ご自身の資産形成の一手段として、現物資産の「不動産投資」を取り入れる際、個人でスタートするのがいいのか、それとも法人化するのがいいか、検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。資産管理会社を設立するとどのようなメリットがあるかについて、解説していきます。
個人の所得税は超過累進課税
日本の所得税は、所得が高くなるにつれて税率が高くなる「累進課税」がとられており、税率は所得に応じて5%〜45%の7段階に分かれています。
税率は所得金額の全額に対して一律に決まるのではなく、区切られた金額に対して段階的に決まっています。
例えば、所得金額が450万円だった場合、3段階の税率が適用されます。
1,949,000円×5% |
(3,299,000円-1,950,000円)×10% |
(4,500,000円-3,300,000円)×20% |
と、上記のように金額区分に応じて税率が異なります。
そして各税率での計算結果はそれぞれ次のような金額となります。
97,450円 |
134,900円 |
240,000円 |
上記合計は472,350円です。
このように、ある区分の金額を超えたところから、次の税率が適用される区分となる「超過累進課税率」(ちょうかるいしんかぜいりつ)が決まっています。
しかしこのような計算は大変なため、国税庁には「所得税の速算表」があり、所得金額に対してかかる最高の税率を所得全体にかけて、そこから控除額をマイナスすれば、簡単に計算できるようになっています。
速算表を使えば、上の図で33%の税率の行に位置する「所得金額が900万円」の場合、税率5%、10%、20%、23%、33%の各区分を計算しなくても、「9,000,000円から17,999,000円まで」に対してかかる税率33%をかけ、そこから1,536,000円をマイナスすれば計算完了です。
個人の所得は、所得が高くなればなるにつれて税率は上がっていきます。税率は、所得税と地方税の住民税(東京23区の場合は都民税と区民税、そのほかは道府県民税と市町村民税)をあわせると、最高で55%となります(2037年までは復興特別所得税が加わるため厳密には55.945%)。
所得が4,000万円を超えた金額に対しては、所得の半分近く、45%の所得税が常にかかることになります。個人に対しては、このような税率がかかります。
法人の税率は主に3段階
法人の税率は、法人の区分により異なりますが、資本金が1億円以下などの中小法人では、得た所得(利益)全体に対して固定の税率がかかります(比例税率)。
具体的には、法人税と地方法人税(国税)のほか、法人住民税と法人事業税(地方税)がかかります。課税売上高が1,000万円を超える場合は、消費税もかかります。
法人に対してかかる税金は複雑なため細かくは省略しますが、法人の所得が400万円以下の場合は約22%、400万円を超え800万円以下の場合には約23%、法定実効税率で最高でも33.80%となります(東京都の場合)。