フリーランスの年金支払い方法/支払い額

フリーランスの年金支払い方法

無事に国民年金に加入できたら、次は支払いです。フリーランスは以下のいずれかの方法を選び、自分自身で年金を納付します。

国民年金の納付方法

納付書(現金納付) 郵送で届く納付書を銀行やコンビニ、ペイジーで支払います
口座振替 銀行やコンビニに毎月納付しに行かなくて済むので便利です
※口座振替の申し込みに銀行印が必要
クレジットカード 銀行やコンビニに毎月納付しに行かなくて済むので便利です
※納付によりクレジットカード会社のポイントが付与されるかはクレジットカード会社により異なります

何も希望を出さなければ、デフォルトの納付方法は納付書払いになるのが一般的です。しかし、「いまは忙しいから、あとで納付すればいいや……」と納付を先送りにするうちに支払期限を過ぎちゃった……! なんてことも起こりかねないので、自動で支払われる口座振替またはクレジットカード払いがおすすめです。

フリーランスの年金支払い額

年金の支払いは月額単位でほぼ定額ですが、1年ごとに少しずつ金額が変わります。以下にここ数年の納付額をまとめました。

令和2年度 国民年金の月額保険料 16,540円/1ヶ月
令和3年度 国民年金の月額保険料 16,610円/1ヶ月
令和4年度 国民年金の月額保険料 16,590円/1ヶ月

令和3年度(※2021年4月〜2022年3月分)保険料は1ヶ月16,610円なので、年間で199,320円。つまり1年間で約20万円ほど納付します。

令和2年度 国民年金の年間保険料 198,480円
令和3年度 国民年金の年額保険料 199,320円
令和4年度 国民年金の年額保険料 198,080円

厚生年金との最大の違いは、厚生年金は給与やボーナスの金額に応じて保険料が決定するのに対し、国民年金は対象者全員に同一額で請求されること。つまり、フリーランスならどれだけ稼いでも保険料が一定なものの、赤字経営でも保険料が変わらないのです。駆け出しの時期は、保険料が重くのしかかるケースもあります。

ただ、国民年金には「前納(前払い)制度」があります。毎月の支払い分を6ヶ月/1年/2年分と前納すると、毎月納めるよりも最大15,850円(約1ヶ月分)お得になります。

前納は納付書、口座振替、クレジットカードと全ての納付方法で利用できますが、口座振替による納付が一番お得になります。

令和3年度の前納について、毎月納めるよりもどのくらいお得になるかまとめました。

納付書(現金納付)

クレジットカード
口座振替
6ヶ月前納 810円のお得 1,130円のお得
1年前納 3,540円のお得 4,180円のお得
2年前納 14,590円のお得 15,850円のお得

年金を支払わない/支払えない場合は?

国民年金の支払いは義務のため、支払わないと以下のような状況になる可能性があります。

  • 未納のお知らせや督促通知が届く(※カラフルな封筒で届く場合がある)
  • 督促の電話が着信する
  • 督促などで自宅に来訪がある
  • 年金支給額が減る
  • 強制徴収や財産の差押の可能性がある

しかし、「お金がなくて払えない……!」という場合は、一定の条件を満たせば保険料の免除/猶予などの救済措置を利用できます。

通常、保険料が免除された場合は年金受給額も減りますが、なんの手続きもなく未納の期間があるよりは受給額が増えます。後から免除分を追納することもできるため、支払えない場合は遠慮せずに利用してみましょう。

フリーランスが絶対押さえておきたい「年金」の手続き。受給額はいくらになる?
(画像=▲出典:厚生労働省、『Workship MAGAZINE』より 引用)

他にも、「学生」「出産前後」「配偶者からのDV被害を受けた」などの場合も保険料免除の対象です。詳しい保険料の免除/猶予などの制度は、日本年金機構のHPをご覧ください。

会社員とフリーランスの年金比較

会社員とフリーランスの年金面での違いは「厚生年金の有無」が非常に大きいです。

ただ、厚生年金のある会社員と、厚生年金のないフリーランスは、「年金」の面でどちらがおトクなのでしょうか。以下では、参考までに会社員とフリーランスの

  • 年金支払い額
  • 年金受け取り額
  • 年金関連の控除

を比較してみます。

比較1. 年金支払い額

年金の支払い額は、フリーランスの場合だと16,590円(令和4年度)で固定です。月間売上を30万円と仮定した場合、売上に占める年金額は約5.5%です。

一方、会社員は厚生年金を支払う必要があります。厚生年金の保険料は「標準報酬月額(おおまかな給与)×保険料率(現在は18.3%)」で算出できるので、標準報酬月額を30万円とする54,900円とに。しかし、会社が半分を負担してくれるので、実質負担額は27,450円(厚生年金には国民年金の支払い分も含まれる)。給与に占める年金額は約9.2%になります。

かなり強引かつ単純な計算ですが、金額だけ見ればフリーランスのほうがおトクに見えます。しかし、会社員は保険料を会社が半分出してくれるのも事実です。

比較2. 年金受け取り額

年金の受け取り額も、フリーランスの場合はある程度一定です。厚生労働省によれば、仮に20歳から60歳まで毎月欠かさず年金を納めた場合、月額で約65,000円の年金を受け取れます。

会社員の場合、支払った厚生年金額によって受け取れる年金が変わります。厚生労働省によれば、厚生年金加入者は月額で平均約148,000円を受け取っているとのこと。

フリーランスが絶対押さえておきたい「年金」の手続き。受給額はいくらになる?
(画像=▲出典:厚生労働省、『Workship MAGAZINE』より 引用)

受け取り額を見れば、会社員のほうが2倍以上の金額を手にできるため、断然おトクに見えます。しかも、老後に慎ましく生きれば働かなくていい金額をもらえるのは非常に大きいです。(昨今は少子高齢化と日本経済の停滞から「年金制度は破綻する」と叫ばれているのも事実ですが……)

逆に言えば、フリーランスの場合は現状でも、老後に年金だけで生きていくことは難しいことを意味します。

比較3. 控除

控除に関しては、フリーランスも会社員も「社会保険料控除」を使い、支払った年金額を全額控除できます。単純計算ですが、保険料の支払い額が多い会社員のほうが控除額も多くなるケースが一般的です。

なお、フリーランスは確定申告の際に自分で日本年金機構から送付される「控除証明書」を確認し、確定申告書の「社会保険料控除」の項目に控除額を入力する必要があります。うっかり納付していたことを忘れると、控除が受けられないので注意しましょう。