目次
相続税の計算で知っておきたいポイント
・非課税の財産
・各種控除
税率の種類
・限界税率
・実効税率
相続税の計算で知っておきたいポイント
相続税の計算をする際は「相続税がかからない財産」と「各種税額控除」をチェックしておきましょう。相続税の負担が大きく軽減される可能性があります。
非課税の財産
財産の中には「」があります。国税庁が認める非課税財産の一例を紹介しましょう。
- 日常礼拝をしているもの
- 非課税枠内で相続人が受け取る生命保険金
- 非課税枠内で相続人が受け取る退職手当金
- 地方公共団体や特定の公益法人に寄附したもの
「日常礼拝をしているもの」とは、墓地・仏壇・神棚などを指します。商品や骨董として所有しているものは、非課税財産にはあたりません。
生命保険金と退職手当金には、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があり、枠を超過した分は課税対象です。
「特定の公益法人への寄附」に関して、対象となる法人は「独立行政法人」や「社会福祉法人」などの一部に限られる点に注意が必要です。
参考:No.4108 相続税がかからない財産|国税庁
参考:No.4141 相続財産を公益法人などに寄附したとき|国税庁
各種控除
相続税にはさまざまな税額控除があります。相続税を算出したあとに税額から控除額を差し引き、最終的な納付額が決まる流れです。複数の控除が適用される場合は、以下の順番に従います。
- 暦年課税分の贈与税額控除
- 配偶者控除
- 未成年者の税額控除
- 障害者の税額控除
- 相次相続控除
- 外国税額控除
- 相続時精算課税制度における贈与税額の控除
例えば、未成年者控除は20歳未満の法定相続人で、日本国内に住所がある人が対象です。満20歳(2022年4月以降は18歳)になるまでの間、1年につき10万円が相続税額から控除されます(1年未満の期間は切り上げ)。
各種控除には要件があります。国税庁のホームページで詳細をチェックし、自分が当てはまるかどうか確認しましょう。
参考:No.4164 未成年者の税額控除|国税庁
税率の種類
相続税に限らず、。税金の納付額が計算できるのは限界税率、実際の税負担の割合(%)がわかるのは実効税率です。それぞれの違いについて見ていきましょう。
限界税率
です。各区分の中で適用される一番高い税率と考えましょう。
「遺産の増減で税率がどう変わるか」を示したもので、1,000万円以下は10%、3,000万円以下は15%というように、区分ごとに同じ税率が設定されています。
限界税率は、相続税を計算するために必要な数値ではありますが、算出された税額は実際の納税額と必ずしもイコールになるとは限りません。
実効税率
です。「実際に支払った相続税額÷実際に相続する遺産額」で計算します。
例えば、相続税の総額が630万円、長男が遺産の40%の4,000万円を相続した場合、実際に支払う税金は630万円×40%=252万円です。実効税率は252万円÷4,000万円=6.3%となります。
実効税率は「生前贈与と相続ではどちらの税負担が軽いか」を見るのに役立つものです。生前贈与をすれば相続税は少なくなりますが、代わりに「贈与税」が課せられるのはご存じの通りです。
仮に贈与税の実効税率が相続税の限界税率よりも小さければ、相続よりも有利といえるため、まとまった生前贈与が検討できます。