「不動産投資で節税できる」と聞く一方で、「不動産投資で節税できるなんて嘘」という意見を耳にしたことはありませんか?

不動産投資について、インターネットや各種SNSで口コミや情報が錯綜しているため、何をどう信じればいいのかわからなくなりますよね。

結論からいうと、不動産投資で節税できることがあります。ただし、その節税効果は限定的で、人や物件によって条件があるため注意が必要です。

そこで今回は、不動産投資での節税効果を活かすための注意点を解説します。
「自分は不動産投資で節税効果を得られるのか気になっている」人は、参考にしてみてください。

目次
不動産投資で節税もできるが条件がある
「節税は嘘」といわれる理由は4つ

不動産投資で節税もできるが条件がある

不動産投資で節税は嘘?節税できる仕組みをわかりやすく解説!
(画像=『レイビー』より引用)

先述したとおり、不動産投資でも節税可能なことがあります。

不動産投資における「節税」とは、個人の所得税・住民税や相続税・贈与税を軽減したり、課税される時期を繰り延べたりする効果を指します。

うまく対策できれば税金の負担を抑えるだけでなく、課税時期を調整することで税金をコントロールできるようになります。

ただし、不動産投資をするすべての人が節税効果を得られるわけではありません。不動産投資の節税対策で特に高い効果を得られるのは、もともと所得が高い人です。

それは、高所得で納税金額が高い人ほど減価償却により課税所得を圧縮し、トータルでかかる税金を軽減できるからです。

特に課税所得が900万円(目安:額面年収1,200万円超)以上ある人は、個人の所得税率が33%~と高いため、課税所得を圧縮して節税する方法に適しています。

また、不動産投資は運用物件によっても期待できる節税効果が変わります。

特に適しているのは築年数が古い中古物件です。
法定耐用年数を超えた中古物件なら、その法定耐用年数の20%に相当する年数で一気に償却でき、単年あたりの減価償却費を多くとれるため、毎年の課税所得を圧縮してトータルで支払う税金を大きく軽減できるでしょう。

ただし、耐用年数を超えた物件の場合には、新築に比べて修繕費等の負担が発生しやすい状態にありますので節税だけに注目しないようにしましょう。

このように、不動産投資の節税対策は人や物件によって条件があります。

節税だけを目的に不動産投資を始めるのはおすすめしません。節税の仕組みと条件を理解したうえで始めることが大切です。

「節税は嘘」といわれる理由は4つ

不動産投資で節税は嘘?節税できる仕組みをわかりやすく解説!
(画像=『レイビー』より引用)

限定的とはいえ、不動産投資で節税対策は可能です。
では、なぜ節税に対して「嘘だ」という否定的な意見が目立つのでしょうか。

考えられる理由は以下の4つです。

  1. 税制改正により節税しづらくなった
  2. 仕組みを理解しないまま投資を始めている
  3. 節税=所得税・住民税の軽減という思い込み
  4. 持ち出しが発生することで節税効果を体感しにくくなる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.税制改正により節税しづらくなった

もっとも大きな理由は過去の税制改正によるものでしょう。

不動産投資における節税は減価償却を活かして行います。

減価償却とは、取得した不動産を 実際に使用できる期間にあわせて、毎年少しずつ経費として計上することです。

減価償却を使って不動産所得をマイナスにできれば、その年の課税所得を圧縮して所得税・住民税を軽減できます。

ところが減価償却の方法は、過去の税制改正によってたびたび変更されてきました。

初期に多額の減価償却費を計上できる定率法が使えなくなり、減価償却の方法は定額法のみに限定されるようになりました。

そのため以前と比べて償却方法が限定的になり、節税対策をしにくくなったと感じている人もいるでしょう。

とはいえ減価償却自体は有効なので、節税にならないというわけではありません。

もともと給与所得が高く所得税率も高い人は、課税所得を減価償却で圧縮できれば大きな節税効果を得られます。

税制改正で節税できなくなったわけではなく、節税の向き・不向きが顕著になったといえます。

2.仕組みを理解しないまま投資を始めている

こちらもよくあるパターンです。不動産会社の営業マンから「節税対策になりますよ」と強く押され、節税というメリットだけを見て不動産投資を始めてしまうケースです。

繰り返しますが、特に高い節税効果が得られるのは課税所得が900万円以上で、所得税の税率が33%以上になるような高所得者です。

また、不動産投資のメリットは節税効果だけではありません。

仕組みを理解したうえで投資を始めなければ、期待しているような節税効果を得るのは難しいでしょう。

3.節税=所得税・住民税の軽減という思い込み

節税と聞くと、「所得税や住民税を軽減できる」と思いがちです。

しかし実際は、不動産投資には税金額を軽減できるだけではく、課税時期を繰り延べることで税金を調整する、いわばタックスマネジメントの効果もあります。

また多額の相続資産がある場合は、対策によって相続税・贈与税を軽減することも可能です。

節税で何を得られるのかを理解せず不動産投資を始めると、このような思い込みにとらわれてしまい、うまく効果を実感できません。

4.持ち出しが発生することで節税効果を体感しにくくなる

新築物件をフルローンで購入したり、ローン比率が高い場合は、月々の持ち出し(赤字)が発生してしまうケースがほとんどでしょう。

不動産投資では、投資による赤字分を給与所得と損益通算※することができます。

赤字経営は課税所得を圧縮できるため、節税だけを目的に考えると赤字経営の方が節税効果はあります。

ただ赤字経営では、どうしても節税効果を体感しにくいです。そのため「節税できると聞いて始めたのに、実際は毎月赤字。やっぱり節税なんて嘘だったのか」という思考になってしまうのではないでしょうか。

不動産投資には他にもさまざまなメリットがあります。節税効果という限定的なメリットだけ見るのではなく、メリット・デメリットの全体像を把握したうえで投資することが大切です。

※損益通算とは、特定の所得の赤字を他の所得の黒字と相殺する計算方法のこと。「不動産所得」「事業所得」「山林所得」「譲渡所得」に赤字が発生した場合、給与所得の黒字部分と相殺することができるため、所得税額を減らす効果がある。