目次
資産管理会社とは?作る人、作った方が節税になる人
・資産管理会社を作るメリット
・資産管理会社を作るメリットのある方
資産管理会社、会社の形態はどうする?
・設立費用を抑えたいなら合同会社
・相続まで視野に入れるなら株式会社
資産管理会社とは?作る人、作った方が節税になる人
上記で見てきた個人と法人の税率の違いを知って、個人の税率を下げたいと考える人が資産管理会社を作ろうとする人となるでしょう。
例えば不動産投資を始めて、東京23区にワンルームマンションとコンパクトマンションをそれぞれ1件ずつ所有したとすると、家賃収入が毎月入ってきます。
ワンルームマンションの賃料は月10万円、コンパクトマンションの賃料は月20万円、1年間で360万円収入が増えるとします。「不動産所得」は360万円から不動産投資にかかった経費をマイナスした金額です。この「不動産所得」に加えて、本業の所得金額に追加されるのですが、先ほど見てきたように、収入が増えれば増えるほど、個人の場合は税率が高くなり、収入と正比例しては税引き後の所得は増えません。
そのため、個人資産が増えている人が、現物資産としての不動産投資を始めようとする場合に、資産管理会社の設立を検討するケースが出てきます。
資産管理会社を作るメリット
税率の低さ以外にも、資産管理会社を設立するメリットはあります。
- 損失の繰越控除ができる(10年間)
- 経費計上できる範囲が広がる
- 減価償却費が任意償却できる
- 短期売買の場合は個人よりも税率が低い
資産管理会社を作るメリットのある方
一般的に、年収2,000万円、不動産投資による収入が600万円を超えると、資産管理会社を作るメリットがあるとされています。
本業の所得と不動産投資による所得、その他運用利益等をトータルすると、資産管理会社の運用コストを考慮しても、個人よりも法人化した方が節税効果があるということになります。
資産管理会社、会社の形態はどうする?
資産管理会社を作る方法は、代表的なものとしては「株式会社」と「合同会社」があります。設立までの手順や申請の複雑さに違いはありますが、2つの形態によるもっとも大きな違いは、次の点です。
- 設立費用が抑えられるのは合同会社
- 資産を次の世代に引き継ぎたい場合は株式会社
現在増やしている資産の「相続」までを視野に入れるかが会社形態を決める鍵となります。
設立費用を抑えたいなら合同会社
合同会社の設立には登録免許税という税金が6万円かかります。一方の株式会社の設立には、登録免許税が15万円〜、定款認証という手続きに5万円、登記申請用の謄本の請求手数料と、合計21万円ほどかかります。
なお株式会社に必要とされる決算公告義務や定期役員改選義務は、公告を官報掲載せずインターネット上に公開すれば掲載費用は実質かからないため、会社を経営する間の費用に実際は違いはありません。
相続まで視野に入れるなら株式会社
合同会社は、基本的に出資者が業務を行う決まりになっています(会社法578条、590条第1項)。株式会社は、出資者と業務を行う人は別々にできます(会社法402条第5項)。
そのため株式会社は、設立時に子どもに出資額を贈与することで出資者とし、業務は親である自分が遂行でき、未来に株式会社を子どもに引き継がせたい時点での贈与税の規模を抑えることができます。
そのため、将来会社を子どもに引き継いでもらおうとする場合、法人を設立する際に株式会社として設立することを考える方がいます。
株式会社にすると金融機関の信用を得やすい
株式会社を設立することで、不動産投資を「事業」として運営していることが認められ、信用力が高まって不動産投資ローンの審査が通りやすくなるというメリットもあります。