さまざまなビジネスを立案し、方針を決めて舵を切る。そんな経営者の方々のマインドは、自らの手で道を切り開くフリーランスと通ずるものがあります。

そこで、会社の社長としてご活躍されてきた方々に、「もしも自分がフリーランスになるなら」と仮定して、インタビューを実施することにしました。

今回ご登場いただくのは、定額制宿泊サービス『HafH(ハフ)』共同創業者・大瀬良 亮さん。

株式会社電通にて、自治体の広報業務や、首相官邸のソーシャルメディア戦略を担ったのち、共同で株式会社KabuK Styleを設立。現在は日本サブスク大賞2021グランプリにも輝いた、『HafH』の事業に専念されています。

もしいま、亮さんが25歳に戻れるとしたらどのようなフリーランスを目指すのか。全国各地を飛びまわり、さまざまなフリーランスと関わってきた亮さんならではのお話が聞けました。

【「もしも社長がフリーランスになったら」ルール】

・年齢:25歳
・人脈:最初はフリーランス独立前の、前職の繋がりのみ
・雇用:法人登録はOK、会社として社員を雇用するのはNG(業務委託はOK)
・一般的にフリーランスとされる働き方を行う

「やりたい」ではなく「悔しい」を原動力にする

フリーランスこそ「会社員スキル」が成功の鍵!? HafH・大瀬良亮が語る、活躍できるフリーランスの条件
(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

ゆぴ:
もしも、亮さんが25歳に戻ってフリーランスになるとしたら、どのような職種で独立しますか?
亮さん:
うーん、職業名のないような仕事を自分で作るかなぁ。 たとえば、僕は噛み砕いて話すことが得意なので、事業やサービスと顧客のあいだに立って「抽象的なものを、わかりやすく言葉に翻訳する仕事」をするとか。

僕は今までの人生で、与えられた職業をこなせたことがないんですよ。高校時代、バスケで県1位の強豪校にいたんですけど、身長が足りなくてスタメンになれなかったんです。それが悔しくて、「アシスタントコーチ」というポジションを創設し、監督と選手のあいだに立って軋轢を解消するために立ち回っていました。

求められていたと言うより、必要だと思ったポジションを自分で作る方が活躍できる、とそのころから思っていたんです。

みんな、フリーランスになるときに「どれだけ儲けるか」を考えがちで、特に20代は早く上に追いつこうと“最短ルート”を探して、逆算して仕事を選ぼうとするじゃないですか。

フリーランスこそ「会社員スキル」が成功の鍵!? HafH・大瀬良亮が語る、活躍できるフリーランスの条件
▲フリーランスあるあるだ…(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

亮さん:
僕が20代のときなんて、西麻布の交差点で朝まで遊んでたし(笑)、会社に借金しまくっていてお金も全然なかったし、好きなことだけを追いつづける生活を送っていました。でも、気付いたら好きな地方の仕事をもらい、首相官邸初のSNSディレクターになっていた。

自分が好きなことをきちんと言える勇気を持って、それで仕事をすると腹を括る。前例がなくても、やりつづけていれば仕事になるんです。

ゆぴ:
なるほど…。とはいえ、「好きなこと」を仕事にするって難しいですよね。亮さんならではの秘訣はありますか?

亮さん:
「やりたい」ではなく「悔しい」を原動力にすることです。“ネガティブ”を原動力にすると、絶対に折れないから。

フリーランスこそ「会社員スキル」が成功の鍵!? HafH・大瀬良亮が語る、活躍できるフリーランスの条件
(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

亮さん:
電通時代もそうでした。電通の人たちはみんな多彩で、元Jリーガーから格闘家まで、錚々たる同僚で溢れていて。広告代理店ではドラクエのように案件ごとにパーティを組んで仕事を進めていくんですけど、そのなかで「特技がない」僕は自分に自信がなくなってしまいました。

Webをやろうか、コピーをやろうか、と“自分の武器探し”の迷路に立たされてしまったなかで、そもそも自分は「何をやれないと悔しいか」を考えたんです。

何ができるかを今から探しても誰かの後を追いかけることになる。それよりも今、自分が得意だと感じていて、負けたら悔しいことを追いかけたほうが勝機がある、と。そのとき、役に立つかは置いといて、出身地である「長崎」にまつわることが悔しいんだと気づきました。

長崎が好きな僕は、長崎の案件を他の人に取られるのがめちゃくちゃ嫌だったんです!

フリーランスこそ「会社員スキル」が成功の鍵!? HafH・大瀬良亮が語る、活躍できるフリーランスの条件
▲長崎愛が深い人(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

亮さん:
そこで、「長崎県人会」を立ち上げたり、長崎のWebサイトを作ったりして、長崎をPRしていたことがきっかけとなり、僕のキャリアが拓けていきました。だから、まずはこれまでの経験から、知識量や行動量で「(負けたら)悔しいこと」を探してみることが突破口になっていくんじゃないかな。

それは、鉄道、音楽、仮想通貨など、なんでもいいと思います。僕の場合は今のところ「長崎」「ホテル」「SNS」ですね。

「自分が何者か」を言えないなら、会社を辞めるべきではない

フリーランスこそ「会社員スキル」が成功の鍵!? HafH・大瀬良亮が語る、活躍できるフリーランスの条件
(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

ゆぴ:
フリーランスとして独立するにあたって、まずは何から始めますか?

亮さん:
まず、前提として「自分はこんなことをやっている人です」と言える目処が立っていない限り、今いる会社を辞めるべきではないと考えているので、しばらく会社にはいる……というか、複業ができる会社なら、絶対に会社にいますね。

僕も本当は「電通やりながら社長やってます!」って言いたかったですもん。電通は叩かれがちだけど、本当に素晴らしい同僚ばかりなんですよ。ずっと繋がっていたかった……。

フリーランスこそ「会社員スキル」が成功の鍵!? HafH・大瀬良亮が語る、活躍できるフリーランスの条件
▲電通愛も深い人だった(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

亮さん:
ただ、会社にいると似通った業界の人としか出会えないことが多いから、いろんなコミュニティに顔を出すと思います。実際に僕は25歳のころから、NPOや商社の人たちのなかに飛び込んでいきました。

会社に所属していると、ネームバリューで信頼も得やすいし、出会いのチャンスは広がりやすいし、仕事に繋がりやすいので、会社にいるうちに「働く場の多拠点居住」は積極的にやっていきますね。

ゆぴ:
「働く場の多拠点居住」、いいですね! ゼロから人脈を築くコツはありますか?

亮さん:
地方に行くチャンスがあったら、知り合いやSNSに向けて「誰か面白い人いませんか?」と聞いて紹介してもらうようにしています。地方にいる人は、自分の知らない生き方や働き方をしていて、すごく面白いんですよね。

フリーランスこそ「会社員スキル」が成功の鍵!? HafH・大瀬良亮が語る、活躍できるフリーランスの条件
▲日本全国を飛びまわっている亮さん(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

亮さん:
「おもしろそうな発信している人に突撃して話を聞きにいく」というのもやっています。実際に会えるかどうかはさておき、まずは連絡をしてアポを取ってみる。意外と会えるんですよ。僕も大学生から連絡が来たら、ほぼ会うようにしています。

ゆぴ:
いかに躊躇なくアタックできるかですね。でも、コミュニケーションが苦手な人はどうすれば……?

亮さん:
いきなり人と会うのに抵抗がある人は、旅をしたり、コンテンツに触れたりするのもいいと思います。自分を成長させる一番の方法は、いかに自分の心身を移動させるかなんです。

旅が物理的な移動だとしたら、小説や映画などは次元的な移動。疑似体験をしたり、知見を得たりすることで、自分自身が面白い人になれる。新しい出会いや仕事を呼び寄せることもあります。

僕が25歳のときは、小説を読んだり、映画を観たり、美術館に足を運んだりしていました。たとえもう一度20代をやるとしても、この習慣はやめませんね。