目次
登記事項要約書の見方
・表題部
・権利部所有権
・権利部乙区
よくある疑問
・登記事項要約書はオンライン請求できるのか?
・法務局での登記事項要約書の申請方法
登記事項要約書の見方
登記事項要約書を取得することができても、内容の見方がわからなければ意味がありません。そこで、サンプルを見ながら登記事項要約書の見方をご説明していきます。
表題部
表題部には、不動産の表示に関する事項が記載されます。不動産の所在や、土地であれば地番・種類・面積などです。建物であれば家屋番号・種類・構造・床面積などです。
注意が必要なのは、土地の種類や面積、建物の種類や構造・床面積は必ずしも現況に一致しているとは限らないことです。
登記事項要約書は、あくまでも現在登記されている情報を要約したものであって、実際の不動産の現況をリアルタイムに正確に表示するものではない点に注意してください。
権利部所有権
現在の所有者の住所・氏名、表示登記申請書の受付年月日・受付番号が記載されます。
登記事項要約書は、現在の所有者が誰なのかを調べるためには有効ですが、過去に所有権が移転した履歴を見ることはできません。過去の情報を調べるためには登記事項証明書を取得するか、登記情報提供サービスでダウンロードしなければなりません。
また、登記事項要約書には証明力がないので、自己所有の不動産の登記事項要約書を取得しても、それをもって自分の所有権を証明することはできません。
権利部乙区
所有権以外の権利に関する登記情報で、現に効力を有するものが記載されます。
多いのは、抵当権や根抵当権などの担保の設定です。サンプルでも、土地と建物の両方に抵当権が設定されていることがわかります。
登記太郎さんが3,000万円を借り入れて抵当権を設定していますが、この抵当権にかかる債務の残高が現在いくらになっているかは、わかりません。
登記事項要約書に記載されるのは現に効力を有するものだけなので、過去に設定されて既に抹消された抵当権などは登記事項証明書を見なければ調べることができません。
登記事項証明書を取得すれば、過去にその不動産に設定された抵当権が実行され、競売によって所有権が移転したことがわかる場合もあるのですが、登記事項要約書の記載からはそのような事実はわからないようになっています。
よくある疑問
ここでは登記事項要約書について、今までご説明してきたことの他にもよくある疑問にお答えしていきます。
登記事項要約書はオンライン請求できるのか?
登記事項要約書は、オンライン請求で取得することはできません。郵送で取り寄せることもできませんし、登記情報提供サービスでダウンロードすることもできません。
登記事項要約書を取得するには、取得したい不動産の所在地を管轄する法務局へ行き、窓口で請求するしかありません。
これは、以前に行われていた「登記簿の閲覧」が「登記事項要約書の交付」に代わったことに思い至れば合点がいきます。
以前は、登記情報を閲覧したい不動産の所在地を管轄する法務局へ行って紙の登記簿を閲覧し、重要な情報は手書きでメモをすることが一般的でした。
現在では法務局のコンピュータ化によって登記情報がデータ化されたため、閲覧することができなくなっています。そこで、以前の「メモ」の代わりに交付されるようになったのが登記事項要約書なのです。
こういった位置付けのため、以前に行われていた閲覧の場合と同様、管轄の法務局へ行かなければ登記事項要約書を取得することはできないのです。
ただし、登記情報提供サービスで登記事項証明書をダウンロードすれば、登記事項要約書を取得するよりも安価で、より多くの情報をスピーディに取得することができます。
法務局での登記事項要約書の申請方法
法務局で登記事項要約書の交付申請をする方法は、登記事項要約書交付申請書を窓口に提出するだけです。
法務局の中に入ったら、担当の部署を調べて、そこに行きましょう。多くの法務局では「登記部門」や「登記係」というような名称になっています。
担当部署に行くと、多くの場合は銀行のロビーに置いてあるような番号札発券機ががあるので、そこで番号札を取って順番を待ちます。先に登記事項要約書交付申請書に必要事項を記入し、収入印紙も貼ってから番号札を取る方がよいでしょう。
収入印紙売り場は法務局内にありますが、多くの法務局では登記簿謄本や登記事項要約書の取得申請をする窓口のすぐ近くにあるので、すぐに収入印紙を購入することができます。
管轄の法務局の窓口に行けば、地番や家屋番号がわからなければ教えてもらえますし、交付申請書も備え置いてあり、収入印紙売り場もあるので、特に準備がなくても登記事項要約書の交付申請をすることができます。
なお、法務局の開庁時間は平日の午前8時30分から午後5時15分までです。この間であればいつでも登記事項要約書を取得できます。