個人から財産を譲り受けると「贈与税」がかかります。計算方法は、暦年課税と相続時精算課税の2パターンがあり、それぞれにメリットがあります。贈与税の仕組みや非課税枠を理解したうえで、より有利な方法を選択しましょう。

目次
贈与税の計算方法
 ・贈与税は超過累進税率
 ・基礎控除額、速算表を使用
贈与税の税率
 ・親や祖父母から贈与を受ける場合
 ・特例税率は一般税率より税負担が小さい

贈与税の計算方法

贈与税の税率と計算方法は? 暦年贈与と相続時精算課税制度の違いも
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

日本では個人から財産を譲り受けると、取得した財産に対して「贈与税」が課されます。贈与税の支払いをするのは財産を与えた贈与者ではなく、財産をもらった受贈者です。

贈与税は超過累進税率

贈与税の納税計算には「超過累進税率」が採用されています。所得税や相続税などと同様、どの金額にも一律の税率が適用されるわけではありません。

そもそも「累進税率」とは、課税標準(金額)が増えるほどに高い税率が課される仕組みです。

「超過累進税率」は、課税標準が一定の基準を超えた場合に「超過部分」にのみ高い税率が課せられます。課税価格に応じた段階的な区分があり、区分ごとに税率が変わるのが特徴です。

基礎控除額、速算表を使用

贈与税の計算方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」がありますが、ここでは通常の課税方式となる暦年課税について解説します。

暦年課税は、1年間(1月1日~12月31日)に贈与された額から「基礎控除」を差し引き、区分ごとの税率を乗じて計算する方法です。基礎控除額は110万円で、1年間の贈与財産の合計が110万円以下の場合は、課税対象にはなりません。

  • 贈与税額=1年間に贈与された額-基礎控除×税率

国税庁のホームページにある「贈与税の速算表」を活用すると、計算がスピーディーです。

参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

贈与税の税率

贈与税の税率と計算方法は? 暦年贈与と相続時精算課税制度の違いも
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

2015年の税制改革において、贈与税の税率が一般税率と特例税率に区分されました。20歳以上の人が直系尊属から受ける贈与財産には「特例税率」、それ以外の贈与財産には「一般税率」が適用されます。

親や祖父母から贈与を受ける場合

財産をもらった年の1月1日時点で20歳以上の人が父母や祖父母などの直系尊属から贈与を受ける場合は、「特例税率」で贈与税を算出します。

  • 贈与税=(贈与財産の合計-基礎控除額)×特例税率-速算表の控除額
基礎控除後の課税価格特例税率控除額
200万円以下10%
400万円以下15%10万円
600万円以下20%30万円
1,000万円以下30%90万円
1,500万円以下40%190万円
3,000万円以下45%265万円
4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円

40代の子供が父から500万円を贈与された場合の贈与税を「特例贈与の速算表」に基づいて算出してみましょう。

  1. 500万円-110万円=390万円
  2. 390万円×15%-10万円=48万5,000円

500万円から基礎控除である110万円を引くと、残りは390万円です。特例税率(400万円以下)を乗じて控除額を引くと、税額は48万5,000円になります。

参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

特例税率は一般税率より税負担が小さい

特例税率の要件に当てはまらない贈与は、すべて「一般贈与財産」となり、一般税率が適用となります。

  • 直系尊属以外の親族(配偶者・配偶者の父母や兄弟姉妹など)からの贈与
  • 他人からの贈与
  • 受贈者の年齢が20歳未満の場合

特例税率は、一般税率よりも税率が優遇されています。父母が未成年の子供に500万円を贈与した場合、贈与税額は53万円(390万円×20%-25万円)です。特例税率との税額差は4万5,000円になり、子供が成人してから贈与する方が負担は少ないといえます。

基礎控除後の課税価格一般税率控除額
200万円以下10%
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1,000万円以下40%125万円
1,500万円以下45%175万円
3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁