第一の疑問
人工知能(「AI」)が将来価値生産の主流となった場合における、マルクス著「資本論」の「商品の価値は当該商品を生産するための社会的必要労働時間によって決まる」との「価値法則」「労働価値論」「搾取論」の有効性と再検討の必要性の有無の問題。
具体的には、例えば「手術」という医師の労働がすべて人工知能で代替される場合の「価値法則」「労働価値論」「搾取論」の有効性の有無。
人工知能を「過去の労働」とみなし「価値法則」「労働価値論」「搾取論」の正当性を主張することの是非と再検討の必要性の有無の問題。
「日本マルクス主義」はこの疑問にどう答えるのか。
第二の疑問
「プロレタリアート独裁」(「労働者階級独裁」)の永続化とその原因究明の問題。
社会主義革命後における「反革命勢力」の反抗を抑圧するための法律に基づかず暴力に立脚する厳重で無慈悲な「プロレタリアート独裁」(スターリン著「レーニン主義の基礎について」スターリン全集6巻129頁)は、本来は資本主義から共産主義への過渡期の政治形態(マルクス著「ゴーダ綱領批判」)である。
しかるに、社会主義革命後の非常事態における過渡的政治形態であるにもかかわらず、旧ソ連や中国等の「現存社会主義」で常態化永続化した問題とその原因の究明。
プロ独の永続化や大粛清を正当化するためのスターリンの「階級闘争激化論」や「敵対帝国主義勢力存在論」の妥当性の問題。金日成も「敵対帝国主義勢力存在論」を取る(金日成著「金日成著作集」)。
社会主義の本質論から見てプロ独が「過渡的」か「永続的」かは極めて重要であり根本的究明が必要ではないか。マルクス主義の「国家死滅論」の正当性にも影響する問題である。
「日本マルクス主義」はこの疑問にどう答えるのか。