目次
贈与で不動産を取得する場合
・まずは評価額を計算
・贈与税以外にかかる税金
相続時精算課税制度とは
・条件を満たす場合に贈与税が軽減される制度
・どんな状況で活用される?
贈与で不動産を取得する場合

贈与で不動産を取得した際にも、贈与税の支払い義務が生じます。土地や家屋の評価額を求めたうえで、前述の贈与税の速算表に当てはめて計算をする流れです。贈与税以外にも「不動産取得税」や「登録免許税」がかかる点に注意しましょう。
まずは評価額を計算
土地や家屋を贈与された場合は「評価額」を算出したうえで、贈与税を計算します。土地の評価額は「路線価が定められているかどうか」で計算式が異なる点に注意しましょう。
- 路線価方式:正面路線価×奥行価格補正率×面積
- 倍率方式:土地の固定資産税評価額×一定の倍率
- 家屋評価額:固定資産税評価額×1.0
路線価とは、道路に面する標準的な宅地の1m2あたりの価額を1,000円単位で表示したものです。路線価を「奥行価格補正率」などの補正率を使って補正したあと、土地の面積を乗じます。路線価及び奥行価格補正率は、国税庁のホームページで確認しましょう。
「倍率方式」は路線価がない土地の評価方法です。「土地固定資産税評価額」は都税事務所や市区役所、町村役場で、「評価倍率」は国税庁のホームページで確認ができます。
参考までに、マンションの評価額は「敷地権(土地)の価額+区分所有する建物の価額」で計算します。
参考:No.4602 土地家屋の評価|国税庁
参考:令和2年分 財産評価基準書 東京都 (路線価図)|国税庁
贈与税以外にかかる税金
贈与で不動産を取得すると、「不動産取得税」や「登録免許税」がかかります。
不動産取得税とは不動産の取得時に課せられる税金で、不動産価格(課税標準額)に「所定の税率」を乗じて算出します。税率は取得時期によって異なり、2008年4月1日~2024年3月31日までは、土地、住居用の家屋は各3%です(東京都主税局の場合)。
「登録免許税」は、法務局で不動産の名義変更時(所有権移転登記)にかかる税金です。贈与の場合、土地・家屋ともに「不動産の価額×2%(20/1000)」で算出します。
不動産の相続と贈与を比べた場合、名義変更に関する税金は相続の方が優遇されています。相続時の登録免許税は「不動産の価額×0.4%(4/1000)」で、不動産取得税も課税されません。
参考:不動産取得税 | 税金の種類 | 東京都主税局
参考:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁
相続時精算課税制度とは

贈与税の課税方法は「暦年課税」が基本ですが、一定の条件を満たした場合は「相続時精算課税」の選択が可能です。制度を活用するメリットや利用シーンについて解説します。
条件を満たす場合に贈与税が軽減される制度
相続時精算課税制度の対象となる贈与は「60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子・孫に生前贈与をする場合」です。
- 相続時精算課税制度=(贈与額-2,500万円)×20%
制度を活用すると、贈与時は2,500万円までの非課税枠が使えます。ただし相続時には「制度を利用した贈与財産+相続財産」を基に計算されるため、相続税額が大きくなります。贈与時に支払う税金を相続時まで先延ばしする制度と考えるとわかりやすいでしょう。
相続時精算課税の税率は一律20%です。110万円の基礎控除はありません。
どんな状況で活用される?
住宅の購入費や子供の養育費などが必要になる若い世代にとって、親や祖父母からの生前贈与は大きな助けになります。10年後、20年後になるかもしれない相続を待たずして、まとまったお金を受け取れるのは大きな利点です。
相続時、相続時精算課税制度で贈与された財産は「贈与時の評価額」で課税されます。「将来的に大きな価値の上昇が見込める財産」を贈与する際に有利でしょう。
また、相続財産には基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)があります。「財産が基礎控除の範囲内に収まる場合」も、制度を活用するメリットがあるでしょう。
例えば、3,000万円の財産のうち、2,000万円を生前贈与、残りの1,000万円を相続にするとします。生前贈与では2,500万円の非課税枠が使えるうえ、相続時も課税対象の財産は基礎控除金額の範囲内です。