不動産投資を考えている方で、いま「コンパクトマンション」に投資することを考えている、もしくは「コンパクトマンション」という言葉を最近目にして気になりはじめたという方もいるのではないでしょうか。
本記事では「そもそもコンパクトマンションとは何?」「どういう特長・短所があるの?」という疑問に対して、その特徴、長所・短所や、不動産投資で物件を選ぶポイントなど、コンパクトマンションに投資するうえで知っておきたいことを解説します。
目次
コンパクトマンションの定義とは?
・コンパクトマンションの特徴
・コンパクトマンションが対象とする居住者
コンパクトマンションが増えた背景
・政策面の背景
・融資面の背景
・土地の調達・建設の面での背景
・居住者の属性の変化
・居住と投資、どちらからも人気
コンパクトマンションの定義とは?
コンパクトマンションの明確な定義はありませんが、不動産経済研究所の調査によると、以下のように定義されています。
- 住戸専有面積が30.00m² 以上50.00m²未満
- ワンルームとファミリータイプマンションの中間に位置する
- 単身者やDINKsがメインターゲット
参照:首都圏コンパクトマンション(専有面積30m²以上50m²未満)供給動向 2018|不動産経済研究所
コンパクトマンションはファミリー向けより小規模ですが、立地も良く、住居用として検討する人はもちろん、投資用もしくは将来の賃貸用に購入を考えている方にも人気が出てきています。
特徴や対象となる居住者について詳しく見ていきましょう。
コンパクトマンションの特徴
コンパクトマンションの特徴には次のようなものがあります。
- 立地:駅前、近くに病院や銀行そしてショッピングセンターなどがある利便性の高い場所
- 付加価値となる設備やサービス:宅配ボックス・セキュリティなどが充実。ジムやフロントサービスなどが提供されることも
- 規模:30m2〜50m2程度
- 物件種別:マンション
コンパクトマンションが対象とする居住者
想定されている主な居住者は、ワンルームでは満足できなくなった層、つまり独身の会社員・DINKsなどをターゲットにしていることが多いです。そのため趣向される設備も、グレードがあがる傾向があります。これは、コンパクトマンションを開発するデベロッパーがファミリー向けマンションのデベロッパーと同じであることも多いため、ファミリー向けマンションと同等の設備が使われることにもつながっています。
また単身者やDINKsは、通勤の利便性を重要視することも多く、都市部にある立地の良いコンパクトマンションが人気です。30m2〜50m2というサイズは単身者やDINKsには広すぎず狭すぎず、暮らしやすいといわれています。
コンパクトマンションが増えた背景
分譲マンションというとおおむね50m2以上で3LDK以上の間取りが主流でしたが、2000年ごろコンパクトマンションブームがまず起こりました。
コンパクトマンションが増えた背景には、「政策」「融資」「調達・建設」そして「社会でのニーズ」という大きなトレンドがあります。
次にそれぞれの背景について詳しく説明していきます。
政策面の背景
戦後の日本では成長期になると大都市への人口が集中する傾向がありましたが、1990年代後半から2000年代にかけても東京への転入超過が続きました。この頃、晩婚化と単身者の増加、バブル崩壊後による土地価格や低金利等の要因も重なり、ワンルームマンションが急増しました。
急増に対して、単身居住者の問題点として次のようなことが指摘されました。
- 単身居住者は住民票を移動しないケースが多いこともあり、住民税の収入につながらない
- 2年~3年程度で入れ替わることが多く、地域活動に参加する人を減らしてしまう
- ゴミ捨てや、騒音、放置自転車など居住者のマナーの問題から、近隣トラブルになりやすい
その結果、東京23区では条例等で以下のような規制が作られるようになりました。
- 最低限の専有面積を定める(多くの区で25m2以上)
- 一定数以上の専有面積の広い部屋を併設すること
ワンルームマンションだけを建設することはできず、一定以上の割合でワンルームではない広い部屋を設けないと建てられない決まりになっています。
融資面の背景
30m2以下のワンルームは、住宅ローンが使えません。多くの金融機関では「ワンルームマンションは投資用」もしくは「セカンドハウス」という位置づけのため、住宅ローンの対象外か、融資する場合は頭金を2割以上入れることなどが条件となっています。
ワンルームを買って居住するつもりでも、資金の調達方法が不動産投資ローンやセカンドハウス用ローンとなってしまうと、金利も高く、融資金額などの条件が変わってしまい、手が出なくなってしまう可能性も出てきます。
結果として、住宅ローンが使え、広さも適当な30m2~50m2くらいのコンパクトマンションが求められたのです。
土地の調達・建設の面での背景
大規模マンションはまとまった土地の確保が難しく、代わりにコンパクトマンションに注目が集まったという背景もあります。
居住者の属性の変化
以前は、家庭を持ってファミリーマンションや戸建てを持つという人生が一般的でした。
しかし未婚率が上がり出生数が低下し、晩婚化に伴い独身を選ぶ人やDINKsなど生活観も変化してきており、世帯あたりの人員数は減ってきています。
ファミリー向け分譲マンションへのニーズが小さくなる一方で、小規模な住居がフィットする層が増えています。
このような背景によって、2000年ごろ、コンパクトマンションが注目を浴びました。コンパクトマンションのみならず、首都圏における新築マンションの供給量が最も多かったのは2000年です(東京カンテイによると103,811戸供給、その後も9万戸台前後の供給が2005年まで続きます)。
不動産経済研究所による調査によると、2000年の首都圏のマンション供給量全体のうち約2.6%にあたる「2,448戸」がコンパクトマンションでした。その年以降シェアは増加、2009年に初めてシェア10%を超えます。しかしその翌年の2010年に戸数は増えるもののシェアの割合は減り、その後2014年まで戸数・シェアともにかなり下がるのですが、2015年以降は増加傾向です。
参考:マンションデータ白書 2009【速報値版】」|東京カンテイ、首都圏コンパクトマンション供給動向|不動産経済研究所
2020年新型コロナウイルスの流行で人々の暮らし方が変わったことも加わり、再びコンパクトマンションに注目が集まっています。
居住と投資、どちらからも人気
コンパクトマンションは、自分たちの居住用以外に、投資用としても人気があります。