社はクレジットカードの黎明期にクレジットカード事業に参入しており、十分なノウハウの蓄積がある。また、以前から社名やカードブランド名が広く知られていることもあり、特に年配の人からは安心して使えるクレジットカードととらえられているようだ。
3,信販系クレジットカードの2つのメリット――幅広い分野の加盟店・提携店でお得に使える
信販系クレジットカードにはポイントが貯まりやすい、特典が充実しているという2つの大きなメリットがある。
メリット1,ポイントが貯まりやすい
信販系クレジットカードのメリットの1つはクレジット利用ポイントが貯まりやすいことだ。
ほかとの比較でいうと、まず銀行系はポイント還元率0.5%など低い傾向があり、いわゆるポイント提携店なども少ない。つまり通常のクレジット利用ポイントに追加されるボーナスポイントをあまり獲得できない。
また「流通系」「交通系」「IT・通信系」は一部を除き、基本的には自社や自社関連企業の店舗ではポイントが貯まりやすいが、それ以外の店舗ではボーナスポイントを獲得する機会が少ない。
その点、信販系クレジットカードは、元々加盟店への分割払いの仕組みを提供していた会社が発行会社で、クレジットカード事業への参入も早かったことから、各カード会社とも多種多様な分野に数多くのポイント提携店を擁しておる、ポイントが貯まりやすい傾向がある。
メリット2,多種多様な特典が提供される
信販系クレジットカードに提携店が多いということは、ポイント面以外の優待が提供される店舗も多いということだ。そのため一般カードであっても、レストラン、ホテル、トラベル、レジャーなど多種多様な施設で割引優待を受けることができる。
ほかの種類のカードとは違い、特定分野・店舗での突出したメリットがない代わりに、幅広い分野でお得に使えるのが信販系クレジットカードの特徴といっていいだろう。
4,信販系クレジットカードの2つのデメリット――ステータス性に比べて審査難易度がやや高い
信販系クレジットカードにはメリットの一方でデメリットもある。それはステータス性と審査難易度だ。
デメリット1,ステータス性はあまりない
クレジットカードのステータス性でいうと、やはり「銀行系」が最も高いイメージだ。こうした差は、一般カードではあまり気にならないかもしれないが、ゴールドカードやプラチナカードといったハイグレードカードを持つ場合、気になってくることもあるだろう。
デメリット2,審査難易度がやや高い
カード会社により審査難易度はかなり異なってくるので一様にはいえないが、信販系クレジットカードはそのステータス性に比べて審査難易度がやや高い印象がある。ひと昔前まではクレジットカードの審査は現在よりも厳しかったこともあり、歴史の長い信販系クレジットカード会社の一部はその傾向を今でも残しているということだろう。
ネットの口コミになってしまうが、一例を挙げると、ジャックスでは年収700万円の人が一般カードの審査に通らなかったケースもある。もちろん、クレジットカードヒストリーなどもあるため、一概に年収だけでの判断はではないことは留意したい。
5,信販系クレジットカードおすすめ3選――オリコカード ザ ポイント、ライフカード、レックスカード
ここからは信販系クレジットカードならではのメリットを持つ、年会費無料のおすすめカード3選を紹介しよう。
おすすめ1,Orico Card THE POINT(オリコカード ザ ポイント)……ネットショッピングで2%の超高還元に
オリコ発行の「Orico Card THE POINT(オリコカード ザ ポイント)」は基本のポイント還元率が1%の高還元率カードだ。
割引などの優待はあまり充実していないが、ネットショッピングがお得になるのが特徴だ。ポイントサイト「オリコモール」経由してオリコカードを使うと、基本のクレジット利用ポイントのほか、ショップごとに設定されたポイント(0.5~15%)が加算される。さらにこのカード独自の特別加算ポイント0.5%分も加わるので、常に2%以上の還元率になる。ネットショッピングで超・高還元率になるカードと言えるだろう。
「オリコモール」には
- Amazon
- 楽天市場
- Yahoo!ショッピング
- Apple公式サイト
- ビックカメラ.com
- じゃらん
- 一休.com
びゅう国内ツアー
など、主要なショップ・モールが登録されているので、不便を感じることも少ないだろう。
また、貯めたオリコポイントの移行・交換先が多様だ。具体的には、ANAマイル、JALマイル、Tポイント、dポイント、楽天スーパーポイント、Pontaポイント、WAONポイント、nanacoギフト、Amazonギフト券、iTunesギフトコードなど。主要マイルや他社ポイント、各種ギフト券などに移行・交換ができる。
おすすめ2,ライフカード……優待充実!利用状況次第で高還元率が実現できる
ライフカード発行の「ライフカード」は、優待サービスが充実している。たとえば、以下のような優待を受けられる。
- 国内・海外50ブランド以上の旅行商品が最大8%オフ
- トラベルグッズのレンタル割引
- 国内レンタカー割引5%オフ、または20%オフ
- 「タイムズカーシェア」会員カード発行手数料無料(通常1,650円・税込)
- 海外おみやげ宅配サービス全品15%オフ
ホテル、観光施設、レストラン、居酒屋、美容室などで割引などの優待を提供
ポイントサービスについては、基本のポイント還元率は0.5%と高くはないが、入会後1年間はポイントが1.5倍になり、還元率は0.75%になる。また、年間クレジット利用額50万円以上で1,500円相当のポイントがプレゼントされるほか、年間クレジット利用額に応じて次年度に最高2倍までポイントアップする仕組みもある。
さらに、誕生月には通常の3倍、1.5%還元になるので、これらのポイントアップ手段をうまく使うと高還元率カードの水準に達するはずだ。
3,REX CARD(レックスカード)……超高還元率カードの代表格で、優待や保険も付帯
高いポイント還元率と充実した優待サービスを両立させているのが、ジャックス発行の「REX CARD(レックスカード)」だ。貯まるポイントは「REX POINT」で、ポイント還元率は通常1.25%と非常に高い。海外最高2,000万円・国内最高1,000万円の旅行傷害保険も付帯する。
また、ネットショッピング時にポイントサイト「JACCSモール」を経由すると、「REX POINT」とは別に「Jデポ」というポイントが0.5~12%分付与され、ポイント還元率は合計で1.75~13.25%になる。なお、「Jデポ」はカード利用金額の請求時にその分が自動的に差し引かれるキャッシュバック形式だ。
また、カード付帯の優待として以下のサービスを利用できる。
- 海外用の定額制Wi-Fiルーターレンタル10%オフ
- 海外レンタカー5~20%オフ
- オプショナルツアーやレストランの予約などを旅行前に日本で行える「海外リザーブサービス」
- 旅行前にウェブで海外レストランを予約できる「海外レストランWEB予約サービス」
- 海外おみやげサービス20%オフ
- 海外パッケージツアー最大5%オフ
- 世界38ヵ所の海外トラベルデスク
全国の各種店舗で優待を受けられる「J'sコンシェル」
年会費無料でポイント還元率が高く、旅行傷害保険や各種優待まで付帯するという非常にメリットの多いカードだが、デメリットは交換先が少ないことだ。「REX POINT」の使い道は、「Jデポ」やANAマイルへの交換、あるいは積立投資の原資への充当に限られる。なおANAマイルへの交換は、価値の目減りが大きいのでおすすめできない。
お得であることは間違いないが、クレジット利用ポイントをマイルや共通ポイントに集約して貯めたい人にとっては、使い勝手が悪いと感じるだろう。
6,信販系クレジットカードはいろいろな場面で生活をお得にしたい人におすすめ
最終的に1枚のカードを選ぶときには、そのスペックを詳細にチェックして判断するしかない。しかし数多くあるクレジットカードの中から、自分のニーズに合ったカードを大きく絞り込みたいときには、「銀行系」「信販系」「流通系」といった分類は有効だ。
そうした分類で見ると、信販系クレジットカードは「流通系」や「交通系」のように特定店舗・サービスで突出したメリットを持たない代わりに、さまざまな種類の支払いに利用する中で、少しずつ便利やお得を享受することができるカードと言える。
つまりオールラウンドに活躍してくれるともいえ、初めてクレジットカードを持つ人、特定のポイントを集中して貯めているわけではないという人はぜひ検討してみてもらいたい。
執筆・モリソウイチロウ
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカード分野では専門サイトでの執筆経験もあり。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。
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