人は歩くときは当然、右足と左足を交互に踏み出します。スポーツなどスピードや反動の要素が加わる場合、片足の方での筋力発揮が起こりやすいのです。つまり、対角線に体を動かすことが機能的な体の条件であると言えます。体を交互に動かす方が、スポーツでの筋力発揮が起こりやすい理由の一つは、筋膜の走行にあるのです。
●機能的な体は対角線に動かす
人間の体は手足を左右交互に、動かすようにできています。赤ちゃんがハイハイするときから、左右交互に腕を動かして前に進んで行くことを覚えます。歩くときも当然、右足と左足を交互に踏み出します。そして腕は対角に反対の方向に振るのです。当たり前のことですが、その当たり前のことが行われていないのが、従来の「筋トレ」です。ジムを見回すとほとんどの人が、左右同時に腕や脚を押し出すことに必死になっています。「両側性欠損」という言葉があるのですが、両側での力発揮は片手片足に比べて弱いという意味です。 ボディメークの場合は、両側性のトレーニングの方が安定して力発揮が起こりやすい場合もあるのですが、スポーツなどスピードや反動の要素が加わる場合、片足の方での筋力発揮が起こりやすいのです。つまり、対角線に体を動かすことが機能的な体の条件であると言えます。
●体を交互に動かす方が、スポーツでの筋力発揮が起こりやすい理由の一つは、筋膜の走行にあります。
優秀なアスリートは主に筋肉だけに頼らず、筋膜の弾力を利用して、ダイナミックな動きを行います。筋肉の収縮に頼りすぎると力みが生じて競技の途中で疲労してしまうからです。スポーツで効率的に強く、速く動くには筋膜を有効に利用するべきであると言われています。筋膜の走行にはいろいろな流れがありますが、その中でも歩行やランニングなどでも使われるのが「ポステリア(後ろ)オブリーク(斜め)サブシステム」という走行です。 殿筋から、胸腰筋膜が連結して、反対側の広背筋に続く斜めに走る筋膜の走行です。(写真1 −1)今回のトレーニングはこの「ポステリア オブリーク サブシステム」を使う、1アーム、1レッグダンベルロウイングについて説明していきます。