Webデザイナーの案件獲得術3. ポートフォリオはWeb版とPDF版を用意する

北村:
企業側がデザイナーを採用するときに気になるポイントとして、ポートフォリオも重要だと思います。柿澤さんは、どんな点に気をつけていますか?

柿澤:
私の場合、ポートフォリオはWebサイト版とPDF版の2つを用意しています。企業によっては、PDFで提出を求められるケースもあるので、用意しておくと安心です。

Webデザイナーの案件獲得4つのコツ。スキルや実績ばかりアピールしてませんか?
(画像=▲柿澤さんのWorkship上のプロフィール、『Workship MAGAZINE』より引用)

柿澤:
ポートフォリオは、企業側に「何ができる人か」を分かってもらうために提示するもの。「あれもこれも全部できます!」と持っているスキルや実績をすべてアピールするよりも、ピンポイントで「いまの自分ができること」を伝えるのが重要だと、私は捉えています。

北村:
なるほど……つい、あれもこれもと書いてしまいがちですが、それだと自分の強みがボヤけちゃうかもしれませんね。

柿澤:
あと、ポートフォリオやプロフィールの文章って、どうしてもデザイナー間で使う専門用語が増えがちなので、どんな職種の方にも伝わる言葉に変換することも大切かなと思います。ポートフォリオを見る担当者さんはデザイナーでないことも多いので。漢字だらけになって硬い印象を与えないよう、適度にひらがなに開くことも心がけています。

文章の書き方ひとつで、相手への印象も変わります。とくにオンラインでの交流が増えている昨今だからこそ、小さなことにもこだわることで、結果に繋がりやすくなるんじゃないでしょうか。

Webデザイナーの案件獲得術4. デザイナーに必須なのは「言語化力」

北村:
柿澤さんはいろんな企業に携わっていますが、Webデザイナーが企業と仕事するうえで重視すべきポイントって何だと思いますか?

柿澤:
デザイナーとして自分ができること/やるべきことを明確にするのはもちろん、「デザイナーに求められていることは何なのか」を認識し直すことも大事だと考えています。

たとえばデザイナーには、綺麗で美しいWebサイトを作る能力が求められますよね。しかし、それに伴って商品やサービスが売れる動線について考える力なども必要になります。企業は「デザイン」を求めているのではなくて「デザインの効果」を求めているので。いわばデザインの裏側にある企業のニーズを正しく掴めるかどうか。

そのためにも「言葉で説明できるデザインをする」ことを心がけています。なんとなくカッコいい、なんとなくオシャレ、ではなく。自分で作ったデザインを、自分の言葉で説明できるかどうか、ソースがしっかりしているかどうかは、非常に重要なポイントだと思います。

Webデザイナーの案件獲得4つのコツ。スキルや実績ばかりアピールしてませんか?
(画像=『Workship MAGAZINE』より引用)

柿澤:
デザインに理由をつけるのは、作った後でもいいんですよ。

「この色味の組み合わせは、こういう意図によるもの」とか「この構図はバランスを重視したもの」とか、このデザインが良いと思う理由を探すのは、作ったあとでもいい。デザインの意味と理由を言葉に落とし込んで、クライアントに説明できるだけで、もっと信頼してもらえるデザイナーに近づけるのではないかと、私は思っています。

北村:
よく、デザインやアートを言葉にするのは野暮、といった意見も耳にしますが。

柿澤:
アートは、自分の表したいものを、好きなように表現するもの。一方デザインとは、クライアントの「こうしたい」を目に見える形にするものだと、私は思っています。

デザイナーとアーティストは、表現手法は似ていても、その本質は違うもの。クライアントが求めるデザインを実現させるためにも、日頃からデザインの意図を言葉にする練習をしています。