『広報』という仕事の名前を聞いたことがある人は多いでしょう。しかし、実際にはどのような仕事なのでしょうか?広報の仕事内容や求められる能力、向いている人の特徴のほか、未経験から転職できるかどうかも解説します。
広報とはどんな仕事?

広報とはどんなことをする仕事なのか、イメージが湧かない人もいるでしょう。まずは、広報の仕事内容を解説します。
社内外の関係者と信頼関係をつくる仕事
広報は『パブリック・リレーションズ(PR)』とも呼ばれ、主に社内外の関係者と良好な関係を築く仕事のことです。企業の周りには取引先・株主・社員など、実にさまざまな人が関わっています。
広報はそのような関係者に対して、あらゆる手段を使って自社の情報を発信し、企業価値の向上やブランド認知を目指します。
世の中の動向にアンテナを張り、社会の変化とともに自社のあり方や目指すべき姿を発信することで、持続的な発展を図るのが広報の仕事です。
社内向けの業務
社内向けの広報は、主に社員に対してのアプローチとなります。代表的なのが社内報の作成で、月次や四半期単位で経営者からのメッセージや、各支店の取り組みなどを紹介するのが一般的です。ただし、少人数の企業では社内報が存在しないケースもあります。
また、社員に対してコンプライアンス遵守を促すことで、モラルの向上を図り企業イメージの維持にも努めます。
さらに、社員の家族に対して情報発信することもあり、その際は自社の魅力や福利厚生の利用を勧めることで、自社のことを理解してもらうのが狙いです。
社外向けの業務
社外向けの業務は主に『社会に対しての情報発信』と、『投資家向けの情報発信』に分けられます。前者は『PR』、後者は『IR』と呼ぶこともあります。IRとは『Investor Relations(インベスター・リレーションズ)』の頭文字を取った言葉です。
PRの仕事は自社商品のプレスリリースや、企業の社会貢献活動であるCSRの発信などが挙げられます。特にメディアへの取材対応は、腕の見せ所といえます。広報と聞いて多くの人がイメージするのが、この社外向けPRでしょう。
一方でIRは、定期的に自社の営業利益などの財務状況を資料にまとめ、投資家に対して公開するのが主な仕事内容です。自社の経営状況を細かく公開することで、既存の株主には継続的に投資をしてもらい、加えて新たな投資家を誘致する目的があります。
広報とほかの職種との違い

広報と似た職種に『広告宣伝職』と『マーケティング職』があります。いずれも社外をターゲットにアプローチをする職種ですが、ここでは両者と広報の違いを解説します。
広告宣伝職との違い
広報と広告宣伝職は、どちらも自社の情報を社外に向けて発信する仕事です。両者の違いは、情報発信をする対象とタイミングにあります。
広報のミッションは企業イメージの向上で、情報発信の対象は主に『メディア』『社内の関係者』です。一方で、広告宣伝職の目的は商品やサービスの売り上げアップで、主に『消費者』に向けて情報を発信します。
クレーム対応や投資家向けの財務報告は、売り上げアップとは直接関係のない業務のため、広告宣伝職ではなく広報が行います。
また、広報が発信した情報がリリースされるタイミングは、基本的にメディア側のリリース日などに依存することがほとんどです。しかし、広告宣伝職は好きなタイミングで情報を発信できる点も、両者の相違点です。
マーケティング職との違い
広報とマーケティング職では、業務の目的が異なります。マーケティング職の目的は、広告宣伝職と同じく売り上げアップです。
マーケティング職では自社の商品の売り上げを伸ばすため、市場調査や競合分析を行い、商品ターゲットの選定を行います。そして調査結果を踏まえて、ターゲットに最適化された方法で、消費者に向けて商品の情報を発信します。
一連の取り組みが終わったら効果を測定し、さらなる売り上げアップに向けて試行錯誤を繰り返すのがマーケティング職の仕事内容です。
社内報やIR情報の作成をする広報とは、仕事内容が大きく異なることが分かるでしょう。